ステラ傷を負う①
巨人ロボットを壊滅し、ザールラントをほぼ制圧したステラ達の前に、此の街の指揮官、ベガ大佐が姿を現した。
その時ユウキは、巨人ロボットが出て来た地下基地を破壊する為、別行動をとっていた。
「ステラ姫、貴方たちの力には脱帽だ。だが、私にも意地はある。刺し違えてでも貴女を倒す!」
ベガは、一気に二刀を引き抜くと、ステラと対峙した。
長身で、長い両腕から振り下ろされるベガの剣は重く、速かった。彼もヤミと同じように、自らをサイボーグ化していたのだ。
Aタイプスーツを纏ったステラの動きが、ベガに劣る事は無かったが、既にステラのスーツのエネルギーは底をついており、頼みのスーパー羽衣は起動出来なくなっていた。彼女は、剣一本で戦わねばならなかった。
ステラの剣とベガの剣が火花を散らし、空中での激闘が続いた。
戦いの連続で疲れがピークに達していたステラが、早く勝負を終わらせようと渾身の一撃を振り下ろすと、ベガの双剣がはっしと受け止めて、押し合いになった。次の瞬間、
「危ない!」
レグルスが叫びながら、ベガの双剣を弾いて二人の間に割り込み、ステラの盾になった刹那、ベガの第三の剣が、レグルスの背中から腹部を貫通し、ステラにまで達していたのだ。
「うっ、レ、レグルス!!」
ステラが、必死に痛みに耐えようとしているレグルスを抱きとめ、折よく帰って来たユウキに託した。
「死なせないで!」
「分かった、任せろ。……君は大丈夫なのか!」
「大丈夫、早く行って」
ユウキは、ステラのスーツにパワーを充填すると、傷ついたレグルスをコスモタワーに運び、蘇生カプセルに入れてから、数分で引き返して来た。
ユウキが戻ると、ステラは腹部を刺されながらも、師レグルスを倒された怒りが爆発し、修羅化していた。
緑の瞳は、赤と変わり、その形相は鬼となって、パワーは倍加していた。
ベガの三本目の剣は、彼が、三本の腕を持つサイボーグだったからである。
ステラは、スーパー羽衣を変化させると、一撃でベガの二本の腕を切り落としてしまった。尚も止めを刺そうとするステラをユウキが止めた。
彼は、スーパー羽衣の攻撃に晒されながらも、力尽くでシールドを破り、ステラを抱きすくめた。
「ステラ、もういい、怒りを納めてくれ。レグルスは大丈夫だ!」
ステラは暫く暴れていたが、大人しくなると、ユウキの腕の中で意識を失った。
「コスモ、此処で蘇生カプセルを作れないか?」
『任せて下さい』
現れたルナは、手から光線を出して、二台の蘇生カプセルを見る間に具現化させた。ユウキは、ステラとベガを、そのカプセルに入れた。
「何故、ベガを助けるんだ!?」
レグルスの弟子であり相棒でもあるサルガスが、ユウキに詰め寄った。
「憎い敵ではあるが、こいつを味方に出来たらライト軍の大きな力になると思うんだ」
「……」
憤懣やるかたない風のサルガスだったが、それ以上は言わず、部屋を出て行った。
暫くすると、ライト軍本体が到着し街を制圧した。
どの街でもそうだったが、市民による抵抗は殆ど無かった。ムミョウの悪政で、市民は食うや食わずの生活を強いられていたからである。
ユウキは、ステラに付きっきりで看病に当たっていたが、二日目にステラは目を覚ました。
ステラの視界に、カプセルのガラスにタコのように唇を押し付けたユウキが見えた。
「あなた……なの? もう、笑わせないで、傷に響くわ」
「ごめんごめん、目が覚めたら、特大のキスで迎えようと思っていたもんだから」
「レグルス様の具合はどう?」
「うん、一命はとりとめたが、帝都侵攻には間に合わないだろう」
「生きてさえ居てくれれば……」
ステラの眼に涙が溢れた。
「師匠の事より、自分の事だ。完治には一月ほど掛かるらしい、君も今回は留守番だね」
「帝都進攻の日程が決まったの?」
「まだだが、一月は待てないと思う。……あまり話しても身体に障る、また来るよ」
最後の決着は、何としても自分が付けたいというステラの気持ちは、ユウキには痛いほど分かっていたが、無理をさせる訳には行かなかった。
ステラは、二週間ほどでカプセルから出てリハビリするようになり、ベガも順調に回復し、話が出来るようになった。
「ベガ大佐、殺してくれた方がよかったという顔ですね」
ユウキが話しかけると、ベガは視線を外した。
「貴方も、ムミョウのやり方には、矛盾を感じているはずだ。民衆を無視した、今のやり方では、どの道、国は滅んでしまう。この国の民衆の為に、残りの人生を使う気にはなれませんか?」
「……私に何をせよと?」
かすれた声で、ベガが初めて口を開いた。




