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戦士ステラ   作者: 安田けいじ
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新たな船出

 ネーロ帝国との長い戦争が終わった事で、地方に避難していた人たちが首都に戻り始めていた。又、戦争で壊れた建物や道路などの復興工事が、全国的に始まっていた。


 怪我で療養していたアレク将軍も帰国し、病院でリハビリ出来るまでに回復しており、妻のアトリアが付き添っている。


 ベガの要請を受けたステラとユウキは、ネーロ帝国へ出向き、復興の諸問題と格闘していた。


 戦争で破壊された交通網の復旧、農工業など産業の復興、自治システムの構築、教育問題など、解決しなければならない事案は山積みだった。


 だが、ムミョウの圧政から解放されたネーロの国民は、その自由を噛み締めながら、新しい国造りに喜々として汗を流し、知恵を出し合い、次々と問題を解決していったのである。


「ステラ、民衆の力は凄いね。彼らが主役になれば、この国は大丈夫だ」


「そうね、私達のサウスシティも負けずに頑張らないとね」


 ステラとユウキは、民衆のエネルギーというものを目の当たりにして、自分達の国造りも、かく有らねばと思うのだった。



 それから半年が経って、終にベガを議長とした新政府が誕生した。ネーロ帝国はノースランドと改名され、新出発したのである。



 新政府誕生を見届けたステラとユウキは、自分達のサウスランドに戻ると、大陸全体の開発に取り組んだ。


 空港や港、幹線道路を急ピッチで整備して、開発地を世界中に開放すると、入植者は続々と海を渡って来た。


 そして、半年が経った頃には、サウスシティは十万人が暮らす都市になっていたのである。


 国造りは、まだ緒についたばかりだったが、その基盤が出来上がりつつあった。



 そんなある日、ライト王国から連絡が入り、二人は王宮へと向かった。


 王宮では、普段着の女王アンドロメダとアトリアが出迎えてくれた。


「忙しいところ悪いわね。戦争も終わって一年になるけど、まだ貴方達にお礼も言ってなかったわね。女王として心から感謝いたします。ありがとう」


 女王は二人に深々とお辞儀をした。ユウキが慌てて女王の手を取ると、彼女は彼の手をポン、ポンとやさしく叩いて微笑んだ。彼女は二人を席に促し、自分も席に着いた。


「私も歳のせいか、最近、公務が辛くなって来たのね。それで、女王の座を、このアトリアに譲ろうと思うの。どうかしら?」 


「お母さまも、これまでご苦労の連続でしたもの、お姉さまさえよかったら、私達に異論はありません」


 ステラが、アトリアを見て言うと、彼女は、


「どこまで出来るか分からないけど、私も覚悟を決めたわ。この国の事は任せて頂戴」


 と、決意の表情を見せた。


「よかった。これで肩の荷を下ろせるわね」


 アンドロメダは、ホッと一息ついて穏やかな表情になった。


「お母さま、一つ提案なのですが。ネーロ帝国も崩壊し、新しく生まれ変わりました。私達のサウスランドも小さいながらも建国の機運が盛り上がっています。今こそ、サファイヤ連邦を作るチャンスだと思うのですが、どうでしょうか?」


 ステラの意見に、アンドロメダは大きく頷いた。 


「その通りね。それには、このライト王国が主導するしかないから、早々に議会で検討委員会を立ち上げましょう」


「ありがとうございます。お母さま」


「それからね」と言って、女王はステラ達の結婚式を、国事として挙行する事にしたと告げて、次の公務へと向かった。


 

 後日、晴天の中、アトリアの戴冠式が盛大に行われ、新女王アトリアが誕生した。

 彼女は、ステラに劣らずの美人で、王冠をかぶった姿は凛として、女王としての威厳が溢れていた。

 長女である彼女は、幼いころから女王になる為の教育を受けてきていたのである。


「お姉さま、おめでとうございます」


 ステラとユウキが、アトリアの前に立ち、祝辞を述べた。


「ありがとうステラ、ユウキさん、あなた方が頼りよ宜しくね」


「「全力で支えます!」」


 二人は、決意を込めて女王に誓った。



 アトリアは就任早々、サファイヤ連邦の発足に尽力し、三か月という短期間で、サファイヤ連邦を発足させて、初代議長に、ロータスを就かせた。


 アンドロメダは、当面、新女王の補佐をする事になり、アトリア体制を支えている。



 サウスランドでは、今後の事も考えて、二人の住居を新築していた。王宮とまではいかなかったが、警備棟、来客棟、職員棟、住居棟と、多機能の見事な建物となった。


 ある日、ステラが恥ずかしそうにユウキに言った。


「……赤ちゃんが出来たようなの」


「赤ちゃん? 僕達の赤ちゃんが出来たのかい!?」


 コックリと頷くステラをユウキが抱き寄せて、優しく額にキスをした。


「ありがとう、うれしいよ。レグルス様に報告して、安定するまで仕事は休ませてもらおう」


「そんなに大ごとにしないで」というステラの意に反して、ステラ懐妊の報は、その日の内に世界中に広まってしまった。



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