第109話 過去の英雄
城の中で銃夜は第二の作戦を練っていた。
すると、一通の通信がジナピーを通して来る。
『こちら、玖番隊!至急応援を頼む!!』
その声はバナン・パッカだった。
銃夜の脳内に直接語りかけてくる。
そして、その声の後でガサガサと雑音が鳴っていた。
「報告を頼む」
『報告、ゴーレム、ステルベンによって隊長、副隊長の重傷、現在回復魔法師によって回復中、さらに、兵士が半分以下にまで減少!!』
「はぁ!?やべぇじゃん!!すぐにそちらに応援を送る!!」
『ああ、頼む』
銃夜は通信を切った。
「どうする?ジューヤ」
ヌルが言った。通信相手がバナンだったので心配なのだろう。
「ああ、その為のクラフトだ」
「えっ!私?」
赤髪の少年クラフト――彼はかつてネーベルのパーティーにいた。
自分だということに驚きが隠せない様子。
「ああ、お前の召喚魔法でやってほしいことがある」
「わたわた私っ!?」
「どんだけだよ……」
「私の召喚魔法には条件があるっ!!その条件は“友達”です!」
「友達……?」
「ええ、魔物や人間などの友達との証が必要なのです!」
「あーね」
銃夜は自分のポケットの中をガサガサと音を立てて探った。
すると、銃夜の手に硬い何かが当たる。
どうやら金属のようだ。
その金属はコインのように丸みを帯びている。
(ああ、そうか……こっちの世界の通貨か……いや……)
銃夜の脳内にふとあることを思い出す。
「――いや、あるぞ、証が……!!」
銃夜はその異世界の通貨を片手には持つ。
「スキル【変幻自在】……!!」
【変幻自在】……そのスキルは同じ物質から同じ物質へ―――
つまり、最強の加工スキル……!!
(そうだ…!!あの時貰ったじゃないか…!彼との印を……!!!)
銃夜の手の中に合った通貨がみるみるうちに変化を遂げる。
最終的に一つの弾丸と化してしまった。
「弾丸……?」
近くで待機していたヌルがそう言葉をこぼす。
「ああ、弾丸だ。しかし、ただの弾丸じゃない」
銃夜はその弾丸をクラフトに渡す。
「いいのですか?一度召喚してしまうとこの弾丸は破壊され二度と構築が不可能になる」
「いいんだ…大切な仲間はこっちでもできたから」
「わかりました。ではお預かりします」
「ああ」
クラフトは銃夜からその弾丸をもらい受ける。
そして、城の中の床に一つの魔法陣を書いていった。
「この魔法陣から召喚されます」
そして、クラフトはその魔法陣の中心に銃夜から貰った弾丸をちょこんと置いた。
そして、何かを唱え始める。
その呪文は銃夜には理解できなかった。
おそらくこの場にいた誰もが理解できなかっただろう。
それは現代でいうところのお経に似ていた。
しばらくすると、その呪文は終わる。
瞬間、その魔法陣から黄色い光を発した。
その場にいた人はみなその光を遮るように手で目を隠した。
その魔法陣から煙が出ているのがわかる。
やがて、光と煙は途絶えた。
「どこだここは?」
銃夜はその声に聞き覚えがある。
当然だ―――
「よぉ、会いたかったぜぇ、五六大地……!!!」




