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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
1章

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第8話 Q&A


 ようやく国の人間が俺達のダンジョンにやって来たか。


 やってきた男は見た目随分若そうだけど、意外とベテランなのか?

 もしくは貧乏くじを引かされて、いざという時は首を切られる哀れなスケープゴートだろうか?


 こんな状況で経験の浅い人物が来たとは思わないが、自分で言うのもなんだが、こんな本当に交渉できるかも分からない未知な存在相手だし、経験とか関係ないと判断されて柔軟な思考ができてサブカルに通じてる若者に任す、という名目で仕方なく来させられた人物かもしれない。


 スーツを着た男は他に2人、警察が使うような半透明の大きな盾(ライオットシールドだったか?)を持ったガタイの良い人物に守られるようにダンジョン内に入ると机の前までやってきた。

 別にそんな警戒しなくても部屋の中には罠も魔物もいないんだよ。


 さて、それはともかくようやく待ちに待った交渉人だ。

 なんとかこちらには敵意がなくむしろ味方だと思わせるか、最低限利用価値のある相手だと思わせないとな。


「初めまして人類の方々よ。私はナオト(仮)というものです」

『っ!? ナ、ナオト……様ですか?』


 画面には交渉人らしき人と他の2人がいきなり声をかけたからか、ビクリとした様子を見せ、交渉人が緊張しながら問い返してきた。


「ナオト(仮)です。(仮)までが私の正式名なのですが、ナオトで構いません」


 これ、偽名でもなんでもなくガチなんだよな。

 スマホには俺自身のステータスのようなものが記載されていて、氏名のところにはナオト(仮)と書いてあったのだ。

 神だかなんだか知らないけど、名前はもっと真剣に考えてくれよ。


『ご丁寧に自己紹介いただき、ありがとうございます。

 私は日本国政府、外務省の交渉専門官として派遣されました中村と申します。 まずは、この場において敵意を持たないことをお伝えいたします。

 我々はダンジョンの存在を理解するためにここへ参りました。 どうか、話し合いの場をお許しいただけますか』


 よし。緊張しているのか少々硬いが、少なくともまともに話し合いが出来そうな相手だな。


「もちろんです。私はそのためにこの場()()を設けたのですから。あ、よろしければこちらをどうぞ。抹茶パフェです」

『あ、ありがとうございます。……何故抹茶パフェ?』

「日本人は好きでは?」

『人によるかと。私は好きですが』

「それはよかったです」


 交渉人と護衛の人達にそれぞれ抹茶パフェを歓迎の印として出してみた。

 食べ終わったら消えてしまうスプーン付きで良かった。


 とりあえず向こうの緊張は多少ほぐれただろうし、これで交渉もスムーズにいくか?


 問題は俺にこんなインテリっぽい相手と交渉経験なんて記憶にないことだ。

 上手く交渉できるか不安だがやるしかない。


「(この場しか創れなかったの間違いでは?)」

「(やかましい。ハッタリは大事だろ)」


 あたかも本当はもっと大きなダンジョンを創れますよと思わせる方がいいだろうが。

 画面の向こうにいる相手に聞かれぬよう、小声でちゃちゃを入れてくるマルティアを黙らせ、話し合いを続ける。


「単刀直入に言います。

 私は他のダンジョンと違ってあなた達人間とは良き隣人として、お互い共存共栄ができればと思っています。とはいえ、いきなりそのような事を言われても信じては貰えないでしょうが」

『そのお気持ちを示していただけたことに感謝いたします。

 信頼は一朝一夕に築けるものではありませんが、まずは互いに理解を深めることから始めさせていただければと思います。

 そのために差し支えなければ、こちらから質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?』


 互いに理解を深めていくと言うが、そっちがダンジョンについて一方的に聞くだけだろうな。

 過去の人間関係の記憶は失ってるが、人としての常識は覚えてるわけだし。


「はい、構いませんよ。何を聞きたいのですか?」


 俺がそう聞き返すと中村はゴクリと喉を鳴らしていくつかの質問をしてきたので、俺はそれに対して正直に答えていった。



 ◆



 Q:他のダンジョンと言ってたが、あなたが全てのダンジョンを支配してるわけではないのか?

 A :その通り。1つのダンジョンにつき1つのダンジョンマスターがいて、それぞれ好きなようにダンジョンを運営している。


 Q:あなた達ダンジョンは何故現れたのか?

 A :分からない。人類が何故生まれたのかを説明できないのと同じ。


 Q:目的はなに?

 A :ダンジョンを大きくすること。理由はなく本能でそれを求めている。


 Q:どうやって大きくなる?

 A :人類から負の感情エネルギーを集めることで、それを糧に様々なモノを生み出せる。例えば部屋を増築してダンジョンを大きくしたり、人類を誘い込むためのポーションを出したりできる。


 Q:負の感情エネルギーを盗られた人間はどうなる?

 A :どうもならない。人間に悪影響はなく、むしろ鬱な気分が減って自殺者が減るはず。


 Q:魔物に銃器が効かない理由は?

 A :(マルティア曰く)クラスが解放されていないから


 Q:クラスとは?

 A :ゲームでいうところの剣士、アーチャー、陰陽師といった役割や戦闘スタイルを示すもの。

 人類がダンジョンで魔物を倒すと自身のステータスを見ることができるが、そこに記載してあり、そこでクラスを選べる。


 Q:ダンジョンで大けがを負ってもダンジョンから出ると全ての傷が癒えるのは何故?

 A :ダンジョンに入った人間は全員、肉体ではなく仮想の肉体――アバターに切り替わる。HPが尽きると自動的に元の肉体に戻る仕組みになっているため、ダンジョンから出れば大けがもすべて消えてる。

 元の肉体に戻るとレベルを上げたことによって得た超人的な力は当然無くなる。



 ◆



 他にも様々な質問がされたためかなりの時間がかかったが、これでダンジョンについての理解が深まっただろう。


 そう。

 俺達以外のダンジョンは、基本的に人類をエネルギー源としか思っていないと思わせられただろう。

 さて、ここでさらに俺達が人類にとって有益なダンジョンだと思わせたいところだ。


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