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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
1章

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38/51

第38話 隷属


 ≪ミカゲ(仮)SIDE≫


『よくも裏切ってくれたわね!』

「裏切ったとは人聞きの悪い。オレからしてみればお前は――いや、お前らは最初から対等な仲間などと思ってはいなかったよ」


 キャンキャンとスマホ越しにうるさく吼えるのはミウ。

 最初はサポート妖精を利用してゴウのやつ共々一時的に同盟を組んだが、オレは元々

 この2人を支配下に置き、こいつらの力を利用して他のダンジョンマスターを下そうと考えていた。


 もちろんサポート妖精はオレの考えを全面的に支持。

 ダンジョンコアを壊さないのであれば、そのダンジョンのサポート妖精も死なないのだから、誰か1人のダンジョンマスターの下で一致団結した方がいいと言っていたな。

 もっとも、下された方は堪ったもんじゃないだろうがな。


『くっ、卑怯じゃない! ダンジョンバトルを()()するなんて……!』

「ははっ、気づかない方が悪いんだよ」


 本来であればダンジョンバトルは相手の同意もあって、ようやくバトルが成立する。

 しかしダンジョンバトル開始直後、ポイント交換に数量限定で〝強制決闘チケット〟が新たにこっそりと出現しており、そのチケットを使えば一度だけ相手の同意なしでダンジョンバトルを挑める代物だった。


 有用なアイテムだが必要ポイントが5000ポイントと中々に高額。

 それを購入するのであれば〝Fランクの魔物発生陣〟の一つでも交換した方がいいと思うが、ミウのダンジョンがどんなダンジョンかはある程度把握していたから、勝てる算段がつけばそのチケットを交換してもいいと思っていた。


『用がないのであれば私はもう通信を切りたいのだけど』

「そう言うな。定期的な報告会は必要だし、これからは毎朝行うのだから()()()

『……ちっ。報告することなんてないのに』


 反抗的な少女、カグラを支配下に置けたからミウに仕掛けたのだ。

 ダンジョンバトルのイベントが開始される前から目を付けていた。


 最下位のナオトはあからさまに怪しく、こちらを罠にかけようとしているようだったので、その次のカグラをターゲットにした。

 ゴウの馬鹿はそれが分からず、止めたが突っ込んでいき返り討ちにあったのだから度し難いにもほどがある。


 オレの配下候補が1人減ったのは残念だが、カグラが思った以上の拾い物だったから良しとするかな。


「通達することはある。

 もっと他のダンジョンマスターにダンジョンバトルを仕掛けるつもりだと言っていたが、残念ながらダンジョンバトルを受けてくれる相手は見つかっていない。

 申請しても2人のダンジョンマスターを倒してるオレと戦うのは嫌なのだろう。

 〝強制決闘チケット〟があれば、拒否できないんだがな」


 オレの【権力願望】を満たすために、もっと配下が欲しいというのにままならない。

 〝強制決闘チケット〟はすでに売り切れてしまって手に入らないし……。


 そう思った時だった。


 ――ピロンッ


「ん? 通知か?」


 ◆


 ≪カグラ(仮)SIDE≫


 言うことを素直に聞くのが当たり前だったわ。


 口ごたえせずに歯向かわず、言われたことをこなす日々。

 それを当たり前だと思わなくなったのは多分中学の頃。


 何がキッカケだったかは分からない。


 友達との約束や遊びの予定を理由も言わずに却下されたこと。

 化粧品を使ってみたかったけど中学生にはそんなものは不要だと言われたこと。

 失敗した時に励ましではなく、責める言葉ばかりをかけられたこと。


 こんなことがあったけど、私は言うことを素直に聞いたわ。

 内心、嫌だと思いながら。


 染みついてしまった性格を変えることはそう簡単ではなく、親に反抗することはよくないことだと思わされていた私ではどうしようもなかった。

 あの頃の私は、『嫌だ』と思う自分の気持ちさえ、どこか悪いもののように感じていたわ。

 親の言うことに従うのが〝正しい子ども〟で、そこから外れるのは〝悪い子〟だと、深く深く刷り込まれていたから。


 だから、胸の奥に小さく芽生えた違和感を見ないふりをした。

『私が我慢すればいい。私が間違っているの』

 そう言い聞かせる癖が、いつの間にか当たり前になっていた。


 でも、心のどこかでは気づいていた。

 これを当たり前にしてはダメだと。


 それでも私は変われなかった。

 高3になったにもかかわらず、私は私を変えることは出来なかった。

 進路すら親の言いなり。


 反抗する勇気なんてなかったし、何より、反抗した自分を親がどう見るのかが怖かったわ。

 ただ、心の奥で小さく灯った『このままじゃ嫌だ』という感情だけが、消えずに残り続けていた。


 そんな想いを燻らせながら日々を過ごしていたら、ある日、突然ダンジョンマスターにされていた。

 意味が分からなかったし困惑したけれど、確かにあの瞬間私は感じた。


 解放された、と。


 自身の行動を縛り付ける存在が消え、己の意思一つで全てが決められる。

 今まで示されていた生きる道を自身が決めていかなければいけない不安よりも、そのことにひどく興奮を覚えた。


 ようやく私は私の人生を歩めるのだと!


 だけどそれも今は不可能となってしまった。

 他のダンジョンマスターにダンジョンバトルで負けて隷属させられてしまった。


 さっきも慣れろと命令され、無理やりその指示に従わないといけなかったのが凄く辛かった。


 ……また、私は人に生き方を決められてしまう。

 その事がひどく苦痛でたまらなく、死んでしまいたいとすら思ったけど、ダンジョンマスターにはそれは許されていない。


 私の人生は二度目すら他人の操り人形なの?


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