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戦士ステラ   作者: 安田けいじ
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ユウキ異世界へ

 数日後、身辺整理を済ませたユウキは、親友のケンジを訪ねた。


「ケンジ、これでお別れだ。僕はステラの世界へ行く」


「そうか、行くのか。お前が、戦士になってステラの元に行く時が来るなんて信じられないよ。でも、夢が叶って良かったな」


「ありがとう、君も元気で!」


 二人は、がっちりと握手を交わし、互いの健闘を誓って別れを告げた。


 ユウキは、外に出ると戦闘スーツを纏い、ケンジにその姿を見せてから、空へと舞い上がった。

 ケンジは、ユウキの姿が見えなくなっても、暫く空を眺めて、佇んでいた。



 ユウキは、一人、異世界へと次元を超えた。異世界のサファイヤ星は、太陽の光、水、植物、空気など環境的には地球と酷似していた。

 ユウキが、飛び出した所は、湖の畔の木立の中で、すぐ近くに白い建物が見えた。彼はスーツを着たまま木立を抜けて、その家のドアを叩いた。顔を見せたのは、ロータスの妻りりーだった。


「まあ、ユウキさん。さあ、どうぞ」


「暫くご厄介になります」


 玄関を入ると、そこは、ロータスが進める戦争被災者支援の事務所代わりに使われていて、十人ほどの若者が机を並べて忙しそうに働いていた。


 二階の奥の一室に案内されたユウキが、荷物を整理していると、ロータスがやって来た。


「ユウキ、よく来た。この世界の事は何も分からないと思うから、一週間ほどで、この世界の事を教えようと思う。今晩から始めよう」


「よろしくお願いします」


「昼間は街へ出て、色々その目で見て来るといい。来週には軍に入隊できるよう手を打っておくからな」


「分かりました。よろしくお願いします」



 ユウキは、早速、若者を一人借りて、タイヤの付いていない車で近くを案内してもらった。この車は、重力制御で空も飛べて、声で指示すると勝手に目的地まで連れて行ってくれるそうで、当然ハンドルも無い。


「戦争の状況はどうなんでしょう?」


 ユウキは、一番、気になっている戦争の事を若者に聞いてみた。


「私にも、詳しくはわかりませんが、今は、北部の海岸線での攻防が頻繁に行われているようです」


「この十年で犠牲者は沢山出たのですか?」


「今も毎日、兵士を中心に犠牲者が出ています。十年前の開戦時は、空がネーロ軍で真っ黒になったと聞いています。その時は一般市民も含めて何万人も亡くなりました」


「そうでしたか……。十年も戦争が続くと、市民の方々の心も疲弊しているんでしょうね」


「はい、その為に私達は戦っています。人の心が空虚になればなるほど、悪がはびこるからです」


 ユウキは、この若者が、しっかりした考え方をしていると感心して、その中心にいるロータスの思いを感じた。


 二人は、小高い山の頂上へ車を走らせると、そこから一望できる街を見下ろした。遠くに街の中心部だろうか、高層の建物が水晶の柱のように屹立していた。地球には無い不思議な格好の家々があり、全体にゆったりした配置であった。


 科学力は、地球の数百年先をいっていて、人口は、星全体で十億程度だというから、かなり少ない。過去に核戦争があり、南の大陸は、未だに鳥も棲まぬという荒れ地となっているのは驚きだった。


 最近では、便利さを追求し過ぎて、人間らしい生活が無くなったというので、自分の身体を動かして生活をしていた時代への回帰志向が強いと若者が説明してくれた。


 右側に目を転じると、そこには青い海が広がっていた。近くに港があるのか、大小様々な船が行き来していて、軍船のような影も遠くに見えた。


 ユウキは、その後も、街の様子を日が落ちるまで見学して、ロータスの家に帰った。宙には、大きな月が二つ浮かんでいた。


 その夜から、ロータスのとの個人授業が始まり、十年前の開戦時の話となった。


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