第41話 君に決めた
「ガチャで出たNとRの魔物全175体に、SRの魔物を数体交えて総攻撃だ」
「防御は?!」
「テン君に全て任せる」
「正気ですか!?」
攻撃こそ最大の防御って言うだろ?
どの道、[ガチャ]で出てきた魔物に対し、育成できるアイテムの数が少なすぎて全く育てられない以上、使い捨てのような形になってしまうが特攻させるしかない。
なによりテン君と共に行動できる魔物はほぼいないのだから、いっそのこと防御はテン君に任せてしまった方がいい。
俺の指示に従い、魔物達がミカゲ(仮)のダンジョンへと侵入していく。
「他のダンジョンと同じで、魔物はともかく罠もそれなりに仕掛けられているだろうな」
今までであればマネキンに突撃させて罠を発動させ、どこに罠があるかを強引に把握していたが、フィギュラスが使えない以上今回はその方法は無理だ。
だが問題はない。
「ワーキャットシーフ、先行して罠の位置を把握しろ。解除できるようなら解除するんだ」
『ニャ』
SRの魔物の1体。
シーフの名の通り、罠の発見・解除が得意なワーキャットで、二足歩行の100センチほどの猫である。
そのワーキャットシーフが俺の命令に従い、素早くダンジョンを進んで行く。
途中で分かれ道などがあったが適当に進ませ、反対側は後から来た魔物達に向かわせることにした。
『ニャー』
「敵か」
さすが獣だけあって気配には敏感か。
敵の魔物が向かって来ているのを感知し、俺にそれを知らせてきた。
『ニャー』としか言ってないが、不思議と雰囲気で伝わるんだよな。
「確実に倒せると判断したなら、報告せずに倒して進んでいいぞ」
『ニャ』
俺がそう言うと、ワーキャットシーフは向かって来ていた3体のゴブリンに一気に近づき、持っていたナイフでその首を掻き切った。
斥候タイプだがこの程度の相手なら余裕で勝てるくらいには強いようだ。
それにしてもゴブリンの使用率が多いな。
他のダンジョンでもゴブリンかスライムと最初に接敵するんだが、そんなに安くて使いやすいんだろうか?
そんなどうでもいいことを思いながら、順調にミカゲ(仮)のダンジョンを魔物達が攻略していく。
もちろんNやRの魔物はそれなりに被害が出ているがまだ数体だ。
だが安心はできない。
ミカゲ(仮)はどうやら将棋でいう所の穴熊戦法、守りを固める戦い方をするようだ。
ダンジョンの奥の方で待ち構え、時折仕掛けてくる魔物や罠で敵の数を減らしていき、一気に逆転しようとしている。
今まで戦ってきたダンジョンマスターにも似たような事をしてきたやつらはいた。
もっとも、そいつらはマネキンの物量で余裕で倒せたが。
「罠を多く設置するダンジョンマスターがこのパターンだったが、ミカゲ(仮)もそのタイプか?」
部屋数はそこそこ多いと言ってたはずだが、やはり嘘だったか。
だがそれなら魔物の数は大した事がないはず。
そう思っていたら、ワーキャットシーフとは別の方に向かっていた部隊が体育館並みの大きな部屋に十数体入った後、突然扉が閉まり閉じ込められてしまった。
そして奥からは何十体もの狼のような魔物が現れ、襲いかかってきた。
俺の側の魔物達は抵抗するも、残念ながら犠牲前提の罠踏み役であるゴブリンクラスの弱い魔物だったため、あっさりとやられてしまった。
ワーキャットシーフの方は行き止まりに突き当たっていたし、部屋の規模を考えるとそっちが正解のルートのようだ。
ただ、ワーキャットシーフがやられなくて済んだから助かったが。
「一定数の敵が入って来たら閉じ込めるタイプの罠か」
「そういう罠、というか〝部屋〟はそこそこポイントを使いますが、確実に敵を分断して間引けるんですよね」
「俺達には縁のない話だ」
「[ガチャ]で手に入れるしかありませんから運次第ですもんね」
今のところそんな〝部屋〟は手に入っていない。
「それじゃあ今度はファントム、デスナイト、ゴブリンジェネラルに任せるか」
「え、そんな一気にSRの魔物を投入して大丈夫ですか? やられたりしませんかね?」
「出てくる魔物は数と連携はすごくても一体一体は大した事ないようだから、ゴブリンジェネラルに現場で他のR以下の魔物の指揮をさせつつ、ファントムとデスナイトのごり押しでいけるだろ」
この部屋にある罠は、犠牲前提の罠踏み役の魔物達がある程度発見してくれたので、罠の心配はしなくていいし。
俺の思った通り、ゴブリンジェネラルの指揮による連携で相手の攻撃を防ぎつつ徐々に反撃、そしてファントムの魔法攻撃とデスナイトの巧みな剣術でその部屋の魔物はあっさりと倒すことが出来た。
もっとも被害はそこそこ出ており、今の段階で20体近くやられてしまっているが。
SRの魔物達はまだやられていないが、このままのペースでミカゲ(仮)のダンジョンを攻略できるかは不安ではある。
だが今更後戻りはできない。
すでに賽は投げられたのだから。




