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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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129/131

p118

若い兵士は潜望鏡のハンドルを握り、ゆっくりと視界を艦橋方向へ向けた。


「……いた。ハッチのすぐそばだ。背を向けている」


ヴァルターが潜望鏡を覗くと、薄暗い緑色の司令塔の中に潜望鏡の十字線の真ん中に、フリンツの背中が映る。波飛沫でレンズが濡れ、時折ゆがむ視界のなかで、

襟足の震えまでが見て取れた。

発令所の喧騒は遠のき、主人公の耳には自分の心拍音と、潜望鏡が回転する小さな機械音だけが響いている。


「ブロー開始!」


兵士の声で、艦内に鼓膜を圧迫するような轟音が響き、逃げ場を失った数千ポンドの圧縮空気が、司令塔へと殺到する。


背後で高圧配管が弾け飛び、白濁した気泡と猛烈な水圧が、狭い室内で爆発的に

膨れ上がる。次の瞬間、ロックが吹き飛び、折れ曲がったフリンツの身体は

魚雷のように深海へと吸い出された。


一筋の影が気泡の中に消えた後、潜望鏡は空になった司令塔の縁を映していた。






「司令塔区画を封鎖。

タンクに圧縮空気を送れ。全速浮上だ」


機関長の号令とともに、艦内に凄まじい排気音が響き渡る。

バラストタンクから水が押し出され、艦体は重い枷を外された獣のように急角度で上昇を開始した。やがて、艦橋の上で低く唸りを立てていた海水が、激しい飛沫とともに左右へ割れる。


ヴァルターは海水が滴るハッチを押し開け、甲板へ躍り出た。

夜の黒海は不気味なほど静まり返り、遠く沿岸に微かな灯火が見える。


「救難信号を送れ。国際周波数だ。我々はドイツ海軍潜水艦、現在位置を伝えろ」

もはや潜行能力を失ったUボートに、隠れる術はない。


「注水弁開放! 爆薬準備!」


艦底からゴボゴボと空気が漏れる不気味な音が響くなか、兵士たちは次々とゴム

ボートを膨らませ、漆黒の海へと身を投じた。機関長が最後に艦を離れた直後、

鈍い爆発音とともにUボートはその巨体をゆっくりと傾け、冷たい黒海の底へ

吸い込まれていった。


→P.120

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