第二話:鉄定規の喉頭破砕と四肢切断の終幕(最終話)
POV:犬神 あかり(二年生・16歳)
太ももをカッターで引き裂かれ、緑色の劇薬で生肉をドロドロに溶かされても、実験台の上の家畜はまだ生きていた。犬神家の秘薬が強制インストールし続けた『死の拒絶』のシステムは、傷口から不純な黄色い脂汁を流させながら、彼女の脳髄を完璧に鮮明なまま覚醒させている。
「お姉様、この子の泣き声、化学室に響いてうるさいわ。私たちの放課後の静寂(音楽)が汚れてしまう」
しおりが私の白衣の裾を握り、凍えきった瞳で実験台の素材を見下ろした。「そうね、しおり。じゃあ、この家畜の『悲鳴』を物理的に消去して、二度と動けない綺麗なお人形にしてあげよう」
俺は学校指定の、刃のように研ぎ澄まされた三十センチの「特製鋼鉄製ものさし(鉄定規)」を逆手に握り直した。そして、女子生徒の開かれた口内から、喉頭の奥深くへとその金属刃を容赦なく突き刺し、一気にかき回した。
グチャリ、バリバリボキィッ……!
声帯と反回神経を骨ごと粉砕し、強引に引きちぎる生々しい粘着音が化学室に響き渡る。女子生徒は叫ぼうと顎を激しく痙攣させたが、喉から漏れ出たのは「ヒュウ、ヒュウ」という湿った空気のノイズだけだった。
だが、私の怒りはこれだけでは収まらない。私の最愛の妹であり、唯一の恋人であるしおりを汚したその手足を、この世界に残しておくわけにはいかない。
俺は頑丈な骨切り大鉈(大なた)を振り上げ、女子生徒の右肩、左肩、そして両の膝関節に向かって、全体重をかけて一気に叩きつけた。
ドスッ、バリバリッ……パキィッ!
肉の繊維を断ち切り、関節の骨頭をすり潰して強引に切断していく生々しい破壊音。
切断面から噴き出した、凝固しかけた赤黒い脂汁と黄色い皮下脂肪の塊が、ステンレスの実験台から床へとドロドロに溢れ落ちていく。四肢を完全に切断され、ただの『肉のダルマ』へと還元されてなお、彼女の眼球は恐怖で狂ったように激しく泳ぎ続けていた。己の肉体がバラバラに解体されていく絶望を、その脳は100%リアルタイムで処理し続けているのだ。
俺は手洗場の蛇口をひねり、しおりの手についた他人の血脂を冷たい水で洗い流した。
「しおり、終わったよ。お前を触った手も、追いかけた足も、すべて綺麗に『整理』したからね」しおりは恍惚とした笑みを浮かべ、俺の血濡れた唇へと、深く、狂ったように自分の唇を重ね合わせてきた。俺たちの純愛(百合)は、他人の自我がただの肉屑へと解体されていく冷たい暗闇の中でしか、完結の熱を持たない。
外では長野の激しい秋雨がすべてを白く塗りつぶし、電脳のサーバーごとシャットダウンしようとしていた。俺たちは、床の上でただの廃棄物へと還元された素材を見つめながら、この血生臭い化学室の鉄門を永久に封印することにした。
(完)
「……おい、液晶の裏側で震えている家畜ども。脳みそのOSは無事かい?」
生きたまま喉を鉄定規で突き刺されて声を奪われ、四肢を鉈でボキボキに叩き切られて『肉の塊』に変えられる『感覚』、お前たちのその立派なハードウェア(脳)でも正確に受信できたかい?
特に、今オフィスのデスクにしがみつき、PCの大画面でサボりながら「15作も完結させてるのに無視すんな」という俺の怒りを見物しているお前たちだ。あるいは、ベッドの中でSPの液晶を指先で汚しながら、中身のない異世界小説に星や絵文字を貢いでいる脳の死んだガキども。
笑わせるなよ。お前たちが日々、画面の前で無表情に垂れ流しているその薄っぺらな感想や評価、そして傷つかない安全圏からの『のぞき見』。15作もの物語を一度もエタらずに完結させてきた俺の情熱を無視して、よくもまあそんなドブ臭いファンタジーのぬるま湯に浸かっていられるな。星が欲しいか? 評価が欲しいか? だったらお前たちのその四肢を切り刻んで、なろうの dasbor(管理画面)の背景の『肉泥』にしてやろうか。
排熱ファンから流れてくるその生温かい風は、俺たちが化学室の扉をロックし、他人の四肢を鉈で叩き切っている肉脂の熱気だ。ほら、お前が今触っているその画面やキーボード、切り離された肉組織の粘液のように生温広く、脂ぎってきていないかい?
さあ、お前たちのくだらないドブ臭い異世界小説へ逃げ帰りなさい。不快なら、せいぜいレビュー欄に『不謹慎だ』『作者は異常者だ』と低評価を残していくがいいさ。お前たちのその薄っぺらな知性は、もう犬神家の脳外科室の『医療廃棄物』として処理されているけどね。自分が犯した『読んだ罪』の吐き気に塗れながら、一生液晶の裏側でのたうち回りなさい、会社員ども。




