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閑話 平和な夏の日
「健ちゃんさぁ」
分けたソーダアイスのでかい方を食べながら、穂波が話しかけてくる。
「先に食えよ、溶ける」
「ほなちゃん、そんな過ち起こしませーん。
で、健ちゃんさぁ、もう気になる子とかできたぁ?」
汗を拭う、暑い。
こんな暑い中、恋バナなんて頭が沸いたのかこいつは。
そんなことを考えながら、クラスメイトの女の子たちを思い浮かべる。
井上だろ、まおち、ナナ氏と……ミラ、木下さん、他の子達も頭に浮かべるが、うーんピンと来ない。
高三になると、恋人が出来ないことに諦めがついている。
「いやー、ピンとこねぇ。
お前と遊んでる方が楽しそうだし」
「……お前、そのうち魔法使いになるぞ。」
「その時は、お前に魔法を使ってやるよ。
……ビビデバビデブー、なんつって」
「ぷっ、俺シンデレラかよっ!」
「ははは、この前スリッパ落としてただろ!」
「おまっ、トイレスリッパのシンデレラとか嫌だろっ!」
二人で顔を合わせて笑う。
俺のソーダアイスは溶けて、指を滴り落ちる。
そんな平和な、いつかの夏の日。




