第二十六 第二十五 第二十四 第 第 第第 『第二十七』
「…………すぅ…」
俺の寝息が聞こえる。
おかしなことかもしれない。
ちゃんと言えば、俺が目の前で……。
いや、七音が目の前で眠っている。
触れることはできない。
すり抜ける。
体と精神が一致してないから、おかしな話だけど、幽体離脱。それしかない。
(どうするかな)
水の中を進むように教室中を周る。
七音が怒られているのを、明日は笑って見ている。
コウちゃんも笑っている。
高菜ちゃんも。
みんな、幽体になった俺を見えていない。
きっと、誰にも気づかれない。
教室の外に出る、ふよふよと浮いていても、誰も俺に目を向けない。
背景は動かない、チョークの音、教師の声、ひそひそと友達と話す生徒の声。
心地いい。
散歩のような気分で進む。
(どうやって戻るのかな)
ぼーっと進みながら、そう考える。
3年生の教室まで来てしまった。
会長を利用した時もここに来たなぁと考える。
会長のクラス、と小窓から覗き見てみる。
会長も目が合った気がした。
いや、目が合っている、目を見開く会長と同じように反応してしまう俺。
授業中なので立たないけど、じっと俺を見つめてくる。やばい。
やばいやばい。
浮いた状態で、自分の教室へ急ぐ。
壁を抜けれたら、早いと思い、抜けようとしたがぶつかる。
んぇっ!?壁判定ありかよ!?
くそっ、渡り廊下を渡り、教室に戻る。
————。
声を失う。
明日が笑っている。
シマントが注意してる。
コウちゃんは授業に集中せず、窓の外を眺めている。
高菜ちゃんは真面目に問題を解いている。
旗靡はこっそりスマホを触っている。
いつも通り、いつも通りの日常。
本来なら寝ている七音を除いて。
七音と目が合う。
にまり、歯を剥き出して笑いかけてくる。
苦しくない、苦しいはずがない。
怖くない、怖いはずがない。
必死に、必死に否定しても現実は無常だった。
戻れ、戻れ戻れ戻れ、戻れ戻れ戻れ戻れ。
戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ。
必死に自分の腕を引っ掻く。
痛い、戻れ戻れ。
痛い、痛い。痛みが和らぐことはなく。
そして、七音に戻れない。
戻れない。




