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身の危険


「怖いお兄さんたち、って俺らのこと?」


おかしい。さっき外を確認したときには彼らの姿は見えなかったのに。

「ど、どうして……」

「いやいや、逃げようとしてるのバレバレだったしw」

「気づかないわけないよな」

確かに分かりやすく警戒してたのは事実だけど……。後ろからつけられてたなんて。

振り返って走れば逃げられるかもしれない。

「おっと、逃がさないよ」

後ろを向いても男がいる。この子を連れて、抱っこして逃げるにはちょっと人数が多い。

「ていうかそろそろじゃね?」

「あ、確かに」

「……?」

何かをこそこそと話している彼ら。今のうちに……っ!

「お姉……ちゃん……」

突然ミーティちゃんが私の足に持たれながら崩れ落ちる。

「ミーティちゃん⁉大丈夫!?」

「……眠ぅ……ぃ。だっこ……」

「大丈夫……なのかしら」

とりあえずすうすう寝息を立てる彼女を抱っこして彼らと向き合う。

「やっと効き始めたか」

「ガキには興味ないんだけどなぁ」

「いったい何の話を……っ⁉」

急に膝の力が抜ける。危ない、彼女を落っことしてしまうところだった。しりもちをついたけど何とか彼女を離さずにいられた。やばい、思考がまとまらない。

「こっちも効いてきたみたいだな」

「いったい何を……」

「お前の飲み物にちょっとおクスリ入れただけだよ」

「お前みたいなバカ女は素直に出されたもん飲むんだもんなぁ。楽だったよ」

そう言ってへたり込んだ私の髪をぐっとつかんでにやけながら言う男。

「クスリ……?」

眠気なのか何なのか、まったく思考がまとまらないし体も動かない。

「特性の奴でな。無味無臭、ほとんど味変わらないからどんな飲み物に入れても気づかれないんだよ」

「卑怯……っ!」

「うるせえよバカ女。ちょっと見た目いいからって調子乗んなよ?」

そう言って私の髪から手を離したと思ったら思いっきり顔をひっぱたかれる。

「きゃっ……!」

「こいつ、落ちたらあそこ運ぶぞ」

「了解っす」

そう話す彼らの声を聴きながら意識が闇に沈んで行った。彼女は無事にお家に返さなきゃいけないのに……。



次に目を覚ますと、どこかの部屋にいた。ベッドの上に座らされていて口と手に縄がきつく縛られている。

ここは……どこ?窓にはカーテンが閉められていて外の様子がわからない。うっすら日光は感じるけど昼なのか夕方なのかは区別がつかない。少し動かすだけで縄が食い込んで痛い。

「起きてんじゃねえか。早えな」

急にガチャっと扉が開いて私をひっぱたいた男が入ってくる。思わず体がビクッとなる。

「騒いだって無駄だぞ?ここら辺人いねえしな」

そう言って私の口の縄を解く。

「な、なんでこんなこと……」

「あ?そりゃ、適当なバカ女見つけてヤり捨てるためだよ」

「ひっど……」

「お前みたいな体と顔だけの女がぶっ壊れる姿見るの、そそるぜ?」

最低な男。

「て、て言うか……あの子は無事、なんでしょうね……」

「あ?ああ。ガキに手は出してねえよ。そんな趣味ねえし。せいぜい売り飛ばすくらいだろうな」

「な……っ」

倫理観とかどこに置いてきたんだこの男は。

「ガキに手、出されたくなかったらお前が満足させるんだな」

「そんなこと……!」

「別にあんなガキでも買い手はいくらでもいるからな」

そう言ってニヤつきながらこちらに近づいてくる。そして私の水着を触る。

「嫌っ……!」

「いい水着着てんじゃねえか。邪魔だから切るけどな」

せっかくエイリーンが選んでくれたのに……こんな下衆に台無しにされるなんて。

「だ、だめっ」

「じゃあ自分で脱げ」

「……嫌っ」

そう言った瞬間首を掴まれてベッドに押し付けられる。苦しい。

「かは……っ……」

「あれも嫌これも嫌って舐めんなよ?」

怖い。苦しいし、体が動かない。息を止めるのも限界になってくる。

「けほっけほっ」

凄まれた後しばらくして手を緩められて、息ができるようになる。

「明日からハメ倒してやるから覚悟しろよ」

「……っ」

そう言い残して男は部屋から出て行った。今日中に出ないとひどい目に合う……。でもミーティちゃんの居場所がわからないし……どうしよう。

「とりあえずイオナに連絡を……」

(イオナ……イオナ!)

(マスター?どうされました?)

(た、助けてほしいの!)

(かしこまりました。今から向かいますので……そうですね、数日耐えてくださいませ)

(数日……わ、わかったわ)

間に合わなそう。どうしよう。部屋の中には特に現状を打開できそうな道具は置いてなさそう。

「……まずはミーティちゃんの居場所がどこなのか掴まないと」

彼らが来る明日までに何とか見つければ何とかなるはず。そう思って窓の方を見るとカーテンに映っていた日の光がなくなって暗くなっていた。思ったよりタイムリミットは近そう。

「早くみんなの元に帰らないと」

きっと心配してくれているだろうし。彼女たちの顔を思い浮かべて勇気を絞り出す。


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