第四十 『再会』
「やばい…………意気消沈してたら迷った……」
七音の家からいつも行っていたため、道が分からなくなっていた。
そもそも、自分の家がこの世界のどこにあるのかも分かっていなかった。
「うわぁ、どうしよ。
時間………待てよ、スマホに…連絡先…!」
「きゅう」
「……まぁ、ないよな。
七音の時ならまだしも…」
「あれ。どうしたんですか?」
「その、高校の……っ!」
息をのむ。そこにいたのは、主人公だった。
キュウを胸ポケットにしまう。
俺がこの世界でどういう立場なのかも分からないのに、どう伝えようか迷っていると、主人公は俺の制服に気づいてくれた。
「あれ、同じ高校なんですね、
もしかして、今日来る転校生の?」
「そ、そそうです!飯岡」
「————ケン」
名前を告げようとした瞬間、先に名前を呼ばれる。
まるで最初から分かっていました、とでもいうかのような顔をしている。
ああ、良かった。
「コウちゃんッ!」
「おう、お前の元幼馴染の霜井戸孝乃だぞ〜」
頭を掴まれ、ぐりぐりと雑に撫でられる。
きっと彼なりの慰めだ。
「……よく俺のこと分かったね」
「いや、飯岡って言われるまでは、モブ合流イベントなんてあったっけってなってた」
「あー……想定外の隠しイベントかと思ってたんだ。」
「まあな。まさか、こんな……なぁ。」
コウちゃんが俺を上から下まで舐めるように見てくる。
……なんかやだな。
小さいと小声で聞こえてきた、足で脛を蹴っておく。
……胸ポケットからキュウが威嚇しているのが聞こえる。
ありがとな、と思いながら、指で撫でておく。
ネトネトする。
「……こいつなに?」
「……柊花の眷属、今は俺のサポート役、キュウって呼んでるよ」
「敵じゃねぇの」
「——貴方たちいい加減にしなさいよ。」
塀の裏から七音が出てきた。
コウちゃんはやべっという顔をしている、こいつ多分忘れていたんだ。
「七音!……さん」
どう呼べばいいか分からず、とりあえずさんをつける。
「七音でいいわよ、学校に行くわよ」
「ウッス」
なんとなく強い女性だとは感じていた、子分になった気分になる。なんというか姉御っぽい。
「ちなみに言うと、穂波とやらはいないわよ。
明日も元に戻ってるからね」
「いつの間に確認したんだよ……」
「そ、そうすか……」
やっぱ、戻ってるんだ。
穂波だけが、あの女のところに囚われている。
脳のどこかでずっと、きっと助かっているなんて平和ボケした考えを持っていた。
そんな考えを捨てる。
キュウを利用して、取り戻すための準備をしよう。
「……そんな思い詰めた顔をしないでくれる、苛立つ」
「俺は苛立ちとかはないが、そうだぞ。
少なくとも、協力できることは俺らは協力する」
「ちょっと……!巻き込まないでくれるッ!?」
七音が容赦なく、コウちゃんの脛を蹴る。
俺の時はダメージを受けなかったくせに、七音が蹴った時は悶絶していた。
胸ポケットのキュウは頭の触手を叩いて、まるで笑っているようだった。
……性格悪いな、こいつ。




