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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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130/131

p119

1946年 2月


三年の抑留生活を終え、キールの港に降り立ったヴァルターは、言葉を失った。



瓦礫の山。

焼け落ちた家々。

空虚な窓枠だけが残る街並み。


戦争は終わっても、その爪痕は消えていなかった。


彼は帰還民照会所で調べた住所と地図を頼りに、途切れた鉄道と木炭バスを乗り継いで南へ向かう。検問をいくつも越え、二日ほどかけて、ようやくライン川流域の町へ辿り着いた。



フリンツの家は、町外れの小さな通りにあった。

壁は爆撃で裂け、屋根の一部は崩れ落ちている。

扉は外れ、風が吹くたびに軋んだ音を立てた。


中へ入ると、家具はほとんど残っていなかった。

だが、壁に貼られた選挙ポスターは、そのまま残っていた。


「自由と民主主義のために」と書かれた標語。

その横に、失業者の行列を写した新聞の切り抜きが貼られていた。


家族の姿はどこにもなかった。

近所の老人に尋ねても、「空襲のあと、誰も戻ってこなかった」と首を振った。


部屋の奥、倒れた棚の下に小さな木箱が転がっていた。

拾い上げて開けると、古い写真が数枚入っている。


その一枚に、家の前でぎこちない笑顔を浮かべる少年がいた。

背後には、今は崩れた壁が写っている。

ヴァルターは写真を箱に戻し、静かに家を出た。


曇った空から細かな雪が舞い始めていた。


瓦礫の上に、静かに、死と破壊のすべてを覆い隠すように。

白い雪は、すべてを等しく覆い、やがて静かに溶けていく。



ヴァルターは息を吐き、歩き出した。

雪は、灰色の街に音もなく降り続いていた。


END


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