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休暇の終わり

「なかなか出てこないわね」

「話が盛り上がってるんじゃないですの?」

食事をして飲み物を楽しんでも追いつかないくらい彼女たちが出てこない。何かトラブルが起きてなければいいんだけど……。

「あれ?降りてきましたよ」

うんうんうなっていたら、ちょうどよく彼女たちが下りてくるのが見えた。おおっ?入った時より距離が近い。腕を組んで本当の姉妹みたい。

「本当の姉妹みたいですわね」

「はぁ、よかった……」

場所を用意しておいてよかった。最近二人で一緒に過ごす時間が足りなかったかも、と思ったからプレゼントしたけどしっかり堪能してくれたみたい。



すっかり夜になって別荘に着いた。一日中彼女と二人で楽しませてもらった。

「着いちゃったわね」

「もうすっかり日も暮れましたね……」

「また、お姉ちゃんって呼ばせてね?」

少し上目遣いでネイを見上げて両手を握ってお願いしてみる。レイにこうされると断れないしきっとネイも。

「うっ……かしこまりました。お手柔らかにお願いします……ミア様」

目線を反らして少し頬を赤くしながらそう言ってくれる。作戦大成功。


「……二人とも、いつまでイチャイチャしてるの?」


ネイと姉妹ごっこの余韻を楽しんでいたら、いつの間にかエイリーンがお屋敷の扉を少し開いてこちらをじっと覗いていた。これがジト目、と一発でわかるような目で。

「え、エイリーン!?」

「帰ってきたのが見えたから迎えに来てみたのに一向に入ってこないからこっちから開けちゃったわ。ほら、入りなさい」

そう言ってぎぃっと扉を開いて手招きして入るように促してくれる。ネイの手を引いてお屋敷の入り口をまたぐ。

「それにしても……二人ともしっかりお楽しみ、できたみたいね」

ネイの手を握っているところを見ながらそうつぶやくエイリーン。

「なんかいかがわしいわねその言い方」

「気のせいよ」

気のせい……気のせいか。

「そうだ、お土産。買ってきたわよ」

せっかく二人で過ごせる時間を作ってもらったし、そのお礼と言っては何だけど今日のうちに食べられそうなお菓子を買ってきた。

「おいしそうね!後で皆で食べましょ?」

「気に入ってくれてよかった」



「明日、帰るけど荷物は準備できた?」

晩ご飯を皆で囲んだ後、場所を移してお茶をたしなむ時間。隣にレイとネイが座っていてリラックス度が上がっている。

「ええ。今日出かける前にネイが済ませてくれたの」

「早いわね」

「ふふっ」

私のネイが褒められているので少し鼻が高い。

「帰りはゆっくり見晴らしがいいところを通って帰ろうと思うのだけれど」

「そうなの?」

「見晴らしのいいところ!?」

軽いお茶菓子を持ってきたセイラも思わず食いつく。

「ええ。ロベリアに教えてもらってね」

「大したことはしてませんわよ。巷でよく聞く観光地がたまたま帰り道にあっただけですわ」

「それでも楽しみですね、姉様」

「ほんとに」

こっちの世界に来てから、こういう海辺の町とか保養地にはよく行っているけど観光地らしい観光地には行ってないし。

「……あまり期待しすぎても困りますわよ?」

困ったようにそう言うロベリア。じっとエイリーンの方をにらんでいる。もちろん彼女はどこ吹く風でニコニコしているが。

「まぁ、せっかくなんだしちょっとは楽しみにさせてもらうわね……ふぁあ」

お腹いっぱいになったのとお茶でリラックスしたおかげかなんだか眠気がどっと襲ってきた。口を閉じたところで視界が少しうるんで歪む。さりげなくネイがハンカチで目元を拭ってくれた。

「ありがと、ネイ」

「明日は移動する日だし、見晴らしのいいところに行くんだから早めに寝る?いっぱい歩いて疲れたでしょうし」

「お言葉に甘えてそうしようかしら……」

「ほら、二人にベッドまで連れて行ってもらいなさい」

エイリーンがそう言うのとほぼ同時に背中をトントンとしてくれるレイと顔を覗き込んでくるネイ。

「ミア様、参りましょう?」

「うん……」

差し伸べられた手を取ってそのままゆっくりと寝室へと付き添ってもらう。

寝室の扉を開いて、ベッドを見ると、私たちが外に出かけている間にベッドメイクはすっかりされていたみたいで、ピシッとしわ一つない掛け布団をめくって横になるように促される。

「ミア様」

「ありがとう」

柔らかいベッドに体を預けて上からふわっと布団が掛けられる。やばい……すぐにまぶたが重くなる。少し抵抗して起きていようと頑張ったけどいつの間にか意識がスッと落ちていた。



「ミアって眠くなるとすぐに目元がとろんとしますわよね」

「わかる。段々雰囲気がぽやぽやしてくるのよね」

「よくうたたねとかしてるもんね~」

さっきまでそこに座っていた少女についての話をする夜更かし娘たち。

「うたたねしてるときの寝顔とか膝枕してるときの寝顔、無防備でほんとかわいいんだよね」

脳内で思い出しながらそう語る永遠の従者娘。

それを少し羨ましそうに見つめる皇女と令嬢。きっと二人にもいつかそんな景色を見る日が来るはず。先に独占しなきゃ、と同じことを考える負けず嫌いの二人。きっとミアがこの状況を見たら、「かわいい」と言うに違いない。

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