ゆったり海水浴
「はぁ……はぁ……」
体を起こすと満足気な4人が手に残った日焼け止めを自分の足などに塗っている。
「満遍なく塗れたわね」
「主人を日焼けさせるなんてありえませんからね」
「姉様の肌、すべすべでした……」
「結構これスーッとして気持ちいいかも」
「くっ……塗ってくれてありがとう……」
為されるがまま体をもてあそばれてしまった。くやしい……時が時ならお嫁に貰ってもらうところだった。私の貞操をもてあそんで……!
「……ふふっ。楽しそうですわね」
「見てたなら止めてよ……!」
「私も体が動かなくて、ごめんなさいね」
ロベリアはすっかりリラックスした体勢になっていて、てこでも動きそうにない。
「ノアとエトラは二人で楽しそうだし……」
二人とも日陰で海を眺めながら砂弄りに没頭し始めている。
「ミア様。あの日焼け止め、海でも落ちにくいらしいのでご存分に泳いで大丈夫だそうです」
「そ、そうなの……」
ちょっと泳ぎに行こうかしら。せっかく海に来たならべたべたも気にせず海に泳ぎに入りに行くべきだ。
「ミア、泳げるの?」
「一応泳げるわよ?」
「ちょうどいいわ。競争する?」
「遠慮しとこうかしら……。ゆったり泳ぐ気分だし」
エイリーンだと近くの島まで泳ごうとか言いかねない。流石にゆっくり体力をあまり使わずに泳ぎたさがある。
「あら、残念」
「たまにはエイリーンもゆっくり泳いでみない?」
「ミアと?」
「ええ。一緒に」
むしろ一緒にエイリーンも誘ってゆったりしてみるのも悪くないかもしれない。
「いいわね。行きましょ行きましょ!」
「ちょ……引っ張らないの!」
思いのほか乗り気でぐいぐい引っ張って海まで入っていく。少しずつ海の中へ体が触れていく。
「ちょっと冷たいわね」
腰くらいまで使ったところでやっと止まってくれた。ほんのりひんやりとしていて気持ちいいかも。
「えいっ」
「ちょ……ミア!?」
少し水を掬って彼女にばしゃっとかけてみる。驚いてるエイリーンかわいい。
「やったわね!えいっ!」
「きゃっ」
かけ返されて、思わぬ水の冷たさに驚く。めちゃくちゃ青春をしている気がする。
「姉様たちいた……!」
「あら、レイ……えいっ」
遅れてやってきたレイにも海水をプレゼント。
「やりましたね……姉様!とりゃぁ~!」
なんとお返しに私とエイリーンに半ばタックルするように腕を広げながら飛びついてきてバシャーンと海水に頭まで浸かる。
「……ぷはっ!」
顔を上げると綺麗な青空に、私と同じように濡れてしっとりした二人の顔が見える。
「姉様、大丈夫ですか?」
「え、ええ。全然大丈夫」
軽く体を起こしてもらったところで、もう少し深いところへ向かう。あんまりここまでくると周りに人も少なくなってきて、ゆっくり漂いながら海岸の方を眺める。
「こう見るとちっぽけなものね」
「あんなに大きな街なのにね」
昔はあんなに広くて、どこまでも続いていそうな街だったのに……改めて今見てみると思ったよりちゃんと端っこがあって限界があるんだなぁ。
「姉様、あんまりぼーっとしてると流されちゃいますよ?」
レイがぎゅっと腕をつかんで、私が流されて沖の方へ行かないようにしてくれる。思わずぼーっと眺めていたからレイがいなかったら危なかった。
「ふふっ。ちょっと抜けてるところもかわいいわね」
「か、かわいいって……いきなりそんなこと言わないでよ」
「あら、私は正直な感想を口にしただけよ?」
「もう……」
「姉様はかわいいですよ!」
左右からかわいい攻撃を受けている。かわいい女の子にかわいいと言われまくると自分がかわいいと錯覚してくる。私はかわいい……。
「そろそろ戻る?少し長いこと泳いでたし」
しばらくゆったりと海を感じていたところでエイリーンがそう言ってくれる。確かに一旦みんなのところに戻って一呼吸を入れるのもいいかも。
「そうね」
「あっ、おかえり。ミア」
「あら……いつの間にか大作ができてる」
エトラとノアがさっき砂弄りをしているのは見ていたが、いつの間にか砂の小さいお城ができている。
「ふふん。どうかしら?エトラの自信作だよ」
「あわわ……。ノアさんも一緒に作ってましたよ……!」
「すごいわね……二人とも器用ね」
「ありがとっ」
二人をほめていたら思ったより大きな音でぐぅ~っとお腹の音が鳴る。せっかくいい感じの雰囲気で褒めたのにそれをかき消す音……。恥ずかしい。
「あら、かわいい。もうお昼の時間ね」
「確かに。お腹すきましたね」
「うっ……恥ずかしい」
少しほっぺたが紅潮するのを感じる。こんな大きいお腹の音出すなんてレディーとして恥ずかしい。




