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戦士ステラ   作者: 安田けいじ
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結婚式

 春三月、ユウキとステラの結婚式がライト王国の宮殿で盛大に行われた。純白のウエディングドレスに身を包んだステラが、ユウキのエスコートで会場に現れると、その美しさに、ため息と歓声が上がった。

 実際、ユウキ自身も、その姿を見た時は見とれてしまい、言葉が出て来なかった。


 会場には、世界中から数百名の来賓が祝いに駆けつけていて、この模様は全世界に中継された。

 レグルスや十剣士達の顔も見えて、サルガスが盛んに手を振っていたが、こうした事が苦手なユウキは、終始緊張気味で会釈するのが精いっぱいだった。


「参ったな。こんな大げさな事になるとは思わなかったよ」


「あなた、落ち着いて」


 ユウキが、あたふたしている内、ファンファーレと共に、アトリア女王夫妻が入場すると、式が始まり、最初にアトリアが挨拶に立った。


「本日は妹のステラの結婚式に、世界中から多くの方々が駆けつけてくれました。家族を代表しまして皆様にお礼を申し上げます。大変にありがとうございます。


 また、彼らが建国中のサウスランドを正式な国として認め、二人を国主とする事が決まりましたので、この場を借りて御報告させて頂きます。


 サウスランドの建国は始まったばかりですが、核によって地獄となったあの天地を元の美しい国土に生まれ変わらせようと、二人は奮闘しています。それは、平和と言う視点で考えても、大きな意義があると私は思っています。

 今後皆様に、何かとお世話になると思いますが、何卒、二人を、サウスランドを、よろしくお願い致します」


 アトリアは、簡単に挨拶し、中央に座った。続いて、二人が女王の前に立ち、誓いの言葉を述べると、女王から、「夫婦であることを認めます」との言葉があった。

 二人が指輪を交換し、誓いのキスをすると、会場から歓声と拍手が沸き起こった。


 式は、場所を変えて披露宴へと移り、ライト王国の新議長が、挨拶に立った。彼は、目に涙をいっぱい溜めて、静かに話し出した。


「ステラ様、ユウキ様、ご結婚おめでとうございます。今日まで、この国の為に戦って頂いたお二人に、この場を借りて心より御礼を申し上げます。


 ステラ様におきましては、十五才の時から、女性としての幸せも、青春も、全てを投げうって、戦いの先頭に立って頂きました。いつの日にか、結婚し、お子をなして幸せに暮らして欲しいというのが、私共、全国民の思いでありました。


 如何なる縁か、ユウキ殿という良き伴侶とめぐり会い、愛を育まれ、そして先般、ご懐妊された事も伺いました。私達の願いが、全て現実のものとなったのです。これ以上の喜びはありません。誠に誠に、おめでとうございます。又、有難うございました」


 スピーチが終わると、全員が、スタンディングオベーションで、涙を流しながら大拍手をステラ達に送った。


 議長の言葉は、そのまま、全国民の思いを代弁していたのだ。


 ステラとユウキは起立し、深々と頭を下げて、皆の真心に応えた。



 感動の結婚式が終わり、二人は、広場が見渡せるバルコニーへと向かった。宮殿の広場には、ステラの花嫁姿を一目見ようと、数万の人達が集まっていた。天空には、巨大な、立体映像が投影され、遠くからでもステラ達の顔が見えるように、配慮されていた。


 二人がバルコニーに姿を現すと、


「ステラ様、ユウキ様、お幸せに!」


「ステラ様万歳!」


 あちこちから祝福の言葉が飛び交うと、今まで抑えてきた歓喜が爆発して、万歳の歓呼が鳴りやまなかった。


 ステラが進み出て、深くお辞儀をして話し始めた。


「皆さん、今日はありがとう、待たせてごめんなさい。……ステラは今、世界で一番の幸せ者です。ほんとうにありがとう!」


 短い言葉だった。だが、彼女の幸福を心から願っていたライト王国の人達には、それ以上の言葉はいらなかった。


 それは、彼女と彼らの、勝利宣言に他ならなかった。


 ステラはユウキの腕を取り、抱き寄ると、片手でⅤサインを高々と青空に翳した。


「ステラ様、万歳! ユウキ様、万歳!」


 期せずして、皆の声が、勝鬨が、天の声の様に響いた。


 次に、ステラに促され、ユウキが挨拶に立った。


「私は、ステラが、この星が大好きです。どうか皆さんと共に、もっともっと、幸福な国を、星を築いていきたいと思います。若輩者ですが、どうぞよろしくお願いします。ライト王国万歳! サファイヤ星万歳!」


 ステラとユウキが手を繋ぎ、高々と上げると、賛同の拍手と歓声が轟いた。


 感動冷めやらぬ、彼らは、歓声を上げたり踊ったりして、いつまでも帰ろうとはしなかった。



 この後、二人は、オープンカーに乗って、市内をパレードした。沿道には、数百万という人達が待ち受けていて、祝福を受けた。


 ユウキとステラは、懸命に手を振り、声をかけ、皆の真心に応えた。



 すべてが終わった頃には、すでに、夕暮れになっていた。


「疲れていないかい?」


「大丈夫、かえって元気をもらったわ」


 二人は、関係者にお礼を言って、帰宅の途に就いた。日は既に落ちて、一番星が輝いていた。


 ステラは車の中で、心地よい疲労を覚え、ユウキの胸でスヤスヤと寝入ってしまった。


 ユウキは、「よく頑張ったね。お疲れ様」と彼女の幸せそうな寝顔を見ながら、彼もまた満足感に満たされていた。


 空には二つの月が煌々と輝き、二人を大きく包んでいた。


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