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戦士ステラ   作者: 安田けいじ
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奇跡の子

「アンカ!!」


 ステラが叫んでユウキを見ると、彼は何でも無いように「大丈夫だよ、見ていてご覧」と彼女の肩を抱いた。


 すると、切り裂かれたアンカの身体が青い光に包まれると、そこからクリスタルを纏った、守護神ルナが姿を現したのである。


「ルナ? アンカはルナだったの?」


「そうだよ。出産が終わるまで君は戦えないから、ルナに護ってもらってたんだ」


「そうだったの。それにしても、ルナの身体はどうなっているの。完全に破壊されたはずなのに……」


「彼女の身体は、特殊な分子の集合体で出来ているんだ。破壊され宇宙の塵となっても、分子化して待機状態になっているだけで、死んではいないんだよ。エイリアンの科学力は凄いね」


 ステラ達が話している間に戦いは始まっていたが、本来の姿に戻ったルナは、動きでムミョウを圧倒していた。そして、ルナの絶対零度の剣がムミョウを捉えると、彼の身体は真っ白に凍り、無残に砕け散った。


 ルナは、その残骸を確認してから、ステラ達の許にやってきた。


『ステラ様、あれは新型の高性能アンドロイドです。ムミョウが密かに作らせたものでしょう』


「戦争は終わったと思っていたのに、いつまでも尾を引くわね。あんなのが大量生産されていたら大変だわ」


「そうだな。ムミョウが死に際に“我が分身がお前達を葬り去る”と言ったのは、この事だったんだな」 


「分からないけど、あの新型のアンドロイドの事を調べる必要があるわね。必ず他にも居るわ」


 二人が話していると、アンカの姿に戻ったルナが口を挟んだ。


「ステラ様、そろそろお部屋に戻りましょう。お身体に障ります」



 三人が宮殿に戻ると、警備の兵士達が、青い顔でステラの行方を探していた。


 ステラは、「何でもないから」と彼らに声を掛けて、アンカに付き添われ自分の部屋に戻っていった。



 その日の夜、ステラは陣痛が始まり緊急入院して、明け方近くに玉のような女の子を産んだ。

 

 ユウキは、ステラの横で眠っている我が子と対面すると、ステラとの出会いから今日までの事が脳裏に蘇り、感極まって涙をポロポロと流した。


「お父さんとお母さんの出会いは奇跡だったんだ。だから、君は奇跡の子だ。きっと、この星の太陽となるよ」


 ユウキが赤ちゃんに語り掛けて、その手の平に小指を置くと、小さな手の平が彼の指をギュッと握った。


「ふふ、可愛いね」


 ユウキは、とろけるような顔になった。


 彼は、ステラに労いの言葉をかけて、やさしいキスをした。


「女の子よ、名前を付けてあげて」


「うん、この星の名を取って、サファイヤはどうかな?」


 ユウキは、子供の名前を考えていたようだ。


「サファイヤ、いい名前だわ。この子達の為にも、平和で幸せな人生を送れる世界を作りたいわね」


「その通りだね。僕達も、頑張らないとね」


 二人が、新しい命の誕生に感動していると、母、アンドロメダがアトリア女王夫妻、ストレンジ博士を伴って訪れた。


「ステラ、おめでとう。あら、かわいい子ね。きっと美人になるわ」


 アンドロメダは、宝石でも見るような目で、サファイヤを見た。


 彼女には、既にアトリアの三人の孫が居たが、ステラの子供を見るのは感慨深かった。


 それは、国を護るために、修羅の道を走り続けてきたステラが、結婚し、子供を産むなど、数年前までは考えられなかったからだ。


「ほんとうに、夢のようね。ありがとう、ありがとう」


 アンドロメダは、ステラとユウキの手を取って、涙ながらに何度も感謝の言葉を伝えた。


「子育ては大変よ、先輩の私に何でも聞いて」


「お姉さま、ありがとう」


 アトリア夫妻も、心からの祝福を述べた。


「どれ、姫様の顔を儂にも見せてくれ」


 ストレンジ博士は、サファイヤの顔を覗き込むと、


「儂が爺じじゃ。よろしくな」


 彼は二コリと笑って、サファイヤの頬を撫でた。


「ストレンジ博士に、私達の子供を抱かせるという約束が果たせて、こんなに嬉しい事はありません」


 ユウキが感極まったように言うと、博士は満面の笑みを作った。


「二人共、本当によく頑張ったな。儂もサファイヤの成長を見守る楽しみが出来て、もう少し頑張れそうだ。ありがとう」


 その日は、ロータス夫妻、レグルス夫妻、サルガス、十剣士の面々等、多くの祝いの客が訪れ、部屋は祝いの品でいっぱいになった。



 数日後、ステラとサファイヤは退院し、我が家に帰った。職員たちが出迎える中、アンドロメダに抱かれたサファイヤが到着すると、職員達から歓声と拍手が沸き起った。


「ステラ様、おめでとうございます!」


「サファイヤ様かわいい!」


「皆さんありがとう、今日からサファイヤがお世話になります。よろしくね」


 ステラとアンドロメダは、皆に挨拶を済ますと、住居棟のサファイヤの部屋に入っていった。用意されていたベッドにサファイヤを寝かせると、庭園を臨む南側の縁側に二人で腰を下ろした。


「いいお庭ね。心が休まるわ」


 アンドロメダが、深呼吸しながら、気持ちよさそうに言った。


「お母さま、暫くこちらで暮らしてみてはどうですか?」 


「そうね、そうさせて貰おうかしら」


 アンドロメダは嬉しそうに答えて、サファイヤの居る方を振り返った。


 彼女は、女王を引退して、アトリアの補佐をしながら、悠々自適の生活を送っていたが、

今まで頑張ってくれたステラの為に、何かしてあげたいと考えていたのである。


 二週間も経つと、ステラは、公務に復帰するようになった。


 留守を預かるアンドロメダは、サファイヤのお守をしながら、宮殿全般のお目付け役として、嬉々として手腕を振るい、国主にふさわしい宮殿へと変貌させていった。


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