第64話 ( ゜∀゜)o彡°
「今サキュバスって言いました?!」
・言った
・言った
・言ってなかったとは言わせない
・サキュバス、サキュバス!( ゜∀゜)o彡°
・サキュバス、サキュバス!( ゜∀゜)o彡°
コメントが爆速で流れているが、リスナーがそこまで反応するのは痛いほど分かる。
男ならサキュバスと言われて反応しないやついねえよな!
空想上の産物だと思っていた存在がこのダンジョンにはいて、しかもそれを呼んでくれるというのだから興奮せずにはいられない。
他のダンジョンじゃ安全上の問題で民間人は入れないし、それらのダンジョンからサキュバスが現れたなんて話も聞いたことがないのだから、なおさらだろう。
「ん? サキュバスだけでいいのか?」
「はい?」
「エルフもいるが」
「エルフ!?」
・エルフ、エルフ!( ゜∀゜)o彡°
・エルフ、エルフ!( ゜∀゜)o彡°
・エルフ、エルフ!( ゜∀゜)o彡°
コメントが落ち着くどころか加速する一方だ。
この人(?)はどこまでオレ達の期待を越えてくるんだ!?
「あとは……」
「ま、まだいるんですか!?」
・他にどんな空想生物が……!
・ゴクリ……
・全裸待機
「叡智叡智テンタクルとかかな」
「叡智叡智……え、なんて?」
・……今なんて言った?
・叡智叡智テンタクルってなんぞや?
・聞いたこともない魔物(?)の名前が出たんだが……
コメントが一気にシュンっと大人しくなり、困惑一色になってしまった。
「触手の生えたスライムをイメージすればいい」
「あ、はい」
・触手スライムに叡智叡智がつくのか
・R18の気配……
・サキュバス、エルフ、叡智叡智テンタクル……閃いた!
・通報した
・これ、下手したらBANされるんじゃね?
・ダンジョンの配信なのに、流血沙汰でBANされるんじゃなくてセンシティブでBANされるとかwww
「そんな不吉な事言うのやめろよお前ら!?」
いくらその3体が現れたからって、BANされるような何かが起こるわけ……叡智叡智という名前の主張のせいで否定しきれねぇ……。
オレはセンシティブ判定を食らわないであろうエルフだけにしてもらうか悩み始めた、その時だった。
「マスター呼びましたか~?」
「1階層に呼び出すとは珍しいな。何があった?」
――プルプル
もう来たの!?
・キターーーー!!
・サキュバス、サキュバス!( ゜∀゜)o彡°
・エルフ、エルフ!( ゜∀゜)o彡°
・触手、触手!( ゜∀゜)o彡°
触手で興奮しているやつも一定数いるあたり、性癖の深淵ってやつが垣間見えるな。
性癖をこじらせてるやつはともかく、今は目の前のダンジョンマスターの配下達だ。
緑髪のショートヘアーのエルフは、白を基調にしたチュニックに軽量のブーツと革鎧を身に着けていて、まさに一目でエルフだと分かる。
だが逆に、金髪のゆるいカールのロングヘアーのサキュバスは、なんというかサキュバスらしくない。
コウモリの翼や尻尾が生えているのは想像通りなんだが、ボディラインを隠すようなゆったりしたロングスカートを着ており、露出が少なかった。
配信者としてはホッとしたが、男としてはすごく残念な気持ちだ……。
ただどちらの存在も映像映えするほどの美人で、そのせいかオレのチャンネルの同接数がさらに加速していた。
いや、彼女達だけではなく、その背後にいるピンク色の触手を持つ魔物も一役買っているか。
なにせ見た目のインパクトが凄い。
自動車並みのサイズで、襲われたらひとたまりもないと簡単に想像できてしまう。
「悪いな、急に呼び出して」
「問題ない。だが私達に何をさせるために呼び出したのだ? その男を倒せばいいのか?」
「えっ!?」
・ダツサラ、いいやつだったよ……
・いや、エルフとサキュバスに折檻されるとかご褒美では?
・触手もいるぞ!
・アーーーッ!
「おい、こら!? 触手に襲われるオレの画をホントに見たいのか!?」
・バッチイ
「バッチイは言い過ぎだろうが!」
・草
「あの~マスター。あの方は1人で何を騒いでいるんですか~?」
「配信してるんだと。1人で騒いでるんじゃなくて、スマホを通してこっちの映像を見ている視聴者と喋ってるんだ」
「へぇ~。これが配信ですか~」
・サキュバスかわいい
・エルフもこっち見た!
・触手もプルプルと震えててかわいい
・えっ、かわいいか?
「ふむ。それは分かったが結局私達はなんで呼ばれたんだ?」
「俺がダンジョンマスターか証明してほしいっていうから、配下を呼べば証明になると思って呼んだんだ。
だから呼んだ目的はもう達成されたと言えるな」
「なんだ、それだけか」
・確かにこれでダンジョンマスターじゃないというのは無理がある
・サキュバスとエルフはギリギリコスプレだと言い張れるが、後ろの触手はなぁ~
・ワンチャンCG……いや、映像解析すればすぐ分かるから無理か
リスナー達は全員納得したようで、もう誰も目の前の甲冑の人をダンジョンマスターかどうか疑っていなかった。
「まあせっかく来たんだし、配置した〝酒場〟の中も気になるから着いて来い。あ、テン君は小さくなってくれるか?」
「了解した」
「分かったよ~」
――プルル
ダンジョンマスターの指示に従い、テンタクルはその身を縮めて大型犬くらいのサイズになっていた。
これを見て疑えるやつはいないよな。
「あんたも来いよ。人類側の感想も聞いておきたいしな」
「わ、分かりました」
今日の同接はすでに過去最高になっているが、まだまだ増え続けているこのチャンスを逃すはずがない。
こうなったらリスナーの期待に応えてやるぜ!




