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吉岡綾乃は最強の魔法をかけた  作者: 椿 雅香
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綾乃と中島との語らい

中島も小西と同じことをします。

 小西が帰った後で、中島と静香が来た。二人とも、私の回復を喜んでくれた。私は、小西の霊力が気になった。小西は教えてくれなかったし。

中島が辛そうに言った。

「透の霊力は、ものすごく落ちてる。少なくとも、今は、初歩的な魔法しか使えない」

 やっぱり。私は、あいつから霊力を奪い過ぎたのだ。他人から霊力を奪うのは初めてだったし、あの状況では力の加減が利かなかったのだ。だから、あいつは私の心が読めなかったのだ。でも、あいつ、どうして、はぐらかしたんだろう。よく分からないヤツだ。魔法使いにとっては、大変なことなのに。

 二人は、私が眠っていた間の話をした。静香と中島は、リバウンドが起こらないように、エノキの報告を聞いて魔法をかけたらしい。中島が静香に方法を教えたのだ。エノキは、二人が味方かどうか疑ったようだが、静香が真面目に頼んだので味方だと判断してくれたそうだ。二人の報告を受けて、私がいなくてもこの二人に任せられることを知って安心した。静香は私が考えた方法を絶賛してくれた。

 ひとしきり魔法の話で盛り上がった後で、中島が目で合図した。すると、静香が何でもないような顔で先に帰った。

 二人だけになると、中島が言った。

「透は、君を抱けるようになったから……試してみたんだろ?」

「試すってほどやなかったけど……」

「僕にも、試させて欲しい」

「?」

「シズには頼んだ。一度だけ、君を抱かせて欲しいって。君は、透を選ぶんだろう?だから、一度でいい。僕にも抱かせて欲しい。あの忌まわしい魔法がなくなったことを体で感じたいんだ」

 思わず、後ずさりした。中島がこんなこと言うなんて。信じられなかった。しかも、静香も了解しているって、どうよ。それほど、あの魔法の解除は大変だったのだ。中島も小西も、本当に解除できたか確認したいのだ。端正な顔で見つめられると、拒めなくて、黙って頷いた。

 おずおずと手を伸ばし、私の肩を引き寄せて、中島が私を抱いた。胸に私を抱いて、静かな息をしながら中島が言った。

「君の魔法が解けて良かった。君は、これから、好きな人と抱き合うことができるんだ」そうして、クスリと笑って言った。「綾乃。もし、透が嫌になったら、僕に言って欲しい。立候補する」

「シズは、どうするん?」

「多分、透の心配してくれる。僕だって、君と付き合いたいんだ」

 中島がこんな冗談を言うなんて。

 思わず顔を見た。端正で優しげな顔が目の前にある。中島は、ジュニアがいつもしてくれたように、抱きしめてくれた。大切に、大切に、ジッと動かないで。

 ジュニアを思い出して、涙が流れた。

 あいつは、どこにいるのだろう。いつ来てくれるのだろう。私の一番大切な存在なのに。

 長いことそうしていたように感じた。やっと、中島が私を離して言った。

「君は、こうなってもジュニアが良いの?」

 中島が私の心を読んだ。

「あの魔法がなくなっても、透や僕より、ジュニアが良いの?」



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