旅行最後の盛り上がり
次の日、名残惜しいけどエイリーンのお屋敷を後にする。馬車に乗り換えてゆっくりと街を移動していく。
「いつかまた来たいわね」
「みんなの予定が合えばまた招待するわよ?私しか使わないからいつでも行けるし」
強すぎる屋敷の主。
「今度はわたくしの別荘にご招待しますわ」
ロベリアも負けじと予定を組み始める。どんなおもてなしをされるのかちょっと楽しみ。一緒にロッジみたいなところでバーベキューみたいなこともやってみたいので今度誘ってみようかな……。
「いつか私達も別荘持ってみたいですね……姉様」
「ちょっと憧れはあるわよね……でもお屋敷自体を持つのも割と夢かも」
街の郊外にちょっと大きなお屋敷を持つのもいいし、町中にこじんまりとした感じのお屋敷を持つのもいい。小さいお屋敷ならネイ達のお掃除も楽だろうしいいかもしれない。
「私もお屋敷に住んでみたいな~」
セイラもちょっと楽しみそうにそう言う。
「あ、でも使用人は別邸で過ごすとかはなしね!一緒のお屋敷に住むのがいい!」
「分かってるわよ。私だって離れて過ごすのは寂しいし」
「ほんと?やったぁ!」
「ちょっ……!?」
喜ぶとすぐに抱き着いて撫でてくるんだからセイラは……。悪い気持ちはしないけど。
しばらくセイラ達と新しいお屋敷に欲しいものを話しているとロベリアがカーテンを少しめくって外を確認している。
「着いたみたいですわね」
「噂の眺めのいいところってやつね」
「ただの景勝地、と言うことだけは言っておきますわよ?お店とかはないからがっかりしないで欲しいですわ」
念押しのように予防線を張るロベリア。
きぃっと馬車の扉が開いて外へ出るように促される。海から離れたせいかさっきまでと違う匂いがする。
「おぉ……」
思わず感嘆の声がこぼれてしまった。目の前にさっきまでいた都市が端から端まで広がっていて、その先には真っ青な海がある。それを支えるように足元には白い花と赤い花が咲いている。
「えぇ……綺麗……」
「すごっ」
各々が感動の声をあげる。あのエイリーンでさえ隣でじーっとその景色を眺めている。
「ふふっ。感動してもらえたみたいですわね」
皆の様子を見ていたロベリアはとても満足そうだし得意げだ。
「この街には結構来てたはずなんだけど……まさかこんな穴場があったなんてね」
「ここは帝国側と反対に進む道ですもの。知らないのも無理ありませんわ」
そう言いつつもちょっと声が上ずっている彼女。かわいい。
「じゃあ、私は先に戻っていますから存分に景色を楽しんだら貴女たちも戻ってきてくださいな」
そう言い残してロベリアは馬車の方へ戻っていった。少しして馬車の窓から見ているのが見えたけど。
「このそよ風も心地いいわね」
「私たちの貸し切りだしね~!」
確かに周りに私たち以外の人間がだれもいない。本当に穴場だったのかもしれない。
結局、景色を眺めながらあーだこーだ感想を言い合っているうちに結構な時間が経っていた。
「おかえりなさい」
「ただいま~」
「ずいぶん楽しそうでしたわね」
皆が乗り込んで、またゆっくりと動き出した馬車。
「いろいろしゃべってたらあっという間に時間が経ってたわ」
「きっと着くころには夜中になってしまいますわね」
「途中で一泊って言うのも……」
「あまり悠長にしてると選考会の結果発表日に遅れますわよ?」
「あ!そうだったわね」
そう言えば楽しい思い出をたくさん作っていたせいで忘れかけていたけど選考会の結果発表がされるのはもうすぐだったか。
「みんな通ってるといいですわね」
「そうねぇ……一位で通った競技は行ける気はするけれどね」
「他の学校の選手も気になるわねぇ」
各校のトップ層の戦いになるし、エイリーンとか特にライバルの同学年が出来たら映えそうだ。
「調べられる限り調べておくのはアリね」
「む、無理しなくていいのよ?」
「やりたいからやるだけ、安心しなさい」
そう言いながら頭をぽんぽんと撫でてくるエイリーン。そのままほっぺたをツンツンとして満足そう。
「私は皆を応援するの頑張るよ!」
「しっかりと戦えるように身の回りを整えますからね、ミア様」
「ありがとう二人とも……!」
一般の観客も見に来られるらしいし私の頑張ってる姿を二人にも見てもらいたいかも。




