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ほっと一息

「あの……そんなに見つめられると困る、わ……」

私の寝顔をそんなに見つめないで欲しい。恥ずかしい。

「ちゃんと生きてるか不安になったのよ」

「ちょっとうなされてましたよ。姉様」

悪い夢なんて見てないけど……。と言うかいつの間にか別荘の天井が視界に映っていた。ネイの膝の上から見る景色と変わっていたのに気付かないなんて。すっかり眠っていた……というより意識を失っていたというべきか。

「そ、そうなの?まぁ最近寝れてなかったし、仕方ないかも……」

「じゃあもうちょっとゆっくり寝てなさいな」

そう言ってロベリアは頭を撫でてくる。ってそうだ。あれを聞かなきゃ。バッと体を起こして彼女に尋ねる。同時に脇腹が少し痛む。うぐっ……。

「そ、そう言えばエイリーン。地下に誰か捕まってた……?」

「あ、そうね。確かに数人を保護したわよ」

やっぱりいたんだ。ちゃんと保護されたみたいで安心する。

「良かったぁ……」

「ええ。貴女が教えてくれなかったら見つからなかったかもしれないですし……助かりましたわ」

「そうなの?」

「ちょっと扉がわかりにくく加工されてたのよね」

「へぇ……」

エラさんは何でそんなことを……。今となっては知る由もないけれど。

「ほら、安心したなら早く寝て体力回復しなさいな」

「あ、うん……。ありがと」

そう言ってロベリアとネイが私を寝かせてくれる。そのままネイは椅子に座って私に向かって微笑んでくれる。どうやら私が寝付くまで様子を見ていてくれるみたいだ。エイリーンたちは一旦安心してくれたのかネイに任せてどこかへ行ってしまった。レイは一緒に痛そうにしていたけどセイラに引っ張られて行った。

「またあとでね」

「ええ」

ぱたんと扉が閉まったところでネイが掛布団を直してくれる。

「ミア様、お加減はいかがですか?」

「だいぶ楽よ。しっかり休めたおかげかしらね。ふぁ……ぁ」

「ミア様の事は見守っておりますのでご安心を。二度とこのような目には合わせませんから」

「ありがとう、ネイ」

ぎゅっと握ってきたネイの手は少しだけ震えている。

「ネイ……?」

「ミア様……何度も怖い目に会わせてしまって……メイド失格ですね、私」

珍しい。彼女の弱音を聞くなんて。

「そんなことないわ。ずっと私の心の支えになってたのよ。ネイの事を考えてたからこの数日生きていられたの」

「ミア、様……」

「だからメイド失格だなんて悲しいこと言わないで。私の一番のメイドはネイだし、お姉ちゃんみたいなものだから……ずっと一緒にいてほしいわ」

「っ……ありがとう、ございます……!」

ぼふっと、寝てる私に上からぎゅっとネイが抱き着いてきた。あったかいしふわっとさわやかな香りがする。

「ね、ネイ⁉」

「一生おそばにお仕えしますね……ミア様!」

「……ふふっ。私こそ、ネイのそばから離れないからね」

初めて尽くしの出来事で驚いたけどネイの気持ちを強く感じられてすごい嬉しい。体が安心しきってふっと力が抜けた。ネイのぬくもりを感じていたらいつの間にか意識は闇に溶けていっていた。

「おやすみなさいませ……ミア様」



「とりあえずミアは無事でよかったわね」

「ええ。あの地下の話は秘密にしておいて正解ですわ」

「……真実を伝える必要はない、と思ったけど一緒みたいね」

そう。さっきは本当のことは言ったが全部は言っていない。確かに地下にいた数人は保護した。

「まさかはぐれ魔族の巣窟とはね。あの女悪魔、見捨てて行ってるし」

「前情報がなかったら怪我をしていたかも。ミアに感謝ですわね」

なんとあの地下には数体の魔族が人を捕食していたのだ。しかも若い女の子を中心として吸血行動。一部の遺体は肉まで喰われていて見るも無残だった。

「うっ……思い出したら吐き気が」

ノアには少し刺激が強かったのかあの日から吐き気がひどいらしい。ちょっと申し訳ないことをした。セイラとエトラとレイに背中をさすられながら水場へ走っていく。

「危うくミアまであんなのに汚されるところだったわね」

何とは言わないが、そう言う処理に使われていた遺体もあちらこちらに散らばっていた。数日以内に亡くなったらしく、多分ミアが来たせいだと思われる。

「……間に合って本当によかったですわ」

ロベリアも少し震えながらそう言う。

「あれもこれもきっと本当のこと言ってもミアは気に病むだけ……ね」

「間違いないですわ」

とにもかくにも彼女はこれからの行動をしっかり見てあげないと大変なことになることが分かった。

「ミアには悪いけど、一人行動はダメね……」

「そうですわね。必ず誰かをそばにつけないと、彼女を悪用しようとする人間が寄ってきますもの」

「基本はネイとセイラに任せればいいわよね」

「学院では私たちがしっかり同行してあげればいい……ですわね」

「そうね」

この話はミアが起きる前に皆で一度話した。皆同じ思いだったようで、あの子を守るために、平穏な日常を送るために皆で協力することになった。

「このこと言ったらミアは拗ねるかしらね。『子供じゃないんだけど!?も~っ!』って」

「ふふっ。ちゃんと説明してくれたらわかってくれると思いますわよ?」

「それもそうね」

あの子は私たちの事は信用してくれてるっぽいし、心を開いてくれているのを実感すると少しうれしい。

「さて、私達もゆっくり休みましょっか」

「そうですわね」


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