表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/131

p120

トルコの内陸部、ウスパルタの夏は酷烈なまでに乾燥していた。


キャンプを囲む鉄条網が取り払われた日、ヴァルターは帰国を希望する“戦友”たちの列を見送った。

廃墟となったドイツへの帰還。家族を捜し、瓦礫を片付ける日々。

それがかつての兵士たちにとっての「戦後」だった。

しかし、ヴァルターは彼らと共に歩み出すことはなかった。


彼の懐には、エニグマの暗号表と引き換え得た滞在許可証があった。

それは軍人としての誇りを売り払った証であり、同時に一人の人間として生きる

ための免罪符でもあった。


ヴァルターは、海から遠く離れた内陸の街に居を定めた。

砂埃の舞う静かな街だ。

彼は名前を現地風に改め、小さな修理工場を営むようになった。

鉄を叩き、機械の脂にまみれる生活は、かつてのベルリンでの日々を思い出させたが、そこには死の気配も、冷酷な命令も存在しなかった。


夕暮れ時、近所の茶屋カフヴェで、トルココーヒーを啜りながら地元の老人たちと語らう。彼らが語る羊の放牧の話や家族の悩みを聞き流しながら、時折ヴァルターは海の底に沈んだ鋼鉄の棺を思った。



ただ、乾いた風が彼の頬を撫で、過ぎ去った記憶をゆっくりと風化させていった。



END





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ