第四十三 『集合』
「集まってくれてありがとう。
まず、元々上野七音の体で活動していたそこの飯岡健の大切な人が腐れ女に取られたので腐れ女を潰して取り戻すわ。
これに関しての異論は認めません、でも意見なら受け付けるわ。どうぞ。」
「待て待て待て」
コウちゃんからツッコミが入る。
「……いや、すごく端的に言うんならそうだな、それが分かりやすい。
分かりやすいんだが……その、事情の分かっていない旗靡と前原のためにもっと深く説明してほしい。」
「………………なら、未来の旦那様にお願いしようかしら」
「へぇ、今回は小崎会長ルートなんだ」
旗靡に問われ、会長に腕を組まれた状態で違う違う違うと首を横に振り続けるコウちゃんに笑いそうになる。
堪えろ、堪えろ……。
「ふっ……」
「きゅっきゅっきゅっ!」
七音が鼻で笑い、キュウは触手同士をぶつけて……おそらく笑っている。
やっぱりこいつ性格わる〜……。
「あー、じゃあまず、こいつ……飯岡健はこの世界の人間じゃない。
『ア・カペラの星』に登場するヒロインに攻略される攻略対象の1人だ。
で、攻略対象のもう1人が高岡穂波。
さっき言ってたこいつの大切な幼馴染だ。
ちなみに、この高岡穂波は明日の体で活動していた。
多分覚えがあるはずだ。」
「え、明日ちゃんもっ!?」
「まじか、ロールプレイ上手すぎでしょ」
「まあ、本来の設定の明日ならああだからな。
で、あっちのヒロインである、黒八木柊花というのが会長の言う腐れ女だ。
つまり、高岡穂波を人質に取っている犯人。
で、俺らの目的は……」
「——穂波を助けて、あの女を倒して、平和な世界に戻したい」
「……願いがグレードアップしてるが、今の目標は高岡穂波を助けることだな。
倒すのとか、世界平和とかは後でもいいだろ。」
割り込んだ俺の頭を鷲掴んで、第一目標を告げてくれた。
穂波が戻ってきた後に、また同じ状況になるのを避けたい。
「その……」
高菜ちゃんが控えめに手を上げてくれる。
コウちゃんはそれを見て頷きで、意見を許可した。
……もしかして、さっき怯えられたの気にしてるのか。
「柊花、ちゃん?っていう人を倒さなくても、話し合って穂波くんを取り戻すことは……出来ない、のかな?」
「……黒八木柊花は、おそらく人間じゃない。
正体に関しては何も情報がないが、なにかの契約をしたり、空中に浮くことが出来る。
多分、悪魔とか、そういう類の悪い化け物だ。」
「ッ!」
高菜ちゃんはそれを聞くと、口を手で覆って驚く。
協力しろなんて迫ってる手前、あいつの正体を明かさないわけにはいかない。
俺は口を開く。
「今まで隠してきたことがある。
聞いてほしい。」
全員が頷いてくれる。
「…………『ア・カペラの星』では、この世界の好感度システムとは違うシステムがあった。
——精神力だ。
黒八木柊花は、人間を攻略対象として、好感度を上げるんじゃなくて、精神力を削ってきた。
削り切って、廃人になったら、自分のものになる。
そんな考えを持っている化け物だ。」




