第五十七 『強引な作戦』
——つまり?
他の世界で、人間に呼ばれて出向いていて、破壊の限りを尽くしている最中に、彼女に呼ばれたが後回しにした。
そしたら、置き手紙が置いてあり、『人間の方が好きなら、人間といればいいじゃん!
私も別の人間で遊んできます♡』と書いてあった。
一度は会うことは出来たものの、その後は消息が不明になり、困っていたと。
はぁ……。
コウちゃんの肩に腕を回し、強制的に屈ませ、耳打ちする。
「あいつよりやばくね?」
「…………思ったけど」
「破壊の限りを尽くすってなんだよ……、やべぇよ……」
「……思ったけどさぁ……」
「汝ら、何隠れ耳打ちせり。」
耳打ちしていた俺らの後ろにいつの間にか回り込まれていた。
「いや、その……」
「どうしたら、彼女の勘違いを晴らせるか、作戦会議的な……」
「ふむ、存外人といふは使ふべきかな。
我も入れよ。」
最後のは分かるぞー、俺も入れろだろ。
……いや、待てよ。
「あー、しゅ……黒八木柊花さんが婚約者で合ってます?」
「黒八木柊花?
……あなや、偽の名か。
おそらくさり。されど、その実検はなんのために要なり。」
「多分そうだけど、なんのために確認したんだよ。」
コウちゃん翻訳機便利〜と思いながら、ポケットから、アレを2つとも取り出す。
「まだ婚約者でしょう?
…………じゃあ、結婚しちゃいましょ!」
「あふと…!?
さればなぜなり。
それに、その指輪には見聞ぞある。」
「……おい!それ、契約の指輪じゃねぇか!
一個は七音のだろ、もう一つはお前……どこから……」
そうだ、これは柊花が2人に渡した指輪、片方は七音。
もう片方は穂波のものだった。
……柊花に穂波の安否を確認しに行った時に、回収したのだ。
「汝、我がちぎり者の契る者か…!
されど、その指輪がなんの役に立つといふなり。」
「魔法使えるんだったら、理想の指輪に変えて……
ここを式場にするんです……!」
「なにと。ふざけたりや。
など、かかるかたにあひすべきなり!」
「彼女の機嫌を直したいんでしょうっ!
泣いてましたよ、すごく悲しんでました……。」
反論してるのだけど分かったので、眉を下げ、悲しみに同調したような表情をして告げると、相手もぐぬぬと迷い始めた。
俺を見てコウちゃんが後ろでドン引きしている、あんなのは無視である。
「されど、かかることを人や望まむ。
……おのづから、理想ならずと跳ね除けられば。
おのづから、あひなどせずといなびられば。
我は汝を許すべからず。」
「断られたらぜってぇゆるさねぇぞって言われてるぞお前。」
「なんか顔怖いからなんとなく分かるわ。その場合俺死ぬ。」
……でも、覚悟を決めなくてはいけない。
「俺も大事な人がいる男です。
……彼女のために、やりましょう。
じゃないと、本当に待ってるのは破局です。」
真剣な表情で説得し続ける。
鬱陶しいだろう、だが、あの女を放置すれば待ってるのは……。
考えたくもない。
相手も俺の顔を見て、頷いた。
「教室に行きましょう。
彼女がそこで待ってますよ。」
「……案内せよ。」
コウちゃんと目を合わせる。ヨシっ!
第一段階が突破しただけ。
たかが一歩、されど一歩だ。
俺らは、金髪を教室へと案内する。
「ちなみに、なんて呼べばいいですか」
「ふむ……ロトにてありぬべし。
元来の名は、人には発生えねばぞ。
ひとときの組む者よ、敬称ぞつけぬべき。」
「ロトか、いい名前だな、かっこいい。
俺、飯岡健、ちょっとの間よろしく」
「心臓に剛毛でも生えてんのか、お前……。
……霜井戸孝乃。コウって呼んでくれ」
「教室とやらに着きし後の案、よきにはからへ。」




