第二十七 『ゆびきりげんまん、うそついたら』
パッと目を覚める。
シマントが目の前にいる。
「あ、あはは…もしかして…」
「おん、寝とったなぁ」
「……まじすか」
「起きたからええけど、次見たら、ゲンコツくると思えよ」
体罰じゃねぇか!!!と思いつつ、寝た俺が悪いので、ハーイと返事する。
シマントは満足したのか、教卓へと戻っていった。
……なーんか、変な夢…見た気がする。
夢だったのかな。
あの女が出る夢とかやだな……、つか穂波が大切な人って…気恥ずかしい〜、大切な幼馴染だから、間違いはないけど、なんか照れくせ〜…。
一人百面相を繰り出していると、チャイムが鳴る。
「……時間取られたな。
まぁええわ、これで授業終わり!
起立…礼!
次は、コンパス使うから持ってこいよ〜」
そう言いながらシマントは教室から出ていった。
ふぅ。
寝ちゃうなんてやっちゃったな。
……とりま、中庭行くか。
——やってきましたは中庭、木の葉が揺れ、日が当たり、それはそれは眠たくなる、じ、かん…。
…………いや、いやいや寝ませんけどね。
寝ません。
そう思いながら、ブラックコーヒーを飲む。
あの女の言うこと信じたくはないけど、別に地雷を踏みに行くほどの馬鹿でもないし??
——コーヒー、にっがぁい…。
あんぱんあんぱん…。
「てか、もぐ、ゲームオーバーだったのかな、あれ」
「え!?ゲームオーバーってなに!??」
「いやさ…なんか寝たら幽体離脱してさ、そこらへんふよふよしてたら、あの女に回収されたのか、暗い場所にいて、起きたら怒られて…って感じ?」
「………まったくわからん」
「七音の死亡エンドが一つしかないなら、あれはなんだ…??」
「……わかんないってー…ほなちゃんのいないとこで、変なことしないでっ!」
ぷりぷりと怒る明日は可愛いが、脳裏に穂波がチラついて仕方ない。
「夢かもしれないけどさ」
「夢ならいいんだけど……」
穂波は心の底から心配しているようで、こちらを見る顔は少し暗い。
「とりあえず、授業中には寝ないように気をつけるよ」
「とりあえずをやめてよ、絶対だよ、もぅ…」
「あはは、絶対絶対!
ほら」
「……ゆびきりげんまん」
「嘘ついたら〜」
「俺に焼肉おーごり!」
「なっ!焼肉はやりすぎだろ!」
「うっさいうっさい!あっかんべー!」
指切りで約束をして、二人わちゃわちゃと遊ぶ。
楽しい。
怯えなくていい。
とても楽しい、この時間がずっと、
——ずっと続けばいいのに。
——問題もすぐ解き終わる。
授業中なんて暇でしかない。
幽体離脱した時、俺の姿はどっちだったのだろう、とくだらないことを考えて、クラスメイトが話しているのを眺めている。
「会長がまた新しいこと始めるって」
「前もルール変えてたよね、さすが小崎家の方だわ」
「いいなー、あんなお家に生まれてたら、将来困んないでしょ」
……そういえば、会長と…目が合ったような…。
…………考えても仕方ない、あれはもう、無かったことなったのだから。
そうだ、上野七音はここにいて、みんなもいる、それでいい。
——本当に?




