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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
2章

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第57話 へ~裏切るんだ


 自衛隊は1階層の魔物部屋で、ホーンラビットを倒した人間が5人になったら、それでパーティーを組んで2階層へと向かっていた。


『ここから先は未知の領域だから慎重にいくぞ』


 今まで魔物部屋の手前までしか人が入ってこなかったからな。

 入って来てたとしても大して危険はなかったが。


『おっ? また〝看板〟か』


 オッサンが再び現れた〝看板〟を見て、眉がわずかに上がった。

 2階層へと降りる階段がある部屋の中央にも〝看板〟を設置したのだ。


〔チュートリアル:罠に気を付けよう

 ※この階層では魔物は出ません

 ダンジョンには罠が複数設置してありますので、どんな罠が仕掛けられているか体感してみましょう

 殺傷能力の高い罠は設置していませんので安心してください〕


『なるほどな。さっきのチュートリアルはクラスを得るため、今度のチュートリアルはダンジョン内での移動に慣れるためのものか』


 こちらが意図したことを理解したようだ。

 もっとも、魔物がいないのは〝魔物発生陣〟がないから、下手に魔物を倒されたら困るというだけだが。


 ちなみに罠は落とし穴を始め、槍が飛び出したり、矢が飛んでくる程度のものだ。

 このラインナップだと、殺傷能力の高い罠は設置しないという話はなんだったんだと思われそうだが、〝看板〟に『殺傷能力の高い罠は設置していません』と書けたのだから、即死レベルのものでなければ殺傷能力の高い罠とは言えないのだろう。


 鬼人武者に使った〝爆発床〟クラスでなければ、殺傷能力が高い罠じゃないのかねぇ?

 毒煙も仕掛けてあるが、麻痺毒や睡眠毒程度だしな。


 槍とか矢って殺傷能力高そうだけど、当たり所が悪ければ、という枕詞がつくから大したことが無いって判定なんだろう。


「さすがにここから先は見てても面白味は無さそうだな」

「そりゃそうですよ。足元とか横の壁とか警戒して通路をうろつく人達見て、何が楽しいんですか」


 やっぱり魔物を倒したりするアクティブな動きや、レベルが上がってスキルが増えたりクラスに変化がある場面じゃないと見応えがないわな。


「まあいいか。どうせこいつら3階層の手前で元来た道を戻るだろうからな」

「あんな〝看板〟があったら、訓練目的で来てる彼らはそりゃ戻りますよ」


 ◆


 ※3階層前の看板

〔ここから先、チュートリアルはありません。

 出てくる魔物は完全にランダムのため、レベルが低い状態で入ると死んでしまう可能性があるので注意しましょう〕


 ◆


 自衛隊の人間が来始めて数日経ち、ようやく訓練期間が終わったのか自衛隊の人間は来なくなり、一般人が再び来るようになった。


「少し残念だな。ボーナス期間が終わっちまった」


 1階層の魔物部屋じゃ、1人ずつ列を作って待ってるからか、行列に並んだり待つのが嫌いな奴が勝手にイライラしてポイントが入ったんだよな。


「普通、あんな数の人間がダンジョンに入って来たら気が気じゃないはずなんですけどね」

「訓練目的って分かってるから、気をもむ必要がなかったんだよな」


 仮にあの人数が一斉にダンジョンを攻略しようとしたところで、特殊フィールドとテン君()がいるから何の問題もない。


「エルフとサキュバスの2人が協力的になってくれたから、魔法で迎撃できるしな」


 テン君のお陰で素直になったものだ。


「そう思うのなら、〝名付け〟をいい加減してくれてもいいんじゃないか?」

「そうですよ~。ワタシ達が有用なのはもう知ってるじゃないですか~」


 緑のショートヘアーでスレンダーボディーなエルフと、それとは正反対の金色のゆるいカールのロングヘアーで豊満なボディーのサキュバスが不平を漏らしてきやがった。


「タマ(ワーキャットシーフ)とイーヴ(ホムンクルス)の2体のように、最初から協力的だったらとっくに〝名付け〟をしていただろうな」


 三毛猫みたいな模様で二足歩行する100センチほどの身長の猫であるタマと、髪や肌など全体的に白くて性別を感じさせないイーヴは初めから俺の命令に従っていたのに、召喚したばかりの頃は渋々従ってたのに何を言ってるんだろうか?


「うぐっ!? それを言われると何も言えないな……」

「でも~、いい加減種族名で呼ばれるのは嫌です~」

「〝名付け〟じゃなくて仮の名でいいのなら構わんがな」


 仮の名と前置きして名前を決めた場合は〝名付け〟にならない。

 というか、そうじゃなければ同じ種族の魔物を個別に呼びたい時に困る事になるだろう。

 俺の様な状況が例外なだけだ。


「下手に〝名付け〟すると獲得できるポイントが減るから、あまりしたくないんだよ」

「そう言わないでほしいマスター。それにきちんと〝名付け〟を行えば我々が裏切ることはないのだぞ?」

「そうだよ~。裏切っちゃうよ~」

「テン君かもん」


 ――プルプル


「「すいませんでした」」


 惚れ惚れするほど素早い土下座だ。


「エルフはともかくサキュバスならテン君の媚薬でも平気じゃないのか?」

「そんな訳ないよ~。そもそもワタシはそんなにエッチなのが得意じゃないし~」

「サキュバスなのに?」

「あくまで得意じゃないってだけで苦手ではないよ~。種族というより個人差ってところ~。

 例えば人間は大抵が走れるけど、その走り方にも個人差があって速い遅いはあるでしょ~? それと一緒だよ~」


 そういうものなんだろうか?

 本人が言うのだからそういうもんだと思うしかないか。


 実際、テン君には逆らわないようにしているしな。


「まあいい。〝名付け〟については考えておいてやる」

「本当かマスター!?」

「絶対だよ~。せめて何か活躍したら〝名付け〟してね~」

「活躍したらな」


 先日ダンジョンバトルというイベントがあったし、俺のダンジョンに奥深くに入ってくるような奴はほぼいないので、それがいつになるかは分からんが。


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