第27話 素材がない
マリオネットジェネレーターであるフィギュラスがちゃんと俺達の仲間になった。
〝名付け〟を受け入れられ、裏切られる心配がないというのは大変いいことだ。
……フィギュラスの真価を発揮させるための、人形を造る素材がないこと以外は。
「〝宝箱用アイテム類〟は使えないんだよな」
「そうですね。アレは侵入者用のアイテムですから、一度侵入者が手に入れてからその所有権を放棄しない限りは、ダンジョンのものにはなりません」
そうでなければ武器類や防具類を鉄などの素材にしてしまうことができたのに、そう都合よくはいかないな。
「唯一使えるのは〝日用品、動物、その他〟のカテゴリーの〝メモ用紙〟〝マジックペン〟〝照明器具〟〝ゲーミングチェア〟を素材にできるくらいだが、こんなのじゃせいぜい人形1体分造れるかどうかか……」
『一応動物でも殺して皮と骨を素材にはすることができるけど?』
「サイコパスすぎるだろ。……でもいざとなったらその手を使うしかないのか」
まだ配置していない〝ライオン〟や〝犬〟を素材にすればそれも可能ではあるのだが、気分的にはNGだ。
いくら人間が家畜として育てた動物を殺して食料にしたりするのだから、俺達も生きるために食料ではなく兵器として使用することは間違いとは言い切れないとはいえ、その一線を越えたらなんか色々と終わってしまう気がする。
『せっかく〝進化の欠片〟や〝属性石〟があるのに、素材がなければそれを組み合わせた人形を造れないよ』
「そこそこの数はあるからな。とりあえず〝育成結晶〟3つは全部フィギュラスにやるよ」
『わ~い、ありがとうマスター。なくても侵入者を倒せば強くなれるんだけど、今の現状だとそれを使わないことには無理だからね』
人形もなければ侵入者も殺しちゃいけないからな。
「さて、手持ちにあるものでなんとかならないか……?」
[ガチャ]で出てきた物を改めて確認する。
「何度見ても変わりませんよ~? もうこうなったら[ガチャ]じゃなくて割高になりますけどポイント交換で素材を手に入れるしかないんじゃないですか?」
マルティアも俺の肩に乗って一緒に[ガチャ]で手に入れた物を見てるが、どうにもならないと匙を投げていた。
そう言いたくなる気持ちは分かるが、今23ポイントしかないからまともな素材なんて1つも交換できないんだよ。
できればポイントは全部[ガチャ]に回したいという気持ちがあるのもあるがな。
「出てきたSRのアイテムもな……。
〝Wi-Fi〟設置してどうすんだよ。このダンジョンに来る人間がさらに増えるだろうから設置するが」
「来る人が増えれば得られるポイントも増えますし、それでなんとか素材を手に入れましょう」
「それしかないんかねぇ~」
そう言いながら〝Wi-Fi〟を設置した後、ここを訪れる人に〝Wi-Fi〟が完備されたことが分かるように、無駄に出てきた〝看板〟を入口に設置し、〔当ダンジョンでは無料Wi-Fiを完備しております〕と記載。
これでヨシッと思った段階で、ふと思いついた。
もしかして、これならいけるか?
「やるだけやってみるか。この程度なら人間との関係は悪化しないだろうし」
「何か思いついたんですか?」
「上手くいくかは分からんが、少なくとも素材は手に入るはずだ」
『ホントかい、マスター!?』
多分いけるが、問題は人間がどう思うかなんだよなぁ。
まあ敵対しようとまでは考えないだろうが。
◆
≪総理SIDE≫
「総理。ナオト(仮)のダンジョンなのですが」
「どうした? ナオト(仮)のダンジョンになにかあったのか?」
日本、いや世界中で見てもナオト(仮)のダンジョンは現在唯一交渉可能なダンジョンだ。
負の感情エネルギーという人間ではどうしようもないモノを向こうが勝手に集め、それによってポーションという現代医療を越えた物質などが何の危険もなく手に入るのだから悪い話じゃない。
もっともナオト(仮)がこちらを騙している可能性もあるが、どのみち他にもダンジョンは存在する以上、勝手に負の感情エネルギーを回収するか、こちらが多少手を貸すかぐらいの違いでしかない。
だったら多少の恩を売って物資を得られる方が遥かに有効というもの。
ダンジョンを危険視する声も当然あるが、ナオト(仮)のダンジョンを潰したところで他にもダンジョンがあるのだから、意味はないしな。
さて、そのナオト(仮)のダンジョンだが一体何があったというのだ?
「まず1つ目ですが、毎日ダンジョンへと派遣している者から〝ポーション(中)〟が手に入ったと報告がありました」
「ほう。それは朗報だな」
なにせ他のダンジョンからは派遣した自衛隊の報告によれば、宝箱からせいぜい〝ポーション(弱)〟が時たま出る程度で、〝ポーション(中)〟はナオト(仮)のダンジョンからしか手に入っていない。
(弱)と(中)では効果も全然違い、(弱)だと切り傷などを瞬時に治すのと、ガンの進行を遅らせられる程度だからな。
それでも十分凄いがさすがに(中)と比べると、物足りなさを感じる。
「これでまた研究が進むな。いや、ここは外国に送って恩を売っておくのも1つの手か?」
そのうち他のダンジョンからも〝ポーション(中)〟が出てくるだろうし、価値が高い今の内に交渉の材料に使う方がいいかもしれない。
「それで、1つ目ということは他にもあるのだろう?」
「はい。実はナオト(仮)のダンジョンの隠し部屋なのですが」
ああ、一般市民が発見したというあの部屋か。
そこには魔物が3体いるだけで、アイテムは一度しか手に入っていないはずだが。
「その部屋の逆側に部屋が新たに出来ていました」
「それは報告することなのか? ダンジョンは時折大きくなるようだが、1部屋増えた程度では大した事ないんじゃないか?」
また動物部屋でも増えたというのか?
「それが部屋の前に看板があり、〔物資の交換ができます〕と書かれているんです」
「なんだと!?」
ダンジョンが現れて忙しい日々を過ごしているが、まだまだ安息には程遠いようだ。
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入口
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動物部屋―部屋―動物部屋
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部屋(―)部屋―商人の間(NEW)
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魔物部屋
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ダンジョンコア部屋
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