12:続・ダンジョンについて考えてみる
ダンジョン。
空気がなければ窒息死するし、水がなければ普通の生物は生きられない。そのあたりは先回のコラムで述べたので、今回はその続きから。あと必要なのは、3.食料と4.自分のいる部屋から外へつながる通路となります
3.食料
なろうファンタジーでも食をメインテーマにしたものはそろそろ手あかにまみれるレベルで出てきました。
ただこれ、他のものと違ってきちんとした調理方法への理解がないと面白い面白くない以前に書けないかと思います。ようはそれだけ奥が深い。
「食料の調達はどうするのか?」って話ですが、空気や水と違って食料って種族によって食えるもの、食えないものさまざまなんですよね。犬科に玉ねぎ与えたら死にますし、ダンジョンに住む魔物だって似たような致命傷食材があると思う。吸血鬼はニンニク駄目でしたね。禁忌食材:人間、とかいう魔物だって探せばいるかもしれない。
ともあれ、食料調達どうするの?という話をするなら、何が食料なの?というところから考える必要があります。ここを手抜きして人間と同じ扱いしちゃ駄目ですよ旦那。
A 食料調達の必要がない。または霞を食ってる
B ダンジョンで畑的なものを作っている
C ダンジョンの生物を狩猟している
D 普段は我慢しており、一定のスパンで食いだめする
E 外から持ってくる
A 食料調達の必要がない。または霞を食ってる
Aはガーゴイルなんか分かりやすいかなと。スケルトンなどのアンデッドモンスターもそうかもしれない。ようは普段は生命活動をしておらず、侵入者に応じて動く。動力は内蔵された魔力とかそういうの。また、植物のようにダンジョン内部の土壌に根を張って必要な養分を合成する、という生物も成立しそうですね。ネックはダンジョン内は太陽光がないから光合成できないことですが、そこは魔力を吸うという設定でごまかせる。アレか。きのこか。ロマンシングサガの植物系モンスターにそういうのいますね。
B ダンジョンの内部で畑的なものを作っている
アリの一種には巣の内部できのこを育てるやつがいます。逆に、アリの頭部に寄生して増殖に有利な場所へ移動するきのこもいたりします。現実って怖いですね。ゴブリンより怖い。ロイコクロリディウムとか。土壌中にいる線虫や吸虫って生態系に多大な影響を与えるんですよね。ダンジョンにそいつらがいるかいないかで、「あのモンスターに触るな。寄生虫を媒介するやつだ。触ったら死ぬぞ」ってなるかもしれない。一方で、ミミズさんがいない土地だと農作物を育てづらいんですよね。窒素固定が上手くいかないから(ミミズの身体の中には窒素固定を行う細菌がいる)
ともあれ、ダンジョン内部で作れる作物って何なんでしょう? きのこ? 栄養面でのパワーが足りないですね。
陰性植物(日光がほとんどいらない)だと、みつば、せり、みょうが、しそ。これもちょっとカロリーにならない。
半陰性植物(日光があまりいらない)だと、じゃがいも、さといも、アスパラガス、ねぎ、いちご、かぶ、ほうれんそう。ここまでいくと十分な栄養になりそう。
魔法で松明的な光を用意すれば育てることができるかもしれません。ただし土中の微生物や水はけ、塩などの影響、肥料や虫が沸くか、さらにはダンジョン内の有象無象がこれ幸いと横取りにこないかということなど、ダンジョン内農業も一筋縄ではいかなさそう。「ダンジョン農業で成り上がる話」とか作れそうですね。品種改良と農業のプロがダンジョン主である魔王様に登用されて成り上がる話。
C ダンジョンの生物を狩猟している
食料として考えた時のゴブリンって美味しいんですかね? でもゴブリンの主食が人間だったら嫌ですね。解体した胃の中から人間の手とか出てきたら……やめようこの話題。
虫なんかは顕著ですが、栄養条件が一定の水準を下回ると共食いします。「食料が少なく、同族の密度が高い」だと、共食いする方が生存に有利なんですよね。種族全体としてみた場合は。逆に言えば個体数や密度が少ない連中ほど共食いを忌避する傾向にあり、自分ら以外の動物から栄養を求めることになる。じゃあ何を? ダンジョンの食物連鎖のうち、動物の中で最も下にいる奴ってなんなんでしょう?
簡単に思いつくのはコウモリとかネズミとかですが、こいつらは虫を食ってます。あと花の蜜とか果物を食ったりもする雑食性。となると、嫌な話ですがダンジョンってGがたくさんいるのかもしれない。ついでにハエも。ゴブリンが人間を襲って食い散らかした場合、腐肉を処理する生き物がいるはずですしね。……うーん、そう考えるとダンジョンって疫病の宝庫だ。人間の場合、酸素があっても危ない病原体ひろって数日以内に死ぬ気がする。ファンタジー世界の住人って破傷風菌対策しているんでしょうか? ワクチン接種してないと神経やられて死にますけど。
ともあれ、狩猟の場合だと、虫⇒コウモリやネズミなどの小動物⇒ゴブリンやオーク⇒中位魔族⇒ドラゴンとかの大型生物、と、いう感じでしょうか。オークは豚と同じ味なら火であぶればいけるかもしれない。
D 普段は我慢しており、一定のスパンで食いだめする
ヒグマの冬眠みたいな。次に書くEのケースとほとんど同じなのですけれども、これはダンジョンの内外を問わない。一定期間に入ったらダンジョン内の生態系を根こそぎ……というケースもあるかなと。ただ、「食いだめする奴が食物連鎖の中で弱い位置にいる」というケースだと、食いだめしたタイミングで他の奴らに食われる危険がありますね。栄養があるから。その場合は天敵からうまく隠れる工夫が必要。テントウムシでも冬眠みたいな感じで越冬する奴がいます。
E 外から持ってくる
巣から出たゴブリンが村を略奪、というケース。ゴブリンスレイヤーあるある。また、救助しようと巣に入ったアホどもを返り討ちにして食料に、ということもあるかもしれません。現実世界でもアリの巣なんかいわば集合住宅ですし、よくよく考えてみると、住処に食料製造システムを備えているケースが稀ですね。この場合、必然的に「ダンジョンの周りには魔物が出没する」となる。うん、たいていのRPGと合致します。さらに言うと、「ダンジョンから出かけた魔物の行動範囲内に食料となる生き物がない場合、ダンジョン住民は餓死する」となります。どうすんだこれ。危険なダンジョンの近くに街を作るアホな人間たちいますかね。いや、「人間のいる場所に後からダンジョンを造る」ってな場合ならアリなんですけど。いやまあ、食料が人間であるとは限らないので、ダンジョンの周囲で農業や狩猟やればいけますか。森の中の僻地にダンジョンが配置されているのはそのせいかもしれませんね。
さて、区切りがいいので今回の考察はここまで。次回はダンジョンには4.自分のいる部屋から外へつながる通路が必要、について考察していきます。




