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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
2章

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第56話 うさぎ好き


 ダンジョンを創り直して数日後、自衛隊の人間がやってきた。


 要望通り訓練できる場所が創られたことが分かったから、それの確認に来たのだろう。

 1階層の魔物部屋の前に〝看板〟を追加したから、国の人間もそれで判断できたはず。


 ダンジョンを組み替えた際、1階層の魔物部屋の前には元々〔この先に魔物が出るため命の保証はできかねます〕と書かれた〝看板〟を設置していたが、さらに1つ〝看板〟を追加した。


〔チュートリアル:ホーンラビットを倒そう

 ※この部屋では1体だけホーンラビットが現れます

 倒されたら30秒後に再び出現するので注意してください〕


 要望後にこんな〝看板〟が追加されてて、まだ訓練できる場所が創られてないと判断するやつはさすがにいないか。

 入ってきた自衛隊が真っ直ぐにその部屋を目指してるしな。


 1階層はそこまで広くないのでやってきた自衛隊はすぐにそこに到達し、〝看板〟の前に立ってすでに知ってるだろうに、それを読んで確認していた。


 報告では聞いてたのだろうが、自分の目できちんと確認したいのだろう。


『この先に魔物が出るのか。基本銃を使っていただけに、警棒だけでは少し頼りなさを感じるな』


 〝看板〟前で40代に差し掛かってそうな男が独り言をつぶやきながら手に持ってる警棒を見ていた。


 銃が使えないのはそういうシステムなのだからしょうがない。

 俺も詳しくは知らないが。


「マルティア。人間側のシステムについてはどれだけ知ってるんだ?」

「私が知ってることは基本的なことだけですよ。ダンジョンマスターには重要ではない知識ですし」


 そう言ってマルティアから教えられたが、端的に言えば『戦って強くなる育成型RPG』みたいなシステムだった。

 魔物を一度倒せば、剣士などの戦闘スタイルを示すクラスが選択できるようになり、魔物を倒して()()()()()()レベルを上げて強くなっていくというもの。

 クラス変更時は、そのクラスの育成状況のレベルになる。育成したことなければ当然レベル1からだ。


「意図してなかったが、クラスを選択するには魔物を一度倒す必要があるから、1階層の魔物部屋で1体ずつ出る設定にしたのは丁度よかったな」

「え、意図してなかったんですか?」


 チュートリアルって言ったら魔物とは一対一で戦うものだろ、ぐらいにしか考えてなかったんだが、結果オーライということで。


 そんな偶然の設定をした部屋に〝看板〟を見終わったのか入っていく自衛隊のオッサンたち。

 何百人という自衛隊の人間が一列になって列を成しているのは中々にシュールだ。


 そんな中、一番先頭にいたオッサンが部屋の中心にいたホーンラビットの前に立つ。


『それにしてもホーンラビットか。ここのダンジョンマスターはうさぎ好きなんだろうか?』


 ただの偶然だ。

[ガチャ]次第なんだから、そこをつっこむんじゃない。

 うさぎ好きのダンジョンマスターって思われるのはなんか嫌だな。

 別にうさぎが嫌いってわけじゃないけど、ファンシー趣味とか疑われたりしたら嫌すぎる。


『よし、それじゃあ1人ずつ順番に挑んでいくぞ』


 そう言ってオッサンはホーンラビットへと挑むが、ものの数秒で決着は着いた。

 もちろんオッサンの勝利だ。ここでホーンラビットが勝ってしまうというオチなどない。


『これがステータスか。ゲームはあまりやらないが、本当にそれっぽいな』


 オッサンはそう呟きながら部屋の隅へと移動していく。


「ステータスか。俺はダンジョンマスターになったからそういうのとは無縁になったが、一体どんな表記になってるんだ?」


 興味が湧いた俺はオッサンがステータスを見ているのを、後ろから覗き込むようにスマホに映し出す。


 ───────────

 藤井 勝也

 クラス : 未選択

 HP : 30/30

 

 スキル:無し

 ───────────


 ビックリするくらいシンプルだった。

 クラスを選んでいないせいなのかもしれないが、それにしてもこれはないんじゃないか?


『確かこのクラスの未選択部分をタップすればよかったな』


 そう呟きながらオッサンがポンッと押すと、未選択から複数の選択肢が現れた。


 ・剣士

 ・弓士

 ・漁師


『……剣士と弓士は分かるが、何故漁師があるんだ? 休日に趣味で釣りには行くが……』


 オッサンが困惑していた。

 剣士と弓士なら戦闘するためのクラスだからまだ分かるが、漁師という他とは毛色の変わったクラスが存在してるのだから、そうなるのも無理はないか。


「なんで漁師なんてクラスがあるんだ?」

「さあ? 戦闘系だけでなく、本人にあった生産系のクラスも候補に出ているだけでは?」


 マルティアにも分からないならこの場で答えられるやつはいないな。


 そんな事を話していたら俺らが後ろから見てたオッサンが困惑状態から復帰し、クラスを選び出した。

 一瞬迷っていたが、無難に剣士のクラスを選択したか。


 するとオッサンのステータスが変わり、スキルの項目にも変化が起きた。


 ───────────

 藤井 勝也

 クラス : 剣士(レベル1)

 HP : 30/30

 

 スキル: スラッシュ

 ───────────


 スキル名から察するにクラス専用のスキルということか。

 まんまゲームみたいで面白そうだな。


 俺も人間側になって参加し、どれだけ成長させられるかやってみたかったと思わずにはいられなかった。



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