第十六『嘘つき』
「私なんか助けてもどうにもなんないだろ、私がいなくなれば、お前にも徳じゃん……
まじキモすぎ、いいこぶりっこ」
「おい、そんな言い方ないだろ」
「そうだよ、高菜ちゃんが言うんだったら、本当だと思うし…….つか、嘘ついてんの園じゃね…?」
「嘘ついて、なんの徳があるんだ?」
「そうなんだけどさ…」
クラスがザワザワとし始めた瞬間に、とある生徒が爆弾を投げてしまった。
「……高菜ちゃん以外に誰がいた……?」
「え」
思わず、動揺してしまった。
そうだ、私以外に誰かが…犯人がいないとおかしい、ただその誰かを思いつけない。
明日ちゃんは、七音ちゃんにずっと付き添っていた。
つまり、私1人になってしまう。
そう考えた瞬間に、冷や汗が頬を伝った。
「まさか…」
「そんなわけが…」
憶測だけで人間は、あれやこれやと葉を広げる木のように想像が広がってしまう。
そう、ここで私が誰かを犠牲にしない限り、私が犯人になる。
思考が真っ白になる。
身体中から汗がぶわっと湧き出てくる不快な感覚、今自分が地面に足をつけているかも分からなくなる。
どうしよう。
どうしよう。
どう……。
「俺、前原さんは会長といたって聞いたよ」
「え」
助け舟が来る、ただその助け舟は私にとって力になるものでもあり、脅威でもある。
霜井戸くんその人。
「七音、会長と仲いいじゃん、その関係で俺もつるませてもらってんだけど、会長も七音のこと心配だったみたいで、前原さんと一緒に行ってくれたんだよ、2人以外は誰もいなかったってさ。本人に聞いてもいいよ。」
「そうなんだ」
「早く言ってよ、前原さんも会長に遠慮しちゃったんだね」
クラスの雰囲気ががらりと変わる、疑いの目は消えかけている。
ほっと胸を撫で下ろす。
そんな中、園ちゃんだけは私たちに信じられないと目線を向ける。
なぜ自分を助けようとするのか、と問うような目線。
私は、その目をじっと見つめる。
あなたではない、絶対に園ちゃんがやるわけない。
信じてるんだよ、と語りかけたい。
あなたが私の敵であっても、私はあなたの味方であると、伝えたい。
たった一回、友達になっただけだけど。
「じゃあ、犯人は誰って言うわけ」
「原点回帰…」
「だから、私だって」
「そんなん言っても、会長も高菜ちゃんも見てないって言うんだから、意味わかんないって」
「私が、」
「会長呼ぶ?」
「3年の忙しい時期なのに?」
「だって、言質は欲しいじゃん」
「それはそうか、呼んできてもらっていいですか、先生」
「………仕方ないか………旗靡、嘘だけはつくなよ。
信じようとしてくれる友達がいるんやから」
「ッ……」




