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第三十一 『あきらめ』

「こんにちは、霜井戸くんとそれ以外」

「こ、こんにちは」

笑顔が引き攣るコウちゃんに笑いそうになる。

それ以外達は後ろでぺこぺこしてますよぉ。

「なにかあったの?

この子達になにかされた?」

「いや違、会長、協力……してくれませんか」

「……詳細を聞いてもいいかしら、それと古味と名前で呼んで、将来はそう呼ぶもの」

「は、ははは…

……その、元の七音達が戻れるように、かつ、こいつらがここに残れるように」

「それは無理よ」

「!そんな!データをいじれる会長なら…!」

思わず口を挟む。

「……私がいじれる範疇は、プレイヤーが見れるものだけ。

つまり、この世界の内部を弄ることは出来ないの。

……そんなこと、出来るとしたら、神、くらいでしょうから」

神、ずんと体が重くなるのを感じる。

「セーブ、ロード、ログ、俺の好感度表、確かに全部見えるものだけ。」

「あら、好感度表、騙されてくれなかったのね」

「そりゃあまぁ、好きな人の近くにいる攻略対象()を好きなワケないですから」

「賢い子は好きよ」

プレイヤーが見えるものをいじる、それに伴い内部も変わるはず。

セーブを消すのなら、セーブのあるファイルが消える。

なにか、利用できないか…?

「そういう期待を寄せてくれるのはいいけれど、あの子達(七音と明日)をここに戻すことは出来ない。

あちらの世界に干渉する力を私は持たないの」

「そんな……」

「……勝手に期待して、勝手に失望しないでちょうだい」

「それはすみません、会長が七音たちにとっての蜘蛛の糸になれたかもって考えれて」

「…………」

勝手なことを言っているのは分かる。

だが、希望を持つのは悪いことではないだろう。

「希望なんて、最初から持たなければ、絶望はしない。」

「え?」

「最初から、全てを諦めたらいいと教えてあげているのよ」

「…………」

隣で明日は暗い顔をしている。

コウちゃんも俯いている。

会長に向き直る。

「諦めたら、なにも出来ないじゃないですか。」

「……」

「諦めるのは、足掻いてからでも遅くないです。

出来ることを、やれることを全部やってから……」

「いいわね、挑戦出来て。

男だからかしら。本当に、いいご身分ね。」

珍しく表情を崩した会長が目の前にいた。

……もしかして、俺、地雷踏んだ…?

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