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幕間の一コマ

そして、次に目を覚ました時には既に寮の前までついていた。

「起きてください。ミア様~?セイラ~?」

「……ぅあ。もう着いた……?」

「着きましたよ。ミア様」

彼女は荷物を持って既に降りる準備ができていた。セイラが私に寄っかかって寝ているせいで体が少し重い。

「セイラー……起きて~?」

ほっぺをつつきながら肩をゆさゆさ揺らしてみる。

「……すぅ」

「こら、起きなさ~い」

「んぁ……!」

しばらく揺らしていると変な鳴き声を出しながらビクッと体が跳ねる。

「あ、起きた」

「おはよ……もう朝?」

口元をごしごししながら尋ねてくるセイラ。よだれたらしちゃって、幸せな夢でも見てたのかしら。

「部屋に着いたって。降りるわよ~」

レイとネイに先に降りてもらって、私は彼女の手を引いてゆっくりと降りる。エトラ達もさっさと降りていて、どうやら私達が最後みたい。

「あ、ミア降りてきた。おはよっ」

「お、おはよ?」

すっかり夜だけど。

「これで、みんな降りたわね。忘れ物とかない?」

「ええ。全部持ったわ」

ネイに持ってもらっている荷物で全部だし、最悪後日受け取りに行けばいい。

「ん。なら大丈夫ね。今日はみんなゆっくり休むのよ」

「すっかりお世話になったわね。ありがと、エイリーン」

何から何まで用意してもらって本当に楽しかった。ハプニングも少しあったけど全体的に満足感しかない。

「また連れて行くから楽しみにしててね」

「わ、私も招待しますわ」

エイリーンはウインクをしながら返してくれる。ロベリアも負けじとアピールしてくれる。ちょっと言葉を詰まらせかけているのが気になったけど。

「ええ、楽しみにしてるわ。おやすみ、エイリーン。ロベリア」

「おやすみ~!」

「おやすみなさい」

馬車がゆっくりと動き出すのに合わせてみんなで手を振って見送る。真っ暗な闇の中に消えていった馬車を確認したところでそーっとセイラが寮の扉を開ける。

「そんなにこそこそしなくても管理人厳しくないし、この時間帯は部屋で休んでるんじゃない?」

いわゆる管理人はこの寮にも存在しているけど、あまり厳しい人ではないしそもそも門限らしい門限はない。もちろん夜中に騒ぎすぎたら怒られるだろうけど。

「夜だしさ、こそこそっと入るのちょっと楽しそうじゃない?」

「分からないではないけど……」

若干呆れながらもそう言うと、エトラとノアも彼女に続いてこそこそっと寮の中に入っていく。ノリがいいことは良い事、ではある。

「二人とも……?」

「じゃあ、今日はここらへんでばいばいっ」

「お、お疲れさまでした」

と言ってサッと部屋に戻っていく。しばらく足音がしていたけどすぐに扉が閉まる音が聞こえて、シーンとなる。夜の静寂のおかげで自分の心臓の音が響いているように聞こえる。まるで一人でこの世界に存在しているように感じられる。

「姉様……?」

立ち止まっている私の肩をとんとんと叩いて尋ねてくるレイ。

「ごめんぼーっとしてた」

「お疲れですか?ミア様」

「そんな疲れてるわけでもないだろうけど……そうね、早く休もうかしら」

私が早く休めば彼女たちも休めるだろうし。そんなことを考えながらそーっと階段を上っていく。


「ふぅ……ただいま」

部屋に入ってとりあえずソファーに座ってふぅ……と一息。

「ミア様、すぐにおやすみになられますか?お茶を一杯淹れてからおやすみになられますか?」

「あー……すぐに寝ようかしらね」

さっき少し寝たばっかりで眠気が少し飛んでいるけどベッドに横になったらいつの間にか夢の世界に旅立ってしまいそう。

「かしこまりました。では、お着換えを持ってまいりますね」

「ありがとね」

セイラとネイが寝室に先に入っていろいろと整えてくれているっぽい。オーバは後ろで荷物を開封して整理してくれている。二人が行ってしまったのでレイが私の隣にちょこんと座って右手をぎゅっと握ってきた。

「姉様、もうおやすみになりますか?」

「ええ。そろそろ寝ようかなって」

「私もご一緒しますね」

珍しく宣言してくる。いつもなら、いつの間にかするっと入っているのに。

「もちろんいいわよ?きっとセイラも入ってくるけど」

「にぎやかに寝られそうですね……」



結局ベッドで横になった今、私の両隣はさっき思った通り埋まっている。

「ふぅ……海で羽を伸ばしたらあっという間に選考会の結果発表かぁ」

んーっ!っと伸びをしながら一つつぶやく。

「結果発表……姉様と明星戦、出られるでしょうか……」

「きっと出られると思うわよ?結果の出た競技もあったしね」

「私はしっかりみんなを応援するからね!後ろから支えるよ!」

「頼りにしてるわ」

「負けられませんね!」

結果発表から明星戦本番まではあんまり時間がないから相手を調べてもらってなおかつ急いで調子を仕上げないといけない。忙しい日々がまた始まる。

「じゃあ、明かり消すね」

そう言ってセイラがふっと火を消して部屋が真っ暗になる。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

ものの数分で両隣から静かに寝息が聞こえてきた。


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