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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
2章

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第93話 選定


 100人の面接を終えた俺達は誰にするか悩みに悩み、2人の人物をなんとか決めた。


 ぶっちゃけどの人物も病を治したいという気持ちは高く、病を治せるのであれば何でもするという意気込みは全員があった。

 この契約を結ぶ以上、生活圏を俺のダンジョンの近くに移してもらうことになるがいいか、という質問に対しても全員が即決で頷いたのだから、その覚悟の大きさがうかがえた。


 その中で決め手となったのは、やはりどれだけ印象に残ったのかと、茉奈とパーティーを組ませるのであればどんな人物がいいかだった。

 一応面接の時の映像は残して後から確認できるようにはしていたが、記憶に残るような人物の方を選んでしまうのは当然だろう。


 俺が面接をして、一番記憶に残ったのは17歳の少女だった。


(わたくし)桜小路(さくらこうじ)夕莉(ゆうり)と申します』


 彼女だけ唯一ダンジョンの面接に直接来なかった。

 ではどうしたのかというと、家族に頼んでタブレット端末をダンジョンに運んでもらい、リモート通話で病室から面談を行ったのだ。

 病人の家族が応募するパターンの方が多かったのと、ダンジョンで面接があるのもあり、病人自ら応募した者は少なく、この最終面接で唯一残ったのが彼女だった。


『このような方法で面接に挑んでしまい申し訳ありません。病室から出る事がどうしても出来なかった為、このような手段を取らせていただきました』

「別に手段は問わんさ」


 俺もヴェッセルナイトを遠隔操作してるのだから、似たようなものだしな。


『ご配慮くださりありがとうございます』

「あまり固くならなくていい。それよりも本題に入ろう。

 桜小路は何故ポーションを求める?」

(わたくし)がポーションを求めるのは、ポーション以外に(わたくし)の病気を治す手段がないからです。

 (わたくし)の病気は脳腫瘍。しかもそれは脳の深部にあり、生命維持に関わる箇所のため、手術で取り除くこともできませんわ』


 桜小路は病室でありながらニット帽を被り、頭部を完全に隠していた。

 おそらく薬の副作用で髪が抜けているからだろう。人前に出るなら不安を和らげるために身に着けるだろうな。


(わたくし)には時間がもうありません。余命は聞かされていませんが、もう長くないことは分かります。

 (わたくし)はまだ死にたくありません! そのためなら(わたくし)はダンジョンマスター様に生涯の忠誠を誓います!』


 少女の悲痛な叫びと、先ほどまでの作り笑いが一転して一気に泣きそうな表情が露わになった。

 もっとも、面接に来た他の者達もそうだった。

 家族を救うべく、契約させてほしいと懇願するのは一緒だ。


 だが、必死さが違う。

 己の命がかかっているのと、家族の命がかかっていること。

 その両方を比べるものではないが、それでも、自身の死を前にしていて恐怖心などが合わさった訴えは、他の者に比べて重く感じた。


 それが彼女を選んだ決め手となった。


 この様子であれば、契約完了後も恩義を感じて魔石の取引ができそうだという狙いもある。

 それに意思が強そうでしっかりしており、茉奈のブレーキ役になれそうだというのもあった。


 そんなわけで桜小路を選んだわけだが、最後の1人は誰にするか難航した。


「誰にすればいいんでしょう?」

「茉奈はこの人がいい、ってのはないのか?」

「う~、誰もがポーションを必要としている人のせいで選べませんよ~」


 そりゃそうだ。

 桜小路のように現代の医学では完治不可能な病で、ポーションを使わなければいつ死んでもおかしくないという人物に使うため、その家族がポーションを欲しているのだ。


 それにもかかわらず、残りの1人を選ぶということは、選ばれなかった98人を見捨てるということと同義なのだから、中学生にはさすがにその選択は重かったか。


「じゃあ茉奈。お前がもしダンジョンに行くとして、どんな奴と一緒にダンジョンに行きたい?」

「え、そんな選び方でいいんですか?」

「いいから、試しに言ってみろ」

「そうですね。やっぱり長期間ダンジョンに行くことも考慮にいれると、同性がいいですよね。できれば年も近い方が話があって嬉しいです」


 やっぱりそうなるよな。

 とすると候補はある程度絞られるわけだが、それでもまだ候補は多い。

 この候補者の中で誰にするかを決めるため、面接の様子を再び見直すことにした。

 その結果、彼女に決定した。


「よ、よろしくお願いします。私は間宮(まみや)詩織(しおり)といいます……」


 引っ込み思案な子で、他の候補者に比べて大人しい子だった。

 ショートヘアーだが、目が隠れるほど前髪は長く、あまり人と目を合わせて話す事ができないようなタイプ。


 そんな子が俺と契約したいと望むのは母親のためだった。


「わ、私の母は重度の自己免疫疾患を患っており、余命いくばくもありません。

 何でもします! だから母を治してください!」


 自分の為よりも家族の為の方が行動できる子のようだ。

 もっとも、他の候補者も似たり寄ったりだったのだが、彼女に決めた理由はこれだった。


「ダ、ダンジョンでレベル上げはすでにしていて、ジョブを得ています。

 私のジョブは〔見習い魔法使い〕です」


 遠距離攻撃ができるジョブを持っていたからだ。

 今まで確認出来た中で、〔剣士〕などのジョブの人間はいても、〔見習い魔法使い〕のような魔法が扱えるジョブの人間は少ない。


 おそらく最初の選択肢にはあまり出てこないジョブなのだと思われる。


 茉奈が〔剣士〕であることを考えると、遠距離攻撃が出来る人間がいた方がよく、それが〔見習い魔法使い〕なら〔弓士〕より強力なのは間違いない。というのが決め手となった。


 少女達ばかりで大丈夫なのかと不安にはなるが、茉奈1人だけよりは遥かにマシだろう。


 こうして候補者の選定は終わり、彼女達や落選した者達への連絡を行った。


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