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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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127/131

p116

「――艦橋を水没させる」

ハッチ脇の注水バルブへ手を伸ばした兵士を、ヴァルターが静かに押し留めた。


兵士が怪訝な顔で振り向くより早く、自らバルブに手をかける。


「フリンツ、最後だ。開けろ!」

返答の代わりに、内側から狂ったような笑い声が微かに漏れ聞こえた。


ヴァルターは表情を消し、全力でバルブを回した。

配管が悲鳴を上げ、凄まじい水圧とともに海水が艦橋内部へと流れ込み始めた。


金属扉の向こうで、激しい水音と、空気を求めてもがく鈍い音が重なり合う。

やがて、狂った笑い声は水に呑まれ、不気味な泡の音へと変わっていった。





排水ポンプが重低音を響かせ、艦橋タワー内に溜まった死の水を吐き出していく。

水位が下がるにつれ、剥き出しになった計器類から滴る水音が、静まり返った室内で不気味なほど明瞭に響いた。


ヴァルターは濡れた手袋を脱ぎ捨て、重いハッチを蹴り開ける。


内部に充満していたのは、湿った鉄の錆び臭さと、潮水の混じった死の臭気だ。

足元の水溜まりを蹴立て、彼はタワーの底へと視線を落とす。


そこに、フリンツが転がっていた。

顔は溺死特有の土気色に変色し、見開かれた瞳には何の光も宿っていない。

指先は鋼鉄の壁を狂ったように掻き毟ったのか、爪が剥がれ、赤黒い筋が白い肌に無惨な模様を描いていた。


「……終わったぞ」


自分の声の無機質さに、ヴァルターは微かな戸惑いを覚えた。


→P.119




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