第43話 鬼人武者
≪ナオト(仮)SIDE≫
相手の魔物がこっちのダンジョンにいつの間にか侵入していたのには驚いたが、4階層の〝変幻庭園〟で全て始末できたのは幸いだ。
〝変幻庭園〟という生垣で出来た迷路みたいなフィールドだが、一定時間で生垣の場所が移動するというもので、マッピングが通用しない。
その上敵を分断するのにも使えるから、ここの攻略には罠とか何も無くても時間がかかるだろう。
しかもそこにはテン君を配置しており、忍び寄る触手に絡め取られた敵はもれなく倒されている。
――プルプル
スマホに映るテン君は、敵を全て倒したからか嬉しそうに触手を震わせていた。
防御をテン君1体だけに任せるのはどうかと思うが、このフィールドであればそうそう敵に遅れは取らないだろう。
さて、防衛は問題なさそうだが、侵攻の方はどうなって――なっ!?
ファントム達SRの魔物達が率いる部隊が、鬼の面を被った鎧武者ともいうべき謎の存在に襲われていた。
「マズイ! 撤退しろお前ら!」
そう指示を出すも、鎧武者が薙刀の様なものを振るって次々に俺の魔物達が倒されていってしまっていた。
その中には貴重なSRの魔物達であるファントム、デスナイト、ゴブリンジェネラルもいた。
ただ、彼らが鎧武者を足止めしてくれたお陰で思ったよりは俺の魔物達は減らずに済んだが、それでも一気に最初の半分の数まで削られていた。
「くそっ! なんなんだあの魔物!?」
「なんでしょう? リビングアーマーにしてはかなり和風な感じですし……」
マルティアにも分からないのか。
ハッキリ言って検討もつかないが、あれは一体何なんだ?
――ピロンッ
とりあえず俺の魔物達が鎧武者の犠牲にならないよう、次々と俺のダンジョンに戻り始めている時、通知音が鳴った。
なんだこんな時に?
そもそもダンジョンバトル中はそのダンジョン同士のみ時間が動いてる状態になるはずだし、仮にミカゲ(仮)が俺に何か話したいことがあったとしても、DMじゃなくて通話してくるはずだから、そんな連絡なんて来るはずがないだろうに。
一応魔物達に指示済みなので確認できる余裕はあったから確認してみたら、なんとカグラからの連絡だった。
どうやら命令権を得ている配下もダンジョンバトル中は関係者になるらしいが、それは置いておいて内容は何だ?
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今あなたを襲っている鎧武者は私の魔物よ。
鬼人武者という魔物なの。
ミカゲ(仮)の命令で、無理やり魔物を貸さなければいけなくなったわ。
ここまで読めば分かってると思うけど、あの子は私が最初の頃、ポイントのほぼ全てを使って交換し、ある程度ポイントが貯まったらたびたび強化した存在なの。
鎧に包まれてるからリビングアーマーっぽく見えるけど、アンデッドの類ではないから勘違いしてはダメよ。
魔物としてのカテゴリーで言えば鬼人だから聖水とか効かないから注意して。
P.S. ……できればでいいけど、あの子を殺さないでほしいわ。無理にとは言わないけど。
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「情報はありがたいが、なんという無茶ぶり」
「殺さないで止めるとか至難の業では?」
できればということだから、無理ならしょうがないと思っているのだろう。
だがそもそもの話、あんな化け物をどうやって倒せと?
「やるだけやるしかない。殺すつもりでいくぞ」
「いいんですか?」
「殺すつもりでやって生きてればラッキーってことで。そもそも負けて命令権なんて持ってかれたら、まともに[ガチャ]が回せなくなるかもしれないだろうが!」
「うわっ……。せめてフィギュラスが取られるからって言ってほしかったです」
「それもある」
『ある意味さすがだねマスター。そのブレないところは嫌いじゃないよ』
横で観戦していたフィギュラスは半笑いでこちらを見ていた。
怒ってないからヨシッ!
そうこうしている間に俺が差し向けた魔物達は生き残ってるのは全てこっちのダンジョンに戻ってきて、しばらくして鬼人武者が侵入してきた。
もちろん、他の魔物、大量のケットシーとリザードマンを引き連れて。
「鬼人武者に勝てる可能性があるのはSRの魔物だけ。R以下の魔物は無駄死にになることを考えると、ケットシーとリザードマンの相手をさせるかSRの魔物のサポートに回した方がいいな」
だがここを乗り切った後、相手のダンジョンに攻め入らせる魔物がいなくなっても困るから、匙加減が難しいな。
「よし、決めた。鬼人武者を中心にケットシーとリザードマンが先行したり後方を警戒しているし、まずはこいつらを削りきってから鬼人武者に集中して対処できるよう動くぞ」
周囲を警戒しながら進む集団が隠し扉のある位置を通り過ぎて、次々に先にある大き目な部屋へと侵入していく。
最後尾が隠し扉を通り過ぎた瞬間、隠し扉の先にある部屋に待機させていたヘラクレスクワガタを出撃させた。




