第111話 千紫万紅
(やっばぁ〜)
五六大地の驚異的な命中率に銃夜は驚かされる。
「お前いつの間に練習したんだよ」
銃夜は思いっきり大地の肩を叩いた。
「ははは、まぁいっぱい練習したしなーあのおっさん達に鍛えられた」
「あのおっさんまだいたのかよー」
あのおっさんとは銃夜達が初めてサバゲーをやってくれたサラリーマンのことだ。
銃夜は少し現在の現代に興味が湧いた。
いや、戦争中だ。そんな邪念は切り捨てていいか。
『ありがとうジューヤっ!』
通信魔法でバナンの声が銃夜の脳内に直接届く。
「ああ、玖番隊に命令するっ!一度帰還を要請するっ!!」
銃夜は再び、通信魔法を介して玖番隊に命令した。
『了解っ!!』
【伍番隊】……ゲミュートの隊だ。
一面花畑の空間での戦闘―――
敵はサキュバス。
「なかなかやりますね」
ゲミュートは「ハァハァ」と息を切らしている。
その姿は、ボロボロで、色んなところに切り傷があるし、紅く光り輝く剣なんて、刃こぼれが酷い。
他の隊員も全滅で、ゲミュート彼女一人しか、この戦場には残っていないのだ。
現在、ゲミュートが対峙している相手、サキュバスのマリシャスのスキルは『夢』である。
『夢』の能力は、相手にキスをすることで発動する。
『夢』を食らってしまったら、マリシャス本人が術を解くか、死亡するかしなければ術は解かれない。
そして、『夢』の中にいる経過時間によってダメージが蓄積されていく。
およそ10分で、頭痛と吐気
30分で、手足の痺れ
45分で、血管の破裂
1時間程経過すると死亡。
そして、マリシャスは目の前にいるアルカディオンの操縦席からゆっくりと姿を現した。
マリシャスの右手にはマディリンの姿もある。
おそらく、マリシャスの『夢』にやられたのだろう。
「今度はぁーメインディッシュっ!」
マリシャスの表情は狂気そのものだ。
そして、マリシャスはゲミュートに襲いかかる。
ジャギンとマリシャスの爪と剣が擦れる音がする。
剣で防御し、危うくキスを回避する。
一度後退するマリシャス。
そして、ゲミュートは気付く。
(なんだ…?予想以上に、体力消耗が激しい…)
マリシャスの爪は連鎖する。
そして、その爪は体力を奪っていく。
さらに、その体力はマリシャスのエネルギーとして補給され、瞬時に使うことができる。
「フフフ」
マリシャスはゲミュートを見下ろして、笑みを浮かべた。
「その面をすぐに地べたに向かわしてやるっ
重力魔法、加重っ!!!」
刹那、マリシャスの体に多大なる重圧がかけられた。
その重みで思わず地べたに這いつくばることしかできないマリシャスをゲミュートは体を起こして見下ろす。
「千紫万紅」
ゲミュートの重力魔法で鞘の中を加圧し、超速で剣を抜刀する技。
その速さについてこれる者はいない。
刹那、ゲミュートは加圧によって動くことのできないマリシャスの体を真っ二つに切り裂いた。
ドロドロの血液が彼女から出てくる。
―――ゲミュートの勝ちか。




