第71話 LR
俺とマルティアはあまりの衝撃に固まってしまった。
[ガチャ]の演出はいつもカードが出てきてその色でレア度が判別でき、Nで白色、Rで赤銅色、SRで銀色といった感じだ。
URであればカードが金色に光り輝く演出になるのは、フィギュラスや今までのURで数度見てきたので知っている。が――
「虹色……」
「嘘、でしょ……?」
10連目の最後のカードはいつもSR以上確定なので銀色なのだが、今回何故か白色だった。
それをいぶかしんでいたら、どんどん色が白→赤銅→銀→金となり、最終的に虹色へと変化したのだ。
ありえない光景にマルティアと共に固唾を飲んで見守っていたら、演出が収まりカードがひっくり返る。
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〈LR〉
・ダンジョン施設
再誕の巣窟
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「LR……」
「何ですかこれ? 〝再誕の巣窟〟なんて聞いたこともないダンジョン施設です……」
マルティアも知らないダンジョン施設が出てきてしまったようだが、一体どんな施設なんだ?
再誕の巣窟:登録した配下が死亡した際、その強さに応じた時間が経過すると復活する(復活する際のコスト不要。登録数上限なし)
「まじか」
つまりこれがあれば、フィギュラス達が敵にやられたとしても、時間さえ経てばノーコストで蘇生できるというのか!?
……ん? つまりこれって……。
「〝魔物発生陣〟は別に必要不可欠じゃなくなったのか」
「うおい!? あれだけしばいておいて、それはないでしょ!?」
〝魔物発生陣〟とかどうでもよくなるものが出てきてしまった。
全く不要ということではない。
魔物の復活にはインターバルがあり、Fランク相当の魔物でも丸一日はかかるようだから、〝魔物発生陣〟のようにポンポン出てくるわけではない。
だが、[ガチャ]で入手している魔物達の損害を気にしなくて済むのであれば、3、4階層を解放して、人類でも倒せるレベルの魔物を配置してもいいようになる。
なんなら〝魔物発生陣〟で出現した魔物を逐一登録していけば、どんどん魔物が増やせるから、人類にとっては尽きない狩場ということに……。
「とりあえずマルティア。よくやった」
「褒められたのに釈然としない気持ちになるのはなんでしょうね」
マルティアが若干不満そうにしてはいるものの、やはりLRの有り得ない有用性からか、どことなく嬉しそうな雰囲気ではある。
これで俺達のダンジョンがさらに盤石となったのだから当然だな。
しかも今後はさらに人を呼び込めるとなると、嬉しさも倍増だろう。
「じゃあ早速設置するか。それにしてもこれが出てきて本当に良かった。〝魔物発生陣〟は確かに出たが、実質片方しか使えないしな」
「RとSRで出ましたからね。片方は〝Fランクの魔物発生陣〟ですが、もう片方が〝Dランクの魔物発生陣〟ですから、魔石を求めても返り討ちにあいますよ」
スライムとかゲームや漫画などによっては強かったり弱かったりするが、現実ではランクがFなのもあって、打撃でも斬撃でも簡単にやられる存在のようだ。
しかしフレイムインプはその名の通りインプが炎を纏っていて、攻撃手段が火の玉を投げたり突進をしてくるのだから、ダンジョンに入り始めた人類には早すぎるだろう。
「……よし。コア近くに設置したから、後は登録を済ませれば魔物達は死んでも蘇るぞ。
それじゃあマルティア、魔物達を呼び寄せてくれ」
「分かりました」
マルティアに、すでに召喚していて各階層で自由に過ごしている魔物達をコア前に来るよう通達させた。
そして俺はその間に3階層の〝草原〟に〝Fランクの魔物発生陣〟を設置しておく。
「これでよし。後は登録作業だな」
どんな魔物も蘇生できるとんでも施設だが、一々登録しなければいけないのは少々面倒だ。
効果を考えればこの程度の手間なんて惜しむことはないのだが。
あっ、設定を他にもしておかないとな。
蘇生時に死ぬ直前の記憶を残すか消すかも選べるから、当然消す方を選択。
人類に狩られてもいいようにするのだから、その記憶が残っているのは悪影響でしかないだろう。
知能の高い魔物であれば余計にだ。
今のところ人類はそういった魔物を狩れるほど強くはないが、いずれ倒せるようになるであろうことを考えると、そういう設定にしておいたほうがいいだろう。
あとはリスポーン地点だが、倒された階層のどこか人のいない場所にランダムでいいか。
基本的には同じ階層にいてもらうから、わざわざ〝再誕の巣窟〟で復活しなくてもいいし。
仮に人が大勢いてリスポーン地点がない場合や他のダンジョンで倒された場合は〝再誕の巣窟〟での復活になるが。
「とりあえず設定することはやったし、あとは来たやつから順に登録していくかね」
ダンジョン内にいる魔物が百体ほどに、今ガチャで引いた百体近くの魔物、計二百体ほどの魔物の登録、か。
俺はため息を吐きながら、面倒なのは最初だけだと自分に言い聞かせた。




