再会
ロータスの訓練から、三か月が経った地球では、南海の孤島で戦士への修行に励むユウキの姿があった。
既に、戦闘スーツは彼の一部となり、その力を百パーセント発揮できるようになっていて、シールドを剣の様に変化させる新しい技、エアーソードを編み出していた。これは、本来自分の身を護るシールドを剣に変化させる、見えない剣である。
地球での最後の修行に励んでいるユウキを、ステルスモードとなって密かに見ている者があった。それは、ユウキの修行の様子を見に来たステラだった。
彼女は、戦士として覚醒したユウキの雄姿を見ながら、胸をときめかせ、彼の胸に飛び込みたい衝動を必死に抑えていた。
ユウキが修行を終えて帰ろうとした時、ステラが姿を現し声を掛けた。
「驚きね……、こんな短期間で、そこまでスーツを使いこなせるなんて」
ユウキは、急に現れたステラに駆け寄り、五カ月ぶりに見る彼女の顔をしげしげと見つめた。
「何なの、そんなに見つめないで」
ステラが、恥じらいながら睫毛を伏せた。
「相変わらず綺麗だ……。ステラ、約束を守ってくれてありがとう。お陰で戦士になる夢が叶いそうだ」
「私も嬉しいわ、よく頑張ったわね。ロータス様から連絡があったから覗きに来たの」
「何とかスーツを操れるようになったから、近い内にそちらに行こうと思う」
「そう。向こうに行っても一兵卒から始めなければいけないわ。辛抱できる?」
「もちろんさ、君の世界で活躍出来る日が待ち遠しいよ」
「当面、表立って私が支援することは出来ないと思うけど、焦らないでね。腰を据えてかからないと足元を掬われるわ」
「うん、慎重にやるよ。向こうに行ったら、ロータス様の家に、ご厄介になるつもりだ」
「そう」と言って、ステラが数歩下がった。
「少し、私と戦ってみる?」
「望むところだ」
二人が、向き合って剣を抜くと、その闘気が空気を震わし、砂塵を舞い上げた。
ステラの剣が舞を舞うように弧を描くと、ユウキの直線的な剣がステラを襲った。彼女は、その攻撃を難なく躱すと、自在の剣先がユウキを脅かした。二人は、高速の動きの中で、互いの剣の技量を測りながら、打ち合いは続いた。
ステラは、剣の鋭さ重さに、戦士として成長したユウキを感じながら、剣を交える事に喜びを感じていた。
打ち合っては離れ、離れては打ち合っている内、ユウキの渾身の一撃がステラを襲った。
「捉えた!」ユウキが、そう思った途端、彼の剣は大きく弾き飛ばされ、ステラの剣の切っ先が、ユウキの喉元にピタリと止まっていた。
(これが、異世界最強の力か……)
ユウキは、ステラの底知れぬ強さを改めて思い知らされたが、ステラと戦いたいという夢が実現した事が嬉しかった。
「貴方はまだ、実戦経験がない。それは向こうで実際に戦うしかないわ」
「ありがとう、ステラは凄いね、尊敬するよ」
ステラが帰ろうとした時、ユウキが呼び止めた。
「ステラ。その……、抱きしめてもいいか」
「えっ、あなた、私の事は諦めたはずじゃなかったの」
「まあ、そうなんだけど、誰も見ていないし、頑張ったご褒美という事で」
「ご褒美ね、ま、いいか」
ユウキとステラは、スーツを脱いで近付くと、スローモーションのように身体を合わせた。
ユウキは、ステラが愛してくれている事をまだ知らない。彼らは、互いの想いが溢れそうになるのを必死に抑えながら、互いの匂いや温もりを確かめ合った。
「じゃあ、待ってるから」
仄かな残り香を残し、ステラは帰っていった。




