海、0日目
「……幸せそうですわね」
「膝枕だものね」
「かわいい寝顔だよねぇ」
「不思議とかまってあげたくなっちゃう顔よねぇ」
目の前でメイドの膝枕ですやすやと眠っているこの子。ちょっと抜けてるところはあるけど私たちの事を考えてくれるし、努力をしている子。
「なんか、エイリーンさんと違う感じの人を惹きつける力があるよね」
「確かにそうですわね」
なんというか軽く家庭環境を知っているからなのか、心配になってかまってしまうところはある。本人は結構のほほんと暮らしているから表には出ないけど。
「ミア様が良いご学友に囲まれていて私としても安心します」
「ネイさん結構心配してたもんね……入学直後とか」
「私達こそミアのおかげで楽しい体験できてるし、お互い様よ」
本人に聞かせるにはちょっとだけ恥ずかしいけど、彼女の事を結構好きかもしれない。この好きがどういう者かは分からないけど一緒に過ごしていると楽しいし安心できるのだ。
「んぅ……えへへ……」
何の夢を見ているのかは知らないけどニコニコしている。ほんとに幸せそうな顔で寝る子だ。
「着くまで結構ありますし、寝顔見ながらのティータイムも悪くないですわね」
エトラとノア、レイも眠っているし私も少し眠くなってきた。どうせ海に行ったらはしゃぐんだろうし今のうちに体力を温存しておくのも大事かもしれない。
「ふぁぁ……私も寝ようかしら」
「おやすみなさい。寝顔はばっちり見ておきますわね」
「そんな見て楽しい物じゃないわよ」
そう言って私も夢の世界へ旅立ってみた。道中休憩をはさみながら目的地へと向かった。結構遠かったせいで着いたころには日が沈んでいたけど。
「……ミア、ミア起きて?」
「んぁ……?うん……」
「ミ~ア~!着いたよ~!」
「んぇ……?着いた……?」
意識がだんだんとクリアになってくる。目を開けるとセイラがじーっと覗き込んでいた。
「あ、起きた。目的地に着いたってよ~」
「もう着いたのね……早」
道中休憩の時間に少し起きて、また眠っていたがあっという間だった。
「準備できたみたいだから降りるわよ~」
エイリーンがそう言って先に外に降りていく。荷物はネイが持って行ってしまうので彼女たちに付いていって降りる。
「……えっ、暗くない?」
なんと既に外は日が沈んでいた。あっという間というかむしろ寝すぎの部類に入っているかも。
「今日……というか今回は私の別荘でゆっくり休んでちょうだいね」
「大きい……」
なんか起き抜けに驚くことが多すぎる。彼女の別荘は当然というべきかめちゃくちゃ立派だ。
「忘れ物とかないわね?」
「え、ええ。大丈夫」
「じゃあ入りましょっか」
彼女を先頭に別荘に入っていく。
「「「おかえりなさいませお嬢様」」」
「ただいま」
10人くらいのメイドさんがお迎えしてくれる。別荘だから少し人数は控えめかもしれない。
「長旅お疲れさまでした、エイリーン様」
「ありがとう。みんなの部屋の準備はできてる?」
「整っております」
「じゃあ、いったんみんな部屋に案内して荷物を置いてもらおうかしらね」
「かしこまりました。ではご案内を」
そう言って彼女のメイドが私たちに一人づつ付いて部屋まで案内してくれる。私の部屋はレイとエイリーンの部屋の隣らしい。道中歩いていて思ったけどこのお屋敷廊下もめちゃくちゃ広い。実家でもこんなに広かったかしら。
「何かお困りのことがあればお気軽にお申し付けくださいませ」
「ありがとうございます」
ネイは同じ部屋にいてくれるみたい。一緒の部屋で純粋にうれしい。
「わたし……そんなに寝てたかしら」
「ぐっすりおやすみになってましたよ、ミア様」
微笑みながらそう言ってくれるネイ。お姉さん、という言葉がとても似合いそうだ。
「お食事の用意をしておりますので、後ほどお呼びに伺います」
「あ、はい」
そう言えば寝てばっかりで何も食べていなかったからお腹空いてるかも。ちょうどよくお腹もくぅと鳴ったし。
「今のうちにお着換えなさいますか?」
「あー……一旦大丈夫かも。そんなパーティみたいなものでもないだろうし」
「かしこまりました」
結局晩ご飯は魚料理メインの高級感のあるものだった。エイリーンのところの料理人、というかメイドさんの料理の腕はかなり高いみたい。すごいおいしいし満足感もあった。
ついでにお風呂も早めに入るように案内されたのでさっとお湯を浴びに行った。
「ミア様、お茶のご用意ができてます」
「ありがと、ネイ」
ネイも私もすでに寝巻に着替えている。いっぱい眠ったせいで眠気が消えてしまっているのでソファーに身を沈めてお茶でも飲もうというところだ。というところで部屋の扉がノックされる。
「姉様?今よろしいですか?」
「ミア~?入ってもいい~?」
レイとセイラが私の部屋に遊びに来た。セイラはどっちかというと広すぎる部屋が少し気になったらしく人肌恋しさに来たらしいが。
「私にはちょっと広すぎだよあのお部屋~。お嬢様気分にはなれるんだけどね」
「やっぱり今日も姉様と寝ようかなと……」
二人とも寝巻だし、枕を持参しているところからも私の部屋で寝る気満々らしい。ベッドもかなり大きいし全然かまわないけど。
「私もまだ眠気が来ないから話し相手になってくれる人欲しかったし……構わないわ」
「姉様……!」
そう言ってソファーの両隣は二人が占領した。二人ともお風呂上りでくっついてくるからとてもあったかい。しばらくしたところでお話の舞台はソファーからベッドに移った。まるで修学旅行みたいな感じで夜が更けていく。
「なんか、一緒に冒険してたころ思い出すね」
「あぁ……確かに。ここまでベッド広くなかったけどね」
あの出来事も昔というほどの事ではないんだけれど、いろいろ起こったせいで大分経ったようにも感じる。
「姉様と冒険……その話もっと聞きたいです!」
「そうねぇ……例えば……」
結局いろいろ思い出話を話しているうちに眠くなってきて、ほぼいつもと同じ時間には眠ってしまっていたらしい。(ネイ談)




