第40話 契約決闘チケット
〝契約決闘チケット〟
これは〝強制決闘チケット〟とは違い、両者の合意を得た決まり事をダンジョンバトル時やバトル後に必ず遵守させるSRのアイテムだ。
例えダンジョンコアをバトル中に破壊されたとしても、本来であればダンジョン内の全てがポイントに変換し、その三分の一と所持ポイントを合わせて獲得するところ、『ダンジョンバトルに負けた場合、魔物を全て譲渡する』という契約をしておけば、それが遵守されるというもの。
同様にダンジョンバトルが始まる前に『特定の魔物や罠を使用してはいけない』と取り決めたら、ダンジョンバトル中に使いたくても使えなくなってしまうのだ。
『なるほどな。確かにそれを使えば、そのチートじみた魔物がダンジョンバトルに関われなくなるな』
〝契約決闘チケット〟の詳細をミカゲ(仮)に伝えたら、向こうは納得した様子を示していた。
『だが何故そこまでしてオレとダンジョンバトルをしようとする?
もう十分ダンジョンマスターを滅ぼしたというのに、まだ足りないとでも?』
まるで俺が虐殺者とでもいうかのような言い回しは止めてくれないか?
「そんな事はないし、別にあんたに恨み辛みがあるわけでもないさ。
ただ、あんたが命令権を得たダンジョンマスター、カグラとは手を組んでいてね。
だから協力者であるカグラを自由にさせるため、その命令権を破棄させたいだけなんだよ」
助け合いというにはこちらばかりが動く事になったが、約束は約束だ。
余裕がある今、助けられるのであれば助けてやりたい。
『なるほどな。いいだろう。こちらが提示する条件を飲むのであれば受けてやる』
そう言ってミカゲ(仮)はいくつもの条件を出してきた。
その条件に対し、俺の要望を交えた結果、ダンジョンバトルは以下の条件で行われることになった。
・マリオネットジェネレーターをダンジョンバトルに参戦させない
・お互いのダンジョンコアの破壊を禁止
・相手のダンジョンコアに触れるか降参させた方の勝ちとする
・ミカゲ(仮)が勝った場合はナオト(仮)はマリオネットジェネレーターの譲渡と命令権の獲得、ナオト(仮)が勝った場合はミカゲ(仮)は全ての命令権を放棄し、現在所持しているポイントを譲渡すること
「ダンジョンコアの破壊を禁止するのはお互いでいいのか?」
『もちろんだ。お前は中々優秀なようだからな。オレの配下になってオレのために働いてもらうぞ』
「なるほど。だから俺が持つ全てを寄こせとは言わないんだな」
『ああそうだ。それにそんな要求をしてダンジョンバトルを無しにされたら、せっかく強力な魔物が手に入るチャンスを不意にしてしまうことになる』
マリオネットジェネレーターであるフィギュラスさえ手に入れられれば、俺のように何十人ものダンジョンマスターを相手にでき、配下に加えられると考えればそれはそうか。
『では今すぐダンジョンバトルを行うということでいいな』
「もちろん」
こうして俺とミカゲ(仮)のダンジョンバトルが始まった。
◆
≪ミカゲ(仮)SIDE≫
先程の交渉時に念のためマリオネットジェネレーターのステータスを開示させて確認したが、あれは間違いなく1万ポイント近い、下手すればそれを超える高額な魔物だ。
あれほどの魔物を手に入れようと思ったら、ダンジョンを大きくする余裕はなくなりダンジョンランキングが最下位になるのも頷ける。
カグラも強力な魔物を配置するという一点豪華主義だったが、カグラとは違い、確実にダンジョンを守れる魔物だと判断したからこそ、あの魔物をポイント交換したのだろう。
「くくっ、もっともその魔物は今回は使用できない。
しかしそれでもその魔物抜きでもオレに勝てると判断したのは、36人分のポイントが集まったからか」
三分の一に減るとはいえ、それでも12人分。
殺された魔物や使用済みの罠、さらにはダンジョンマスターが自身の身の回りを整えるために消費したポイントを差し引けば、3、4人分のポイントを丸々得ていると考えられる。
そのポイントを使ってマリオネットジェネレータークラスの魔物を召喚している可能性もあるが、それならそれで好都合。
〝ダンジョンコアに触れた方の勝ち〟というルールにより、そういった強力な魔物は無視してしまえばいいから、ダンジョンが小さいままだろうからオレの方が確実にダンジョンは大きく、圧倒的に有利となる。
逆にダンジョンを整備してそれなりにまともなダンジョンにしたとしても、その分ポイントを使用する以上、召喚できる魔物は大した事はなくなる。
その程度の魔物ではこちらの切り札は突破できない。
つまりどちらであってもオレの勝ちに揺るぎはない。
この勝負もらったぞ!
「マリオネットジェネレーター。あれほどの魔物がいればオレのダンジョンは誰よりも大きく、そして他のダンジョンマスターの多くを支配下に置けるだろう」
オレの【権力願望】を満たすための礎となってくれよ。
◆
≪ナオト(仮)SIDE≫
「今回はフィギュラスが使えないのが痛いな」
「どうするんですか? 今までみたいにマネキンを使った人海戦術はできませんよ」
36人と戦った時は、全員マネキンの物量押しでダンジョンの構造とか虱潰しに探索させていたからな。
「出来ればやりたくない手ではあるが仕方ないか」
「何をするんですか?」
「おいおい、マルティア。フィギュラスやテン君の存在ばかり気にして忘れたのか?」
「はい?」
悪いが勝つためには手段は選んでられないぞ。
出し惜しみなしだ。




