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第102話 強化五感

 銃夜の前にとある男が勝負をしかけてくる。

 その男は斧を持っている。


(戦士か……?それに、ルーナ、ルイとスイが後で他の村人に捕らえられていたて、動けない……か。まぁ、俺がやってもいいのだが、今後のためにルイとスイの攻撃も見てみたい)


「待て待て待て話を聞けって」


 銃夜はその斧を持った男に話を持ち出した。


「俺達は魔王軍じゃない」


「証拠はあるのか?」


「これこれ」


 銃夜はヘリルスのギルドカードを出した。


「ほら、俺のギルカ」


 その男は俺のギルカを受け取り、確認する。


「よし」


 男がそう言うとルーナ達に刃を向けていた村人達も一斉に下がる。

 どうやら、この男がこの村を仕切っているらしい。


「こちらへ来い」


 その男に案内され、一つの家屋に入る。

 家は意外にもしっかりしている。

 木をベースに色々なインテリアが置かれていて、ヘリルスとさほど変わりはない。

 銃夜達はその男に誘導されるまま、イスに座る。


「それで、話ってのは?」


「そうだな、まず自己紹介からだ俺は皇銃夜。そんで―――」


「ルーナです」


「ルイ」


「スイ」


 男はルイとスイという名前を聞いて思い出したのか、バッと勢いよく席を立つ。


「お前、あのルイとスイなのかっ!?」


「「そうでございます」」


 ルイとスイも席から立ち上がり、男の下でひざまずく。

 そして、銃夜は二回ほどパンパンと手を叩く。


「はいはい。感動の再会はあとにしてくれ。ルイ、スイ、席につけ」


「「はい」」


「それで――」


 銃夜はその男に目を合わせる。

 すると、銃夜の意思を読み取ってくれたのかその男ははっと何かを思い出したような表情をした。


「ああ、そうだったな。私の名前はエバートン・ノパベルだ」


「オーケー、ノパベル。それで、話なのだが――」


「ああ、聞くさ」


「その前に一ついいかな?」


「なんだ?」


「メナキサイアが水没した理由だよ」


「ああ、わかっている。おそらく魔王軍だ」


「へぇ~根拠は?」


「根拠か、『見えた』というべきか」


「オーケー完全理解。点と点が線になった感じだ」


 しかし、ルーナは何もわかってなさそうにキョトンとしている。

 すると、ここで銃夜は一気に深刻そうな雰囲気に戻した。

 これはノパベルに対する強いプレッシャー。


「シーラが魔王軍に占拠された」


「なに?」


「シーラってのは魔法がない代わりに機械や戦闘機などを使って戦うらしい。それが全て魔王軍の物となってしまった。そこで、お前達の力を借りたい」


「なるほど」


「ルイとスイ、ヘリルスの上層部に聞けば、メナキサイアは五感が異様に優れているそうじゃないか。魔王軍と断定したのもその『目』じゃないか?」


「ああ、その通りだ。俺達は強化五感という特異体質なんだ」


 強化五感……ノパベルに聞くとそれは『視覚』『聴覚』『味覚』『触覚』『嗅覚』のステータスを超大幅にアップされている状態のことだ。

 視覚に関しては天体望遠鏡並で聴覚に関しても数キロ先で落ちた針の音だって聞き取れる。

 いわば人間の完全体というわけだ。


「そこで、俺から提案がある。魔王軍を一緒に倒さないか?」


「………」


 ノパベルは少し考える。


「お前達には復讐や因縁があるんだろ?」


「条件がある」


「なんだ?」


「俺達をヘリルスに移住させてくれ。見ての通り、全く文明が発展していないし、作物だって育ちにくい土地だ。だから―――」


 銃夜は手で銃の形を作ってノパベルに向けた。


「承諾する」


「こう言っちゃなんだが、お前にそんな権限あるのか?」


「ある。俺はヘリルスの勇者だぞ。その信頼は上層部や国民から厚いはずだ。それに、魔王軍討伐には必要不可欠。この交渉を飲まないほうがどうかしている」


「わかった。だったら早速準備を――」


 銃夜は席に立とうとしたノパベルを止める。


「ちょっと待て」


「まだ何かあるか?」


「一度強化五感とやらの性能を試したい」



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