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第二十六 『回避と疑問』

「てかさー、攻略続けた方がいいの?」

「まぁ…クリア条件じゃない?」

「現状友達になってるだけだし…。

なんか…クリアって言っても、なにがクリアなんだよ。

本来の二人が元に戻れるって意味のクリア?

それとも、記憶何周めの始まりのクリア?

概念がむずい!!」

「うーん…クリアはクリアだし…。

クリア特典に情報とかあるかもだし…」

ありえなくはないが…。

全員死亡エンドを迎えて、異端分子の俺らがデータから追放(デリート)される可能性もなきにしもあらずだ。

二人でうーんと唸る。

「あら、ごきげんよう」

後ろから会長の声が聞こえてきた。

「あれ、会長。こんにちは、どうかされました?」

「お昼をここで食べようと思ったのに、ご一緒してもいいかしら」

「え!もちろん!

ね、あ…す…」

明日は顔を真っ青にしている。

まさか怖い、とか?

全員死亡エンドの要になる人物だから、なんとなく分かるが、それじゃあ失礼だろ。

明日、明日と声をかけて、肩を揺さぶると、ハッと意識をこちらへ向けてくれた。

「ご、ごめん」

「…………体調が悪いみたいね、保健室へ行くことをおすすめするわ」

「そ、そうですね!歩けそう?」

「う、ん…」

「すみません会長、お昼はまた今度ご一緒しましょ!」

そういい、その場を離脱する。

保健室前でもぐもぐパンを食べて待つ。

「明日さん、もう大丈夫そうよ」

「ありがとうございます!」

「やだ、床に座るのは汚いわよ、二人しかいないから中入っちゃいなさい」

「すみません」

そういい、中へ入る。

青ざめていたのもマシになる。

明日は俺の顔を見ると、ホッと息をつく。

「先生、ちょっと離れるけど、教室戻る時はドア閉めといてね」

はーいと返事し、パンを再度貪る。

「ごめん、ありがとう」

「むぐ……昨日助けてくれた恩をすぐ返せると思わなかったよ」

「いや…その………」

「会長やっぱ怖い?」

「そうじゃなくて」

「あっ、悪口みたいになるの気にしてる?

中庭行く?」

「だから…!」

バンッと机を叩かれて、驚いてしまう。

台パンするほど嫌なこと言ったか…?と怪訝な顔をする俺を見て、明日は盛大にため息をつく。

「フィールド外…だろ、中庭。」

「うん」

「俺らがさっきいたのも」

「中庭…ん?」

いやいや、でもさ、攻略対象だし。

「俺らが例外ってだけ。

コウちゃんにも聞いたらいいよ、イベント時以外は入れない」

「いや、だって、高菜ちゃんとか屋上にさ」

「あれはあの二人のイベントだ、明日(おれ)ですら入ることを許されなかった」

「つまりさっきの会長は…」

コクリと明日はうなずく。

「"あの女"だった!てことか!」

ガッタンとでかい音を立てて、明日が椅子ごとひっくり返る。

大丈夫か、と慌てる俺をよそに明日は頭を抱えている。

「ほなちゃん悲しいよ…俺の親友、察しが悪い………」

「…………そのリアクション古臭いぞ」

「うぐっ」

小さなダメージを親友に与える。

ふん、察しが悪いってなんだ。

多分、同じような状況になったら、みんな同じことを考えるぞ。

よいしょと明日は座り直す。

話の続きをと真面目な顔をするが、先ほどので空気は緩んでしまった。

手元にあったパンはすでに食べ終えたので、手持ち無沙汰だ。

「あの会長は正真正銘会長だ。

で、中庭に入ってきた。なにかしらイベントがあった可能性もある。

ただ、俺らが話していたのは、『クリア条件』うんぬんの話だ。会長が大好きなコウちゃん(主人公)じゃなくてな。

…………これは言うかは迷ったが、言っておこうと思う。

最初に、俺はサポート役で、好感度を伝える役割もあると伝えたのは覚えてるな?」

「そりゃあ、まあ。」

「まず、真っ先に攻略した高菜ちゃん

もちろん好感度はMAX…てなわけでもない。

MAXにすると、結婚ルートだ。

だから、70%止まり、まあ言うなら親友ルートだな。

旗靡は50%で、」

「ちょ、ちょーっとまて。

旗靡も攻略完了って出たんだけど」

「…………キャラによって違う…って伝えると分かるか?

細かく話すと裏設定とかさ、なんか色々あって長くなるから」

「あー、うん、なんとなく分かった。

手短に、続きをどうぞ」

「こいつ…

ごほん——で…問題の会長は…」

「会長は…?」

ゴクリと唾を飲み込み、明日から次の言葉が出るのを待つ。

「…………その…あまり驚かないで欲しい。

好感度MAXでさ、」

「……………………

どえええええええー???!!」

「うるさっ」

「いや、なん、え?

わか、んんんん?」

「出てない出てない、言葉が最後まで出てない。

……分かんないのは分かるけど!俺からはそう伝えるしかないの!」

「えーー…え、えーーー………」

な、にもしてないわけじゃないなー…!!

コウちゃんとの水族館デート無理矢理つけたわ…!!

あれか…?あれだけで…?

それとも、本当の七音に…?

脳みそがこんがらがって、パニックになる。

これがこうで、あれがこうでと整理していると、明日は口を開く。

「まぁ…最悪なエンドは回避できそうで良かったよ」

「……」

全滅エンド。

回避できるのなら、必ず回避したい。

もし、全滅してしまったら、2週目以降でも支障が出てくる。

「…………昼休み終わるな、戻るか」

「そうだね」

予鈴が鳴ったので、会話を切る。

なんだか引っ掛かりはするものの、攻略が3人済んでいるのなら、残りは明日だけ…になる。

特殊な条件を今までずっと伝えてこない。

聞いてもいないが、あいつなら聞く前に伝えてくれるはずだ。

1人どうするかなあと悩んでしまうから、授業中に寝てしまうことになるのであった。

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