協力者?
しばらく休んだところで近くの海の家を探して歩き出す。少し離れたところにそれっぽい建物があるからそこに行こうか。
海の家にだんだん近づいてくるとテイクアウトの飲食物を持った人が増えてくる。人が多いせいで歩みもゆっくりになってきた。
「うわぁ……混んでるねぇ」
ミーティちゃんがはぐれないようにちらちらと様子を見ながら近づいていくと、前の人が止まった。避けなきゃと思い、少しそれてもまた足が。
「おーい、かわいいお姉さん」
目の前には若い男が数名。
「妹さん連れ?かわいいねぇ」
「あの、えと……急いでるので」
ミーティちゃんも私にぎゅっとくっついている。守ってあげなきゃ。
「いーじゃんすこしくらい」
「妹も怖がってるし……早く休みたいので」
「どうせオネーサンもあそこで休もうとしてたんでしょ?一緒にお茶でも飲もうよ。奢るよ?」
「この子のお母さんも探さないとなので……」
「なになに?迷子なの?だったら俺等も手伝うよ!人手多いほうがいいっしょ?」
反論が全部潰されている。何とか逃げたいのに体が動かない。
「ほら、遠慮しないでさ」
そう言って一人の男が肩に手を回してくる。触れられた場所がゾワッとする。
「あ……でも……」
体だけでなく口まで動かなくなってきた。情けない話だけどどうしようもない。誰か助けて欲しい。そんな思いは楽しそうな周りの話し声でかき消されていく。
「とりあえずここだと暑いしさ、行こ行こ」
こちらがうまく言葉を紡げないのを見て手を回してきた男が私を押して海の家まで連行する。彼女の手だけは離すまいとしていたけど、私の手汗で滑ってしまいそう。
幸いというべきか不幸というべきか、海の家のテラス席は空いていて隅の方の6人席に座らされる。彼女を隅にして男に触れさせないように私が盾になるように真ん中に座る。
「飲み物適当に頼んでくるけど何か飲みたいものある?」
「……」
首を横に振って拒否を示すのがやっとだった。
「オネーサンどこから来たの?」
席の目の前に座る男が聞いてくる。そういえばさっき2人の男が、俺らお母さん探す手伝いするね!ちょっと行ってくるわ!と言ってどこかへ行ってしまった。探してもらえる分にはありがたいけど……。
「て言うか、一人で来たの?」
「……と、友達と」
自然に肩を触ってくるのをやめてほしい。触られるたびに不快感が溢れる。
「へぇ〜。友達と海いいねぇ。俺らここらへんの住みでさ、いろいろ案内できるんだけどどう?」
「ま、間に合ってます……」
「はい、飲み物」
さっき買いに行った男がもう戻ってきていた。私とミーティちゃんの前にサイダーっぽい青い炭酸が置かれる。ここにもブルーハワイ風味の飲み物があるんだ……。
「コイツん家、金持ちだからいろいろ奢ってもらったほういいよw」
金持ちのナンパ……印象が悪すぎる。
「なんならここにいても暑いしオネーサン達、うちで休憩してたら?俺らその間探しに行ってるし」
「け、結構です……」
連れ込まれたら何されるかわからないし。第一ホントに探してくれているのかわからない。
「まぁまぁ。いったん飲み物でも飲んで休もうよ」
ナンパ男の一人がそう言ってくる。実際のどは渇いた。後でお金は押しつけよう……。そう思って一口。シュワっと炭酸が口を刺激したあとに甘みがやってくる。うん、よくあるサイダーだ。
「おいしいね、お姉ちゃん」
「そ、そうだね」
彼女はすでに半分くらい飲んでいた。この子のお母さんに後で謝らないと……。
とはいえ飲み物のおかげで彼らの質問をいくつかやり過ごすこともできた。
正直彼らの貴族自慢は聞くに堪えないし、取り巻きのやんちゃ自慢もどうでもいい。
「……へぇ」とか「そうなんですね……」で興味の無さを出してるのに無限に動く口。コレを1時間いかないくらい聞けば聖人でもキレるだろう。
少しイライラしていたらお手洗いに行きたくなってきた。流石についてこないだろうしついでに逃げよう。エイリーンたちのところに戻って手伝ってもらえば見つかるはず。
「あの、お手洗いに行きたいので……」
「じゃあその間この迷子ちゃん見といてあげるよ」
彼らがそう言った所でミーティちゃんがぎゅっと腕を掴んできた。
「お姉ちゃん……私も」
ナイスタイミング過ぎる。
「ということなので……すいません」
「じゃあ俺らここで待ってるね〜」
彼らには悪いがこのままトイレに行って逃げさせてもらおう。尿意に押されてか、早く逃げたい焦りか足早にトイレへ向かう。
「ふぅ……」
思ったより並んでなくて良かった。
「……ふぁ。お姉ちゃん、お待たせぇ」
ミーティちゃんもすぐに出てきてくれた。よし、逃げよう。
女子トイレの出口からコソコソっと出て近くに彼らがいなそうなのを確認。
「じゃ、行こっか。怖いお兄さんたちじゃなくてお姉さんに手伝ってもらおう」
「うん!」
「怖いお兄さんたち、って俺らのこと?」
終わった。




