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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
1章

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第37話 同情


 マルティアからの報告で、カグラがダンジョンバトルに負けたと言われたが、どうしてそれが分かったのだろうか?


「どこからその情報を仕入れてきたんだ?」

「いや、あの……もっと慌てません? 仮にも一緒に頑張っていこうと話し合った人じゃないですか」

「そう言われてもな」


 慌てたところで何かできるわけでもないし、長い付き合いの相手でもないのにそこまで感情移入はできないだろ。


「慌てる慌てないはどうでもいい。それで、何があったか分かるか?」

「何があったかは分かりませんが、ダンジョンバトルに負けて隷属させられてしまっていることだけは分かります。

 ダンジョンランキングの名前の横に(隷)と記載されているので」


 なるほど。それならダンジョンバトルで負けたからその状態になったのだとすぐに分かるな。


「しかしダンジョンランキングは一月毎の更新じゃなかったのか?」

「順位はそうですが、そのダンジョンマスターが現在どのような状態なのかは自動更新ですから。

 ほら、あなたが倒したゴウ(仮)のところを見れば分かりますが、『ゴウ(仮):(故)』と記載があるでしょ」

「確かにな。こうやって見ると、まだ1日しか経ってないのにやられた奴が多いな」

「1人でもっとも多くダンジョンマスターを(故)にしたのは確実にあなたですけどね」


 攻めてきた向こうが悪い。

 俺は反撃しただけだから無罪を主張する。


「すでにいなくなった奴らのことはともかく、イベントの期間は一月あったにもかかわらず、かなりのダンジョンマスターがダンジョンバトルを行ったんだな」

「暇なんですかね?」


 外国は知らんが、日本だと人命の事を考えてるだろうから、ダンジョンという未知の危険がある場所に民間人が入らないようにしてるだろうと考えると、自衛隊でも来ないと何もすることがないのだからそりゃ暇だろうな。


「って、そんな事はどうでもいいんですよ! ナナのダンジョンマスターであるカグラが負けてしまったんですよ!」

「ダンジョンコアを壊されていないだけマシだな。

 連絡は今のところ何も来てないが……俺が逆の立場なら相手も大変な状況だろうと思って連絡はできないな。

 もしかしたら命令権で外部との連絡を不許可にしてる可能性もあるが。ちなみにそれはできるのか?」

「命令権ですから、基本自害以外のどんな理不尽な命令であってもできると思っていいですよ。

 今のところは大した命令はできないでしょうけど」

「そうだな。ダンジョンマスター同士が直接会う手段が今のところないし、ポイントや魔物の譲渡も同様に手段がないから、比較的酷い命令はされないだろう。

 とはいえ、今後どうなるかは分からんし、少なくともダンジョンをどう創っていくかは指示されるだろうが」


 【自律・反抗願望】持ちのカグラにはかなりキツイ状況なのは間違いないな。

 ……はぁ、仕方ないか。


「マルティア、カグラが誰に負けたか調べられるか?」

「何かするんですか!?」

「するかどうかは調査しだいだな。相手が分からなきゃ何もできん」

「すぐ調べますからちょっと待ってください。……それにしても何故急に? 普段のあなたであれば手を出そうなどと考えなさそうですが」

「はっ、【英雄願望】があったとでも思っておけ」

「照れ隠しですか」

「うるさい。とっとと調べろ」


 自分以外のダンジョンマスターで、それなりに良好な関係なのがカグラだけだから、できる範囲でなんとかしてやってもいいと思ったんだよ。

 それにもしも自分が[ガチャ]を禁じられたらと思ったら、さすがに同情した。それだけだ。


 しばらく待っていると、マルティアがカグラの命令権を持つダンジョンマスターを探し出した。


「このダンジョンマスターですね。ミカゲ(仮)が件のダンジョンマスターです」

「そうか」

「え、もっとこう、ありません? ゴウ(仮)の時も忘れてましたけど、あなたにグループDMを送ってきた1人ですって」


 どうでもいいやつの事は覚えてられん。


「別に誰だっていいだろ。とりあえずそいつにダンジョンバトルでも仕掛けてみるか」

「いや、仕掛ける前に相手がどんな人物か調べられる範囲で調べた方が――」

「もう申請した」

「勢いで生きてるんですかあなたは!?」


 調べるだけ無駄だろ?


 せいぜい誰と戦ったかは分かるようだから、どれだけ他のダンジョンマスターを倒したかくらいだろう。

 しかしそれが分かったところで、ダンジョンバトルを仕掛けるか躊躇するわけでもないのだから、調査するだけ時間の無駄だ。


「申請してすぐ相手が受けるわけではありませんから、今の内に調べるだけ調べておきます」

「意味あるか?」

「何もしないよりマシでしょう。……あ、このダンジョンマスター、2回ダンジョンバトルをしてますね」

「それで名前のとこに(故)でも(隷)でもないのだから、2回勝ってるのか」

「はい。そして2度とも相手の命令権を得たようです」

「は? 2度ともなのか?」


 相手のダンジョンコアを破壊すれば残機が得られるというのに、あえて命令権を得た理由が分からん。

 一度ダンジョンコアを破壊して残機を得た後なら、命令権の方を選び続けるのも分かるんだがな。


 また変な願望持ちだったりするのかねぇ?


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