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出来ること

あの日は少し春にしては暑くて、寝苦しくて朝開ける前にお風呂に入ってた。


すると、バタバタと屋敷が騒がしくなって何事かと思って急いで団服を着てみんながいる庭に向かった。


そこには仕事に出ていない団員たちがすでに集まっていて私は嘉蘭姉さん、琥崙兄さんの側に走った。


絢愛「何があったの?」


琥崙「島で地震が発生したらしい。けど見張りが凶妖の気配が見えなかったらしいから多分自然の地震なんだろう。」


絢愛「…そうなんだ。」


嘉蘭「この地震を使ってきっと凶妖が動くから眩さんが団員を集めて、世永さんにここの仕切りを任せて先に行っちゃったの。」


絢愛「え!?大丈夫何ですか?」


嘉蘭「規模にもよるけど…、眩さんは腹方だから大丈夫だよ。」


嘉蘭姉さんは少し自信がなさそうに言った。


少しして屋敷にいた全団員が集まり、世永さんが指示をする。


世永「北塔島で自然の地震が発生。震源地が島付近の海底、津波の恐れあり。脚の者は高台に住人を避難、腕の者は倒壊した建物から救出。あの島には災救の手が届いて無いので、その他の者は簡易避難所を設立。」


「「「はい。」」」


世永「恒久平和のために。」


「「「恒久平和のために。」」」


災獣園の人たちと救護班の人たちが私たちに清めの水をかけてくれる。

その水は私たちに触れる直前、霧になって優しい水になって私たちを包み込んでくれる。


琥崙兄さんと嘉蘭姉さんは脚の部類に振り分けられたので、私は他の人と簡易避難所を設立するために屋敷から道具を運び出す。


重いものや人が増えたり、距離が遠いと向こうまで飛ぶのに体に負荷がかかりだいぶ疲れる。

けれど、一刻も早く島の人たちが安心していられる場所を作らないといけない。


私は少し自我穿通を使いつつ、簡易避難所を島一番の高台に作っていると、町と海が全てひらけて見える所にやって来ていた。


どんどん海が島から離れていくのが見え、その上に小さい人影が2つ見える。

きっと世永さんと樂。

普通の団員は海の上を走る事が出来ないけれど、口や喉を噛まれたあの2人はまじないを使えて、ああやって海の上でも人を助ける行動が出来る。


今はあの2人しか出来ない。


私も今の私にしか出来ない事をやりきるため、全力で集中していると団員が1人海を指して叫んだ。


私はその声に反応して、海をみる。

するとどんどんと高くなっていく海の壁。


もしかしたら…、この島を全て飲み込んでしまうかもしれない。


絢愛「生存者は!?」


「今のところ5人しかいない!」


どう考えてもこの町にしては少なすぎる生存者。

私の背中に寒気が走る。


絢愛「私も行かなきゃ…。」


「ちょっと…、幸田さん!」


私は団員の制止を振り切って、波に沈みかける町に走る。

町にはちらほらと団員が人を救出しようとしている。

でも…、こんな全壊してしまった町じゃみんなを助けてあげられない。


私は肺にいっぱい空気を入れ、みんなに届くように声をあげる。


絢愛「みんな!波が来る!見て!」


波に気づかずに作業をしている団員たちの耳に届くように叫びながら、私は走り続ける。


琥崙「何で絢愛がここに来てんだ!」


絢愛「琥崙兄さん!早く!今抱えてる人だけでも高台に!」


琥崙「分かったから、絢愛も…」


私は琥崙兄さんの話を聞かずにどんどん町に降りて、団員に伝える。

近づいてくるにつれて波が太陽の日差しを遮り町を暗くする。


やめて…、まだ来ないで。


「…て。」


私は微かに声がした方に走り、呼びかける。


絢愛「どこですか!?」


「ここにいる!」「出してくれ!」「脚が挟まってる!」「助けて…。」「死にたくない!」「ここだ、ここ!」「この子だけでも…。」「お願い!」「お姉さん!助けて!」「早く助けて!」「痛いの…。」


私の一声に周りの潰れた家から沢山の声が聞こえ、あの出来事がフラッシュバックする。


みんなの助けを求める声があの飛行機事故の機内と重なり、私は過呼吸になってしまってその場に倒れてこんでしまった。


こんな事してる場合じゃないのに、体が思うように動かない。

助けを求めてる人がいるのに、私しか助けられないのに、何でこんな大切な時に体は動いてくれないの。


私が必死にそばの家に這い蹲ろうとすると、私の名前を誰かが呼んでる声が聞こえる。


けど、私は意識が朦朧とし始めてそのまま気絶してしまった。


あの時私がしっかりしていればもっと沢山の人たちを助けられたのに…。

本当にごめんなさい。私の弱さがみんなの命を奪ってしまった。

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