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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
2章

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第60話 欠点


 俺はヴェッセルナイトを使って、俺ごと〝VRチェアー〟を古民家の中へと移動させる。

 別に〝VRチェアー〟は家の中じゃなくてもいいかもしれないが、ヴェッセルナイトを操作中はそちらに意識が乗り移ってるから関係なかったとしても、家の外の真っ白な空間に置きっぱなしにするのは気分が良くないので、家の中に設置することにした。


「よし。それじゃあ早速行ってくる」

「ちなみにどちらまで?」


 〝VRチェアー〟の設置を終えた俺がマルティアにそう言うと、マルティアはどこか恐る恐るといった様子で聞いてきた。


「もちろん1階層だが?」

「やっぱりですか。止めた方がよくありません?」

「は? なんでだ? せっかく遠隔操作で人類と意思疎通が取れるようになったんだから、試してみたいだろ」

「そんな中ボスみたいな見た目の存在が、いきなり1階層に現れるのを人類側の観点で想像してみてくださいよ」

「……もしかしてパニックになるか?」

「かもじゃなくて絶対そうなる――とは一概には言えませんが、少なくとも悲鳴を上げられかねませんよ」


 厨二病の気合の入った冒険者に思われなくもないかもしれないから、マルティアの言う通り絶対そうなるとは言い難いが、それでも悲鳴は上げられそうだ。




 ……ポイントになるからいいか。


「じゃ、行ってくる」

「話聞いてました!?」


 聞いた上で行くと決めたんだから別に構わないだろう。


 正直、チュートリアルダンジョンという立ち位置を得られそうであり、人が大勢来るようになりそうな状況ではあっても、やはり負の感情を回収するのはそれでは効率が悪いから、ポイントを得られる機会があるなら逃したくはないんだよな。


 出来れば安全に恐怖を与えられるアトラクションのようなダンジョンを構築できればいいんだが、倒させてもいい魔物を中々得られない[ガチャ]でそれは難しい。

 フィギュラスの協力があれば一応お化け屋敷みたいなのは可能ではあるが、フィギュラス頼りになってしまうのもよろしくない。


 フィギュラスには人形作りに励んでもらって、ダンジョンバトルの時などに活躍してくれるのがもっとも望ましいのだ。

 人を襲う片手間では大した人形を作れない以上仕方ない。


「順調にいってるようで、微妙に上手くいかないあたり[ガチャ]のランダム性が出てるな」


 さすがにフィギュラスの代わりにテン君に活躍して貰うわけにもいかないし、どうしようもない。

 テン君にお願いしたら、俺のダンジョンが色欲のダンジョンとか言われ始めてしまい、嫌厭されて人が離れてしまうだろうし。コアなファンは出来そうだが。


 思わず小さくため息を漏らして、俺は1階層へと移動を開始。




 ……ダンジョンコアから。


 なんで1階層にポンッと出現できないのだろうか?

 仕様と言われたらそこまでなのだが、ダンジョンが大きくなるごとに移動距離が広すぎて大変になるな、コレ。

 人類と意思疎通が取れるのだから、この程度の手間は受け入れて然るものなのかもしれない。

 今回はダンジョンの様子を現地で見て回るいい機会ではあるが、次からはどうにか出来ないか考えておきたいな。


 そんな風に色々とダンジョンについて考えながら移動していると、ようやく1階層へと辿り着く。


「3階層か4階層に隠し部屋と番人でも用意して隠しておくか? いや、それで万が一誰かに発見されたら悲惨か。

 ワープ系の〝ダンジョン施設〟でも出ねえかな……」


 ブツブツと独り言をつぶやきながら、〝魔物発生陣〟のある部屋に入る。


「うおっ!? な、なんだ!?」

「あ、すまん。俺の事は気にしないでくれ」


 すでに俺のダンジョンはこの半年でチュートリアルダンジョンとして民間に2階層まで開放されており、ステータスを得てクラスを獲得しようと日々人が訪れている。


 こんなにも民間への開放が早いのは、ダンジョンで強くなっても地上では影響がほぼないからだろうな。

 いくらエネルギー資源となる魔石を手に入れたいからって、それで地上の治安が悪くなるようじゃ意味ないだろうし。


 ただ同じダンジョンマスターのカグラから聞いた話では、まだ他のダンジョンには民間の人間は来ておらず、自衛隊が何度か様子見に来ているだけのよう。

 民間でも入っていいダンジョンかの調査を行っているのだろう。


 しかしそうなると、3階層以降も人に入って貰えるよう、なんとかして低ランクの〝魔物発生陣〟を手に入れないと、一度か二度来たら大半が次から誰も来ないダンジョンになってしまうな。


 分かってはいるがこればかりはホント運だからどうしようもない。


 やるせない気持ちになりながら歩いてると、周囲がこちらを見ながらざわつき始めた。


「なんだあれ? コスプレか?」

「気合入り過ぎだろ。ここじゃウサギ一羽倒すだけだぞ」

「イタすぎるだろあの格好……」


 ……ふっ、どうやら厨二病患者と思われてるようだ。

 仕方がないだろ、この格好がデフォルトだから鎧とか外れないんだよ!


 声を大にして言いたかったが、そんな事をしたところで無駄なのは分かっているので入口へと向かう。

 2階層ではあまり人とすれ違わなかったが、1階層では人が多いから人に見られるのはどうしようもないな。


 まあいい。国の人間はいつも同じ時間に来るから、しばらく待っていればいいか。



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