第63話 騙されないぞ!
・え、ガチで出たんだけど!?
・マジもんのダンジョンマスター!?
・ダツサラの壮大な仕込みか!?
甲冑の人物が言った通り、抹茶パフェが机の上に出現した瞬間、リスナー達は衝撃で騒然となり、チャット欄は驚愕のコメントで溢れ返っていた。
「オレ、なにも仕込んじゃいねえよ!?」
「どうした?」
「いや、あの、リスナーのコメントに反応してしまいまして……」
・きょどってて草
・ガチのダンジョンマスターの可能性が爆上がりしたせいで、さっきより低姿勢になっとるw
くそぅ。リスナーども好き勝手言いやがって。
現地にいないからダンジョンマスターと遭遇した衝撃から、もう回復した何人かのリスナーがここぞとばかりに弄ってきやがる。
ネタ的には美味しいんだが、今それどころじゃねえんだよ!
・ダツサラの仕込みの可能性が微レ存
・それなら手品かもしれんぞ
・抹茶パフェは動物部屋にいたら時折出てくるから、偽物を作るのはそう難しくもないよな
まだ仕込みを疑われていたか。
だがリスナーの言う通り、イリュージョンのような大掛かりな手品ができるマジシャンなら、ワンチャン有り得るのは確かだ。
「えっと、ちなみにダンジョンマスターらしいことって他に何かできます?」
「抹茶パフェだけじゃダメか?」
「まだリスナーが、マジシャンならそのくらい出来るだろうと疑ってまして……」
抹茶パフェの現れ方を直に見たし、オレは仕込みじゃないと分かってるから9割方本物のダンジョンマスターだと確信してるので、あまり変に刺激するようなことは言いたくないんだが、ここで日和ったら配信者の名が泣く。
こんな最高の取れ高を逃がしてたまるものか!
「う~んそうだな。……それじゃあ新しい部屋でも創るか」
「できるんですか!?」
「そりゃダンジョンマスターだからな」
・ごもっともで
・ダンジョンを創れないやつがダンジョンマスターな訳ないわな(笑)
・ちなみにどんな部屋創るの?
「あ、すいません。リスナーからどんな部屋を創るのかと聞かれているんですが……」
「〝酒場〟」
「はい?」
「だから〝酒場〟だ」
・なんで酒場www
・ダンジョンマスターじゃなくても創れるやつwww
・もっとダンジョンっぽいの創れよ……
リスナーから爆笑と困惑の嵐が一斉に上がり、コメント欄が凄いことになっていた。
って、同接数がいつの間にか一万超えてるんだが!?
いつも200人程度だったのに、同接数がまるでバグったみたいに跳ね上がっていってやべえ。
「じゃあダンジョンの奥へと向かう通路伸ばして新たな〝通路〟と〝酒場〟を設置するか」
あ、同接数に気を取られている間に、なんかとんでもない事を言い出したぞ。
「よし、できた」
「え、もう……」
ただそこに立ってるようにしか見えなかったのに、酒場を創ったというのだが本当だろうか?
しかしそれにしても聞きたいことが1つ。
「あの、ところで何で酒場なんですか?」
「俺が創れるダンジョン施設はランダムで得たものだけなのと、少し前に手に入れたはいいが放置してたのが〝酒場〟だったんだよ。
人集めるのにちょうど良さそうな施設だし、1階層に配置するのが無難だと思ったからちょうど良かったな」
言ってる意味がちょっとよく分からない。
ダンジョン創造するのにランダムで得たとかどういう事なんだろうか?
自分で自由に創れるものじゃないのか?
「さて、創った物を実際に見てみるか」
「あ、待ってください!」
スタスタと先ほど甲冑の人が歩いてきた道を戻っていくので、オレは慌ててその後を追った。
「え……動画で見た時より通路が心なしか長くなってないか?」
「〝通路〟増やさないと、通路の中間に〝酒場〟が配置できなかったからな」
・マジで長くなってない?
・し、仕込みに決まってるだろうが!
・いや、こんなのどうやって仕込むんだよ
・待て待て待て。もちつけお前ら
・餅ついてどうする。落ち着くのはお前だ
コメント欄が興奮と混乱でごった返してやがる。
甲冑の人――いや、ダンジョンマスターについていくと、通路には今までネットにあげられていた動画には存在しなかった扉が途中で存在していた。
ガチでダンジョン創造しとる……。
・騙されないぞ! ついさっき出来たからそれを利用してダンジョンマスターを騙ってるだけだろ!
オレは目の前のこの人がダンジョンマスターだと確信したが、リスナーの中にはまだ信用していないのがいるようだ。
「いやいやいや! 騙ってないぞ!」
「どうした?」
「す、すいません何度も。リスナーが……その、オレがたまたま酒場ができる瞬間を見て、誰にも見られてなかったから、それを利用して協力者にダンジョンマスターのフリをさせて、あたかも今ダンジョンを創ったように見せかけてるんじゃないかって疑ってまして……」
ここまでやってもらったのに、まだ信じられていないだなんて気を悪くするんじゃないかと思いながら、恐る恐るそう伝えると、ダンジョンマスターは何故か納得したのかポンッと拳で軽く手のひらを叩いていた。
「ああ、そうか。しまったな。だったら目の前でやるべきだったか」
このダンジョンマスター、めちゃくちゃ温厚だな。
「あの、怒らないんですか?」
「別に? どれだけやっても信じないやつは信じようとしないものだろ?」
人間に理解がありすぎるなぁ……。
そうでなかったら国と交渉なんてしないか。
「一応ここが〝酒場〟だと示す〝看板〟を出すが、これを目の前でやっても、トリックか何かだと騒ぐんだろ?」
「うわっ、ホントに出た!?」
・し、信じないぞ……
・微妙に疑いきれてないやつがいて草
・ここまでやられたら、仮に嘘だったとしても信じていいだろうに
「あと俺ができる証明だと何があるかな……?」
「別に無理しなくてもいいんですよ? ここまでやっても疑うなら、もう何を見せても無駄だと思うんですよ……」
もう本当に充分なんで、これ以上は心臓に悪い――
「サキュバス達でも呼ぶか」
ふわっ!?
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入口
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動物部屋―部屋―動物部屋
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|―酒場(NEW)
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部屋(―)部屋―商人の間
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魔物部屋
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2階層への階段
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