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ワールドヘイト  作者: 三ki
第1部
11/66

11話 拉致

今日も朝起きて、畑に向かい農作業をする。

それが終われば昼ご飯だ。いつも通りに昼ご飯を食べ終え、みんな自由時間に入った。

今日はみんなでかくれんぼをしようということになった。

鬼はじゃんけんの結果、ファルがすることになった。

ファルはちくしょー、と声を上げている。

ファルは孤児院の広場の中央で2分待機、隠れる方の範囲は村中だ。


ファルが1、2…と数えだす。そして他の4人は一斉に散らばった。

ゼルは土色の毛布を創り、畑に擬態する。

マーフィは小柄な体ゆえに、孤児院の食堂に置いてあった木箱の中に入って隠れる。

ルミネータはブレッツさんの家を訪ねて、中で隠れさせてもらう。

ライカは孤児院の近くの草むらの中に入って隠れる。


かくれんぼがスタートした。

ファルはまず外から探そうと思って外に出た。

するとその時、1ヶ月に1回の商人が来た。

続々と村の大人達が集まっていく。ファルも、肉が食べれるかなと思って少し意識を持っていかれる。

どうやら今回は商品がかなり多くあるようで、取り引きに時間がかかっている。


一方、孤児院の近くの柵を1人の男がよじ登り、村に侵入した。それはライカが隠れていたすぐ近くだった。

ライカは突然のことに驚き、音を立ててしまう。

それにより男はライカがいることに気付く。

男はすぐにライカの口をタオルで覆い、身動きを封じて村の外に連れ去り、森の奥へと消えていく。ライカはずっと声を抑えられながらも、んーという声をずっと発していた。

その一連の動きは10秒にも満たなかったが、孤児院の近くの畑にいたゼルが、その音に気付く。

ゼルは状況を把握すると、すぐに村の外まで追いかける。



ライカを連れ去った男は、すぐに村から離れて仲間の1人と落ち合う。


「早かったな、まだ30秒も経ってない。」


「ああ、孤児院の中まで入るつもりだったが、都合良く外にいてな。」


すると後ろから草の中をすごい速さで進んでくる音が聞こえた。もちろんゼルである。


「誰だ!?」


男は咄嗟に内ポケットに入れていた銃をライカの頭に突きつけ、ライカを人質にする。

それを見てゼルは石を創造し、それを男の銃を持っている手に投げつけ、銃を落とす。そして男の懐に潜り込み、膝を蹴り体勢を崩させそのまま地面に叩きつける。そして男に跨り、ナイフを創造し、男の首元に当てる。


「何者だお前達は? 商人ともグルなのか?」


「な、なんだお前は、、」


ゼルはもう一本ナイフを創造し、男の右手に突き刺す。


「早く答えて」


男は大声を上げて痛がる。

そしてゼルは、ライカに近づこうとしている男の仲間に話しかける。


「余計なことするとこいつ殺すよ? その次はお前も。」


ゼルはライカを自分の元へ寄らせる。

ゼルはライカを安心させるために、ライカに少し笑顔を見せた。


「お、お前こそそんなことしていいのか…?」


男の仲間がゼルに話しかける。


「なんだと?」


「これが何か分かるか?」


男の仲間は半笑いになりそう言って、ボタンを取り出す。


「これはな、緊急事態用のスイッチだ。

俺がこれを押せば、商人に扮した俺達のリーダーの元へ連絡がいく。そしてその先は村人皆殺しだ。」


だから大人しくしろ、と男の仲間は言う。


「それが本当だという証拠は?」


「話す義理がどこにある? なんなら試してみるか?」


男の仲間がニヤニヤと笑いながら言う。

ゼルはさっきみたいに石を投げつけることも考えたが、さっきと違って距離もあるし、相手は冷静だ。

ゼルは小さく舌打ちをすると、「すまんなライカ」と言ってナイフを捨て男を解放し、両手を上げた。

ゼルは鎖でキツく縛られた後、眠らされ馬車に連れて行かれた。




ゼルは倉庫のようなところで目を覚ました。

隣にはライカがいる。正面には見張りが1人。

ゼルが目を覚ましたのを確認するとさっきの男が、仲間との談笑を中断してゼルの元に近づいてきた。


「おっ目覚めたか?」


そう言うと男がゼルの髪の毛を引っ張り、顔を近づける。


「お前には何発も殴ってボコボコにしたい所だが、大事な商品を傷つけるわけにはいかねぇからな。感謝しろよ?」


「商品?」


「はっはっは、そうさ。お前らはこれから売られるんだよ。

ここは取り引き所みたいな所でな、今はお前達を買う奴を呼んでいる。遅くとも明日には着くだろうぜ。

女の方は言うまでもないし、お前はガキのくせに結構強ぇから高く売れるだろうなぁ。」


男が少し笑いながら答え、ゼルの元から去り、仲間の元に談笑しに行った。

ゼルは鎖で、頑丈に縛られており、とても力で引きちぎれるとは思えない。


「…ゼル…ごめんね……私のせいでこんな…」


ライカが泣きながらゼルに謝る。


「ライカは悪くないよ。悪いのは全てあいつらだ。」


「でも……」


「そんな事を言ったら俺も本当に不甲斐ないよ。あの時は冷静さを欠いていた。あの男を制圧したらすぐにもう1人もそうすべきだった。」


ライカはさらに泣き出してしまった。

ゼルは少し何かを考える。

鎖を引きちぎろうと力を入れてみるが、やはり引きちぎれない。そして少し息を吐く。


「ライカ、今から鎖を引きちぎって逃げるぞ。」


「えっ?」


ゼルは見張りに聞こえないように言う。

ライカは驚いて口を開けてゼルを見る。

ゼルはライカに少し笑顔を見せると、バレないように”破壊”の魔術を使って、鎖にヒビを入れた。

そして力を思いっきり入れる。

すると、ゼルの鎖は引きちぎられ、破片が辺りに飛び散った。

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