第110話 チートスナイパー
「―――銃夜ぁ!これは友達の証だ」
五六大地は一つの弾丸を銃夜に渡す。
この話は異世界に転生してくる前の話だ。
「これ、本物か?」
「ああ」
「なんで…?本物持ってるの…?」
「父が警察官なんだ、それで―――」
「盗んできたと…?だめだろ!それ!お前、本当に警察官の息子か?!」
「いいんだよ!別に!交友関係の証!」
「まぁ、もらっとくか一応」
そして、現在、五六大地はクラフトの召喚魔法によって異世界に召喚された。
その代償として銃夜の変幻自在で複製した弾丸はこの世界から削除されてしまった。
しかし、複製だったので銃夜はなんとも思わない。
すると、五六大地はこちらをじっと見つめている。
「銃夜なんだな?本当に」
「ああ」
「死んだのではないのか?」
「まぁ、色々あって…」
「そうか、よし!信じよう!」
あれ?と銃夜は思う。
思っていたのと違った。
「なんかもっとないの?友達でしょ一応?」
「いるか?そんなもん。それより大変なんだろ?」
こいつの適応能力すげぇな……
「わかったよ。状況説明する」
その後、五六大地にこれまでの出来事とこれからやる事の説明を簡潔に述べた。
「なるほど…」
五六大地は納得する。
なぜだ?普通ならばもっと驚くところを。
まさに、五六大地を体現しているようなそんな感想しか彼の口から出てくることはなかった。
「俺の【鑑定】でお前のステータスを見てみる」
銃夜は五六大地に手をかざす。
【名前】 五六 大地
【年齢】 20
【種族】 人間
【性別】 男
【レベル】 1
【装備】 脅迫者の狙撃銃
【称号】 異世界人、スナイパー
【攻撃力】 1
【防御力】 1
【魔力】 9999
【スキル】 全魔法属性
【武器スキル】 ヘッドショット、確殺
(なんか俺と似てるな)
銃夜はさらにスキルの詳細を明らかにする。
【ヘッドショット】
頭に弾丸を撃ち込んだらダメージが増加する。
さらに、命中した相手にマーカーをつけることができる。
【確殺】
自身の弾丸が相手に命中すると確実に致命傷ダメージになる。
(これが五六大地の固有スキル……!!)
「お?」
大地が目をまんまるとした。
「お?じゃねぇ。予想以上の能力値だ」
「そうかそうかそれはよかった。それで――」
「ああ、やってもらいたいことがある」
「おお!なんだなんだ?」
「それは――」
「ちょっとまて」
横かれヌル・バタリアンがそう声を出す。
「信頼はできるのか?」
「もちろんだ。俺の親友だからな」
「銃夜が親友という言葉を使うとは〜!私大地は感激でござる〜!」
「黙れ、それで、信頼はできるのかという話だが信頼していい。俺が保証する。絶対に魔王軍を倒すキーマンきなってくれるだろう」
「そうか」
ヌルは納得してくれたようだ。
「じゃあ、早速仕事だか、ここから、お前のその武器、スナイパーで狙ってほしいものがある」
銃夜は城の中にある小窓をガラガラと開ける。
そして、その小窓から見えるゴーレムがいる闘技場を指さした。
「なんだあのでっかいの?」
「ゴーレムだ」
「ゴーレム?なんだそれ―――」
「と、とにかく、あいつを倒せ。それが命令だ」
「それで、平和になるんだな」
大地の真剣な眼差しが銃夜の心臓を貫く。
銃夜は少しだけ不安になった気がした。
「ああ」
「わかった。だったら従う」
大地はその小窓から銃口を外にだして、トリガーをがっしり持ち、スコープを除く。
目標はガイスト率いる第玖番隊が交戦中のゴーレムだ。
大地が放った弾丸は超速を保ち、一直線でゴーレムの頭を貫通した。
「ガガガガガガガガ」
ゴーレムはその場で頭を抱えて唸っている。
やがて、絶命する。
◇
パリン、魔王ヴォルガロスの目の前にあった水晶が破壊された。
その水晶はゴーレムの視覚と共有されていたので何者かに破壊されたということは一目瞭然だ。
「やられたか…」
ヴォルガロスはそう呟く。
身長160cmとかなり小柄な魔王なのだが、その実態は強力かつ凶暴。
「行くか…」
ヴォルガロスは玉座から立ち上がった。
黒いマントをなびかせながら。
ちなみにゴーレムは意思を持ちません。
ヴォルガロスによって作られた人形に過ぎません。
なので、視覚を共有できるし、破壊されこともわかります。
平たく言えばゴーレムは敵の戦力調査といったところでしょう。




